石川和幸さんの著書、「思考のボトルネックを解除しよう!」を読んだ。
最近は勉強ブームで、多読・速読による情報の積み上げや、ロジカル・シンキング、フレームワーク力などの手法・テクニックを身につけることが注目されています。
しかし、これら「身につけたもの」をいかに訓練し、「身に染み込ませる」ことで有効にアウトプット=成果につなげるかを包括的に扱ったのは、私が読んだ限り本書が初めてです。
本書で面白いのは、ボトルネックという考え方です。
知識、つまり頭のよさを、本書では
●情報―言葉やデータなど
●手法―フレームワーク、ロジカル・シンキングなど
●技能―情報と手法を実際に使いこなすための技術
の3つに分解しています。
例えばいくら知識と手法が優れていても、技能のレベルが低ければそれらを生かすことが出来ず、最終的に出てくる成果はしりづぼみになってしまいます。
逆にいくら技能に優れ、実践的な応用力が高いとしても、そもそもの使いこなす材料である知識・手法が不足していては、せっかくの技能を無駄にもてあますことになります。
このように、情報・手法・技能はそれぞれが制約しあっていて、どれかがリミッターとなることで、パフォーマンスを制限してしまいます。
そのリミッターとなっている部分が「ボトルネック」であり、ボトルネックがアウトプットの質を決めてしまう。
つまり、ダメな部分にあわせられてしまいます。
本書では成果を生み出す公式を
知識(情報×手法×技能)×選択×活力=成果
とあらわしており、この5つの要素の中のボトルネックを解除することで、最終的な成果を最大化することが、本書の言わんとすることです。
自分にとってどの部分がボトルネックになっているのかを割り出し、本書の手法を参考に改善してみるのは非常に有用だと感じます。
紙面の量的には少ないのですが、実は著者のメッセージが一番こめられているのは、「選択のボトルネック」ではないかと思いました。
「選択」のボトルネックは、あなたの「居場所」と「向かうべき場所」を決めてしまいます。
逆に言うと、「選択」がボトルネックになって、「知識」のボトルネックをいくら高めても、その努力が無駄になるおそれもあります。
例えば自分の可能性を信じていなかったり、常識や思い込みにより自分の中で「前提」を作ってしまい、自ら選択の幅を狭め、「自分はこの程度だ」と居場所を選択してしまう。
ある意味、これは最大のボトルネックです。
このボトルネックが外れたとき、どんな社会が待っているか。
「人はなんにでもなれるし、何でもできる」
「前提をなくせば、世界が違って見える」
「選択するとは、責任を引き受け、未来を引き受けること」
「志や夢、情熱を持ち、それらに基づいた選択をする」
「答えのないものに対して未来に向けた決断をする」
一人ひとりがより自分の内なる声を信じ、本当になりたいもの、やり遂げたいことを実現するべく自信と勇気と信念を持って取り組むようになれば、世界はよりよくなるのではないでしょうか。
読んでいて気持ちのいい、一冊でした。
参考リンク:
思考のボトルネックを解除しよう! – to-rainbowsのビジネス書日記
以下、私用メモ
ボトルネック改善の五つのステップ
1.ボトルネックを特定する
2.ボトルネックを最大限活用する
3.他を、ボトルネックに同期させる
4.ボトルネックの能力を引き上げる
5.また1.に戻る
ECRS―付加価値最大化と非付加価値最小化の手法
●Eliminate(なくせないか)
●Combine(いっしょにできないか)
●Re-order(順番を変えられないか)
●Simplify(単純化できないか)
机上練習
●何度も練習する
●「シミュレーション」する
●「ケーススタディ」で現実に当てはめてみる
思考のボトルネックを解除しよう! | |
石川 和幸
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-08-18 おすすめ平均 |
4 Comments
内容のまとめ方が素晴らしいですね、いやぁ参りました。
常に目的意識を持って、本と対話してる人のサマリーですね。
この本は僕も読みたいなぁと思ってたので、先を越されて若干悔しいです(笑)
さっそくアマゾンで注文します。良書を紹介してくれてありがとう!
>知識(情報×手法×技能)×選択×活力=成果
掛け算ということはどれか一つが0だと0になってしまいますね(^^;
私に足りないのは技能かなぁ。
本書で勉強してみます!
ありがとうございます!
LEMONed様
思考のボトルネックの著者の石川です。
気持ちの良い書評ありがとうございます。
このように読んでいただけると、本当にすがすがしい気持ちにさせられます。
次回作もがんばりますので、宜しくお願いいたします。
>マックさん
大変励みになるコメント、ありがとうございます!
本書は著者が魂を込めて執筆した思いが伝わってくる、
本当に読んでいて気持ちのいい良書です。
是非、読んでみてください。
コメントありがとうございました!
>BJさん
>掛け算ということはどれか一つが0だと0になってしまいますね(^^;
た、たしかに…(笑)
実は私も技能がまだまだだと感じていて、
早速今までに本で学んだフレームワークをファイルにまとめて、
常に携帯して思い立ったときに当てはめてみる練習を
しようと考えています。
本を読んだら、何か一つ行動が変わっていたいですね。
>石川 和幸様
読んでいて元気の出てくる、
素晴らしい本を提供していただき、
本当に感謝しています。
「人はなんにでもなれるし、何でもできる」
これは読者に対して石川さんが
未来への責任を引き受けているのだと感じ、
なんと芯の強い人なのだろうと
あこがれてしまいました。
次回作も、楽しみに読ませていただきたいと思います。
コメント、ありがとうございました!