日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由 | |
久手堅 憲之
技術評論社 2008-03-28 おすすめ平均 |
久手堅憲之さんの『日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由』を読みました。
本書は日本のソフトウェア産業が抱える問題を、
●企業
●エンジニア
●業界
●顧客
という4つの切り口から解説したものなのですが、これを読むと改めて日本のソフトウェア産業の未成熟さを認識させられます。
ポイントだけ抜粋すると、
「組織では技術力がある人ほど失敗したり悲惨な目にあっている。便利な火消し役として使われているんです。火消しに追われて逃げない人が最後に責任を押しつけられるから、現場で便利なファイアーマンは出世もできないですね」
「会社の求めに応じて管理職にならないと給料が上がらない。上がらなくてもいいっていう技術者は、年功序列の会社ではお荷物になる。技術力に合った給与体系でないのは、会社は技術力のあるなしで給料に差をつけませんということ。つまり、勉強したり努力したりする意味はないよ、というメッセージになりますね」
「日本のSEは勉強しないですね。ぬるい社会を反映しているのでしょう。何をやっても食っていけるから、プロフェッショナル意識が薄い。アジアではこうした業種は給料が高いので、みんな懸命に努力していますよね。
「誰でも知っている大手に発注しておけば、失敗したとき『あそこでもダメだったんだから』ですむけど、自分で探してきた新興ベンダーなんかに頼むと、『誰がこんな連中を呼んだんだ』と責任を追及される。日本の会社はそういうところがありあすね」
(中略)
「そういう会社は、結局IT化しちゃいけないんですよね。IT化を機械化だと勘違いしている経営者が、まだまだたくさんいます。機械化と仕事を効率化することは、イコールではないはずなんです」
となるのですが、ITに関して無頓着なユーザーと、そこに漬け込んでいい加減な仕事をしている企業という関係像が浮かび上がってきます。
日本のソフトウェア産業は死滅したと揶揄されるのもわかる気がします。
今後はクラウドの時代がやってきて、どの企業もドメインをシフトせざるを得なくなると思いますが、日本のIT企業はどのようなポジションで巻き返しを図るのか、興味深いですね。
日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由 | |
久手堅 憲之
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3 Comments
TAKUさん、お帰りなさい!(・・三日前でした。)
TAKUさんが行方をくらましている間に、無事に骨がくっつきました。遠くから念力を送ってくださってありがとうございます!(・・。)
さて、この本は面白そうですね。特に、「IT化を機械化だと勘違いしている経営者が、まだまだたくさんいます。機械化と仕事を効率化することは、イコールではないはずなんです」というところ。
私も深く考えずに、なんとな~くこういう風に考えていたフシがあります。「なんでもかんでもITだ!」・・ってわけじゃないんですね。
ビジネス太郎さん
ただいま帰りました!
私の念が通じたようで何よりです(笑)
IT投資の効果は業務が効率化されたかどうかといった「成果」で測られるべきなのですが、
企業によってはIT投資の予算を消化することが目的になってしまって、
IT投資事態が目的になってしまうのだそうです。
ユーザー側がかなりゆるいので、未だに人月計算での受注が足りなっているのでしょうね。
なかなか溝が深そうです。
日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由
日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由
ソフトウェア産業側の問題も
ユーザー(客)側の問題も書かれていて、
バラン…