選ばれ続ける社員の法則77 出世が早い!にはコツがある | |
浜口直太
出版文化社 2009-01-30 おすすめ平均 |
浜口直太さんと澤田且成さんの『選ばれ続ける社員の法則77 出世が早い!にはコツがある』を読みました。
「企業の寿命が30年といわれるこれからは、しっかりと自分を磨くことが大切ですよ」とアドバイスをするときに、しばしば返ってくるのが「やっぱり資格ですかねぇ」という言葉です。
確かに資格はないよりはあったほうがいいと思いますが、いい資格さえ持っていれば仕事が勝手にやってくる、ということはほぼないでしょう。
資格をまるで持っておけば安心な保険のように考えているならば、考えを改めたほうがいいと思います。
出世にしても転職でのキャリアアップにしても、いい資格を持っていればそれだけで選ばれる、などということは起こりません。
もしそんな企業があるならば、そこは遠からず競争力を失うのではないかと思います。
なぜならば、仕事は資格でするものではなく、成果を出すことでするものだからです。
世界はフラットになり、中小企業でさえもグローバルな視点で競争していかなくてはならない時代になりました。
そんな中、資格を持っているだけで成果を出せないような人を抜擢し、非効率な経営を行っている企業が今後伸びるとは思えません。
私たちが考えなければいけないのは、「どの資格をとれば食っていけるのか」ではなく、「自分がどのような形で世の中に、あるいは企業の業績に貢献していくのか」、そして「そのためにいま自分が身につけなければいけない能力は何なのか」ということではないでしょうか。
本書はその中でも、企業の業績に貢献するために身につけなければならない能力のうちの、最も基礎となるものを紹介しています。
内容としては例えば「英語力」だとか「簿記の知識」といった類のスキルよりも、「あいさつ」や「笑顔」にはじまる、人と上手く協調し、チームとして働く上で大切な習慣、心構えと言えるものが多いです。
パーソナル・ブランディングの時代ということで、個人のスキルを磨くことばかりにとらわれていると、独りでできることには限りがあり、大きな成果を出すためにはチームプレーの力が必要であることを忘れがちです。
転職の際に最も重視される項目の一つに「現職での具体的な実績として、プロジェクトの中でどのように活躍したのか」というものがあるようなのですが、チームプレーをおろそかにしてきた人はここが致命的な欠点になりえます。
特にこれから就職する人や、若手ビジネスパーソンには、気づきが多い一冊ではないかと思います。
以下、気になったものを個別にピックアップして紹介します。
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● 飲みニケーションで本音トークを
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お酒を飲みながらのコミュニケーション、つまり飲みニケーションには、3つのメリットがあります。
1.上司部下の垣根を取り払い、立場上の距離感をなくす
2.お互いの本音がわかり合えて、仕事上の指示命令系統が円滑になる
3.思いもかけない個性やおいたち、弱みなどを見せることによって、親近感が生まれ、思わぬ趣味で意気投合し、信頼感が増す
最近は飲みを断る若者が多い、というのは様々な書籍で書かれていることですが、私も正直、できれば避けたいという気持ちがあります。
根底には「帰って読書したい」「勉強したい」という気持ちがあるわけです。
しかし上でもいいましたが、仕事は独りでやるものでない以上、職場での関係作りも大切ですね。
これもある意味自分への投資だと思って、上手くこなしてみたほうがよさそうです。
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● 誠実あるのみ
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誠実な態度とは、心と言葉と行動の3つが一致していることです。
これは大変わかりやすいですね。
さて、今でこそ大悪党と言われるヒトラーですが、もし彼が自分が正しいと思ったことを貫いていただけであるならば、彼も誠実だったということになります。
「そんなことはない!ヒトラーは間違ったことをしたんだ!」と言うかもしれませんが、それは今だからこそ言える結果論であって、当事は彼のやり方が正しいと考えていた人は、彼以外にも多かったはずです。
そうでなければ、他にもいろいろ要因があったにせよ、彼があれほどの権力を握れることはなかったでしょう。
何が正しくて、何が間違っているかなんて、結局わからないのです。
私たちにあるのは、自分が正しいと信じる道を行くか、周囲の意向に左右されながら歩いていくかの、2通りだけなのです。
周囲の意向に左右されるのは、確かに無難な道で、実際に多くの人はこの生き方を選択しているのではないでしょうか。
しかし、もしそういう人ばかりで世の中が構成されていれば、イノベーションは決して起こることはなかったでしょう。
自分の信じる道を突き進めば、飛行機、ウォークマン、マッキントッシュ、iPodなどなど、常識を破る今までにない画期的な価値を生み出す可能性があります。
しかし同時に、ヒトラーのような大悪党を生み出す危険性もあるのです。
両者の間にバランス感覚などないと思います。
リスクを承知で腹をくくれる人だけが、自分の信じる道を開拓していくことができるのです。
なので、確かにヒトラーのやったことは間違っていたと思いますし、私は彼の思想を否定していますが、自分が正しいと思ったことに自分の言葉と行動を一致させたという一点において、彼はすごかったのだと思っています。
誠実でいるということは、なかなか大変なことですね。
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● 即断即決が成功の元
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グローバル化が進む現代社会では、できるだけ瞬時に決断することが求められています。
いかに事前に入念な準備ができるかが、正しく即断即決するための鍵となるのです。
よく「チャンスの女神は前髪しかないから、目の前を通ったときに素早くつかまないとけない」といわれるのを聞きます。
では、素早くつかめる人の条件とは何でしょうか?
「いつもアンテナを敏感にしている人が、チャンスに気づいて、つかむことができるんだ」という人がいますが、私はそれは少し違うと思います。
いくらアンテナを敏感にしていても、チャンスに対して準備が出来ていない人は、決してそれをつかむことはできません。
例えばですが、とある重要プロジェクトのメンバーを募っている場面にでくわしたときに、そのプロジェクトにふさわしい能力を身につけていない人が、そのチャンスをつかんで生かすことができるのでしょうか。
私は、それはチャンスではなくピンチをつかんでいるのだと思います。
例えば、海外への転勤を命じられたとします。
日頃から語学力をはじめ、自分の能力を磨いてきた人にとっては成長するための大きなチャンスとなるでしょう。
しかし、ろくに自分を磨いてこなかった人にとっては、「言葉も通じないところで働かなくてはいけない」というピンチになるのです。
つまり、努力しなくてもチャンスさえ上手くつかめば成功できる、なんていうことはありえないのです。
「即断即決が大事」「決断力が大事」とは言いますが、そこにいたるまでにどれだけの準備をしてこれたのか、ということが一番重要なのです。
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選ばれ続ける社員の法則77 出世が早い!にはコツがある | |
浜口直太
出版文化社 2009-01-30 おすすめ平均 |
ブログ「ビジョンと情熱」にて、マックさんが書かれている記事が非常に共感するところが多かったので、紹介させていただきます。
彼は日本で有数のメガバンクに勤務し、今年で4年目。
そんな彼が悩んでいるというので相談にのりました。
巨大企業で勤めていくうちに周りの仲間との仕事観のギャップが浮き彫りになってきて
自分が将来どうなっていくのか、本当はどうしたいのかわからなくなってきたそうです。
もともと大企業に就職する気持ちが強く、「何を成すか」より「どこでやるか」を優先していたからです。
ただその短絡的な考え方で決めた仕事に、入社してから意義を求めるのはおかしいと思います。
自分の人生の答えは自分で出さなければなりません。
そしてその答えには自分で責任を持たなければなりません。
考えずに答えを出し、責任を他に押し付けるような人生を送るのなら
不平・不満を言うのは間違っています。
詳しくは是非、こちらから直接読んでみてください。
特に今就活中、もしくは近い将来就活をするという学生の方には、是非読んでもらいたいと思います。
また、関連書籍としてこちらの本は非常にオススメなので、是非あわせて読んでみてください。
ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか | |
田辺 希久子
ダイヤモンド社 2004-01-08 おすすめ平均 |
2 Comments
紹介していただいてありがとうございました。
これから就職活動も盛り上がってくるみたいですが、しっかり悩んでほしいですね。
マックさん
就活中は、いろいろと考えなくてはいけないことって、多いですよね。
もちろん自己分析は大切だと思うのですが、今までに普段どれだけ
物事を自分の頭で考えてきて来れたかということは、
かなり大きくなりそうですね。