小山昇さんの著書、「辞めない採用、即戦力の育成で儲かる会社になる!」を読んだ。
本書は株式会社武蔵野、代表取締役社長である著者が、中小企業の人材採用・人材育成戦略を語ったものです。
かなり細かいノウハウまで紹介されているので、中小企業経営者にとって一度は目を通しておくべき一冊だと感じます。
商品で差別化しようとしても他社にすぐに真似されてしまいがちですが、「人材」というのは簡単には真似することの出来ない、差別化されやすい部分です。
人の成長には時間がかかるので、いい人材を採用して、効果的な教育を受けさせ、育成することに成功すれば、長期的な強みになりえます。
しかし問題なのは、中小企業に人が集まらないこと。
採用のなかでも特に将来性のある新卒採用に力を入れるよう著者は説いているのですが、困ったことに学生の多くは「ブランド志向」で、名のある大企業ばかりに目が行き、中小企業には見向きもしない。
しかも近年は売り手市場で、大企業がこぞって大量採用を行うため、中小企業にはいい人材がめぐってこない。
やっとの思いでいい人を採用できたと思っても、すぐに転職してしまう。
しかしそのような中でも採用活動の上手な企業は、しっかりと人材を確保しています。
上手に教育を受けさせれば社員は定着し、どんどん成長していきます。
ここで一つずつ取り上げてもきりがないほど本書にはそのノウハウやテクニックが詰まっているので、中小企業に限らず、採用に関わる人なら読んでおきたい内容です。
著者は本書の中で好ましくないと述べていますが、就活を前にした学生が読んでも価値のある一冊だと私は思います。
理由は、採用の裏側が手に取るようにわかり、就活の対策が立てやすいからではなく、就活をする際に最も気をつけなければならないことが分かるからです。
本当にブランド志向、安定志向の学生が多いと私も感じますが、自分が今後働く企業を選ぶ際に最も重要なのは、企業の名前でも知名度でもなく、「自分の価値観と企業の価値観が合致しているか」だと私は思います。
どんなにブランドのある会社に入っても、結局お互いの価値観があわなければ本当に満足してその会社で働くことは出来ないのではないでしょうか。
男女の関係と同じで、価値観があわなければいずれ離れます。
会社を辞めることはなくても、心が離れたままでは真剣に仕事に打ち込むことも出来ず、成果も出せないでしょうし、それは結局不幸でしょう。
そもそもそんなやる気を失った社員が目に付くような組織として脆弱な企業では、将来の発展も期待出来ません。
目先の安心にばかり目を向けた就職活動をしても、それは問題を将来に先送りしているに過ぎません。
いずれ自分に返ってきます。
著者の小山さんが学生を採用するときも、「価値観があうかどうか」を大前提にしているのだそうです。
本書の中では実際にどうやって学生の価値観を見抜くのかも解説されています。
私は学生も、企業の価値観を見抜く術を持つべきだと思います。
参考になる一冊なので、是非読んでみてください。
と、就活を終えたばかりの内定者の私が言ってみました。
以下、私用メモ
学歴よりも、体験を重視する(アルバイト、クラブ活動など)
社長自らが新卒に出て行き、夢を語るしかない
毎年同じくらいの人数を採用すべき(2年目が育たない)
内定者研修でコミュニケーションを増やし、入社前の不安を解消→内定辞退を防ぐ
辞めない採用、即戦力の育成で儲かる会社になる! | |
小山 昇
あさ出版 2008-08-19 おすすめ平均 |
2 Comments
僕も採用担当経験したので、lemonedさんのブログを読んでだいたい想像できました。
私用メモのところはうちの会社では今年から全部始めました。
企業にとっても学生にとっても採用のミスマッチが一番痛いですよね。
だからこそ企業理念が大事になってくるし、その理念を一番強く抱いている社長自ら学生に熱意を語ることが一番の採用活動になる。
問題としては企業理念のミスマッチもありますが、職場環境のミスマッチで失敗するケースも多いということです。
この本で書いてあるか分からないですが、自社のいい所だけを宣伝して、学生が入ったら「実は・・・」みたいなのがたぶん一番学生が失望するパターンのような気がします。
ですから学生も企業側の採用理論を学ぶべきだと僕も思います。
無駄な転職活動ほど無駄な時間はないですからねぇ。
マックさん
>企業にとっても学生にとっても採用のミスマッチが一番痛いですよね。
そうですよね、せっかくいいものを持っていてもそれがかみ合わなければ、
お互いが不幸になりますからね。
>この本で書いてあるか分からないですが、自社のいい所だけを宣伝して、学生が入ったら「実は・・・」みたいなのがたぶん一番学生が失望するパターンのような気がします。
採用は学生に対する責任の伴う活動なので、そういう卑怯なことを
企業側はするべきではない、と本書でも主張されていますね。
同様に学生も自分を優等生に見せるべく一生懸命「別人」を演じがちですが、
これも同じ理由で辞めるべきだと思います。
>ですから学生も企業側の採用理論を学ぶべきだと僕も思います。
>無駄な転職活動ほど無駄な時間はないですからねぇ。
まさにそのとおりですね。