伝説の外資トップが説く リーダーの教科書 | |
新 将命
ランダムハウス講談社 2008-11-28 おすすめ平均 |
新将命さんの『伝説の外資トップが説く リーダーの教科書』を読みました。
本書は今までに読んだリーダーシップ論に関する著書の中でも、私的に3指に入る一冊でした。
まだまだ実感のわかない箇所も多かったのですが(というより実感のわかない箇所のほうが多かったですが)、著者のリーダーシップや経営に対する理念には非常に説得力・一貫性があります。
以前読んだ、同じく素晴らしいリーダーシップ・マネジメント論の一冊、『即戦力の人心術』はかなり感情に訴える力が強い一冊でしたが、本書はものすごくロジカルで、体系的です。
第1章 これからリーダーになる人へ
第2章 リーダーとして歩き始めた人へ
第3章 リーダーシップをさらに磨きたい人へ
第4章 選ばれたリーダーをめざす人へ
という章立てになっていて、これからリーダーを目指す若いビジネスパーソンから、既にリーダーとして活躍している人まで、実に幅広く対応しています。
若い人にとっては、リーダーとして歩き始めた後を見据えて今やるべきことをおさえることができるというのも魅力ですね。
繰り返し参照して、辞書的に活用したいと思いました。
以下、自分が考えたことをまとめてみます。
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● 「サラリーマン」ではなく「ビジネスマン」になれ
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「サラリーマン」と「ビジネスマン」は違う
(中略)
サラリーマンとは、会社に仕事をしにいく人のこと。
(中略)
ビジネスマンとは何か。会社に結果を出しにいく人のことだ。
最近思うのですが、会社から与えられる給与をお小遣い感覚でとらえている人が多いのではないでしょうか。
自分がもっとスキルを磨き、成果を出すことをするわけでもなく、「給料が他社と比べて低い」とか「給料がなかなかあがらない」と愚痴をこぼす人を見ていると思うのですが、お金ってお小遣いとして「もらう」ものではなくて、自分で「稼ぐ」ものですよね。
また、何々の資格を持っているとか、何々のスキルがあるとかだけではダメで、それを通して自分がどのように他社および世の中に価値を与え、貢献するのかまでを考えなければ、お金をもらうことなどできないと思います。
私は貢献に対して報酬を得られる立場でありたいと思います。
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● 願望だけで成功した人はいない
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願望だけで夢を実現したというビジネスパーソンにお目にかかったことはただの一度もない。
重要なのは、願望を目標に変換することだ。そのうちそのうち、というのが願望。いつまでに、何をやると決めるのが目標。
(中略)
そして私は、さらに行動計画を付け加えたものが目標だと定義している。
何度か「成功したいな、と漠然と考えているだけではいくら本を読んでも無駄なのではないか」と書いたことがありますが、それを分かりやすく教えてくれる一文だと思います。
ただ、多くの読書術本で「目的・目標を持って読むこと」と書いてある影響からなのだと思うのですが、一冊一冊に対して目標・テーマを絞って設定して読んでいる人が最近多いなと感じます。
例えば「この本ではリーダーシップを学ぶ!」「この本ではマーケティングを学ぶ!」といった具合ですね。
私はそのように一冊一冊に個別のテーマや目標を設けるよりは、何か自分自身の人生や生き方に目的や目標を持って、それを実現する上でこの一冊の本がどのように役立つだろうかと考えながら読むほうが、学びが多く、実践に生かしやすいのではないかと思います。
例えば今私がリーダーシップ論を学ぶことを目的に本書を読んだところで、実践で生かせる機会は現時点でほとんどないでしょう。
しかし自分の目的や目標に照らし合わせて、それらを実現する上でリーダーシップを磨き、リーダーとなるということは有効な手段になりえるのだろうか、ということを考えることはキャリアの方向性を考える上で有用だと思います。
結局いくら目的・目標を持って本を読んでも、肝心のそこから得られた学びを蓄積する「一つの軸」が自分になければ、ほとんど意味がないと思います。
一冊の本にではなく、自分の人生や生き方にまずは目的・目標を作ることが大事だと思います(もちろん、まずは自分の人生や生き方に目的や目標を見つけるために本を読む、というのは良いと思います。それに関しては梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく』の「ロールモデル思考法」が大変参考になります)。
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● 「できる人」と「できた人」
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仕事ができるというだけで、果たして人はついてくるだろうか。
(中略)
そうではなくて、「あの人のためなら」と思ってもらうだけの魅力こそが、人を動かすのだ。それこそが、人間力であり、マインドなのだ。優れたリーダーは、スキルという仕事力で人を説得し、マインドという人間力で人の感情を揺り動かすのである。だからこそ、大きな仕事ができるのである。
逆に言えば、大きな仕事をしようと思ったならば、人間力と仕事力の両方を身につけなければならないということですね。
私自信の目的を考えると、組織のリーダーになる必要性は必ずしもないと思うのですが、「社会的リーダー」にはならなくてはならないのではないかと思いました。
そのために自分に必要なのは何か、また一つテーマが増えました。
また、次の一説で「才能」「資質」というものについて少し考えてみたいと思います。
リーダーマインドを高めるために何より重要なのは、「情熱」である。(中略)何かに立ち向かおうというパッションがあるかどうか、だ。願望、希望、野望、欲望、なんでもいい。
『さあ、才能に目覚めよう』でストレングス・ファインダーを受けると、自分の5つの資質を知ることができますね。
この本は、ただ試験を受けるだけでなく、じっくりと本文を読むことが不可欠だと思います。
結局あの本で分かるのは「才能」「強み」ではなく、「資質」であり、「強みの源泉」なんですよね。
大事なのは「どういうときに自分は喜びを感じるのか」「何をしているときに情熱を燃やせるのか」ということだと思います。
スポーツが一番分かりやすいのですが、イチローにしても中村俊輔にしても、大変な努力を積み重ねています。
しかし彼らは本当に「つらいけれども一生懸命歯を食いしばって努力している」のでしょうか。
私は違うと思います。
彼らには「野球がすき」「サッカーが楽しい」という感情と、「プロになりたい」「ワールドカップに出たい」といった目的から生じる情熱があって、だからこそ日々のトレーニングも苦痛ではなくなり、継続することができたのではないかと思います。
スポーツ選手ではなく、ビジネスパーソンにしても、何かの分野で一流と呼ばれるには1万時間の学習・トレーニングが必要だと言われています。
結局それだけの努力を積むことができるかどうかは、それを努力と感じさせないもの、つまりは
●「目的の強さ」から生まれる情熱
●目的を実現するための手段を自分の資質にあった、好きなものにすることで生まれる情熱
の2つで決まるのではないかと思います。
なので、私はあの本で自分の資質を知っておくことはとても有用だと思います。
試験を受けていても、実際にはあまり活用されていない方が多いなと感じますが、大変もったいないなと感じますね。
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新 将命
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One comment
初めてメールを送信させていただきます。
インフォトップ出版の串田と申します。
私共インフォトップ出版は、来月の10月に、2冊の新刊を発売いたします。
つきましてはこの2冊を献本させていただき、発売前にご覧頂きたいと考えまして、
ご連絡をさせていただきました。
10月上旬
【仕事に役立つ交渉術】著者:佐藤 満【決断の作法】(仮タイトル)著者:新 将命
ぜひとも弊社の新刊を発売前にご覧いただき、
忌憚のない書評をブログの中でいただければと思い、
ご連絡いたしました次第です。
発売開始まで若干、お時間がございますが、
ぜひとも発売前にお手にとっていただき、
お読みいただければ幸いです。
弊社からの献本をお許しいただける場合には、
●新刊(郵送もしくはメール便)
●ブログ掲載用の装丁画像データ(メールに添付)
●目次データ(メールに添付)
上記の内容をお送りさせていただきます。
ほかに必要なものがございました場合、可能な限り
お送りさせていただきますので、ぜひとも送付先を
お教えくださいませ。
お忙しい最中、まことに恐縮ではございますが、
ぜひご返信いただけますよう、何卒よろしく願い申し上げます。
株式会社インフォトップ出版
串田真洋
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