小沢正光さんの著書、「プロフェッショナルプレゼン。 相手の納得をつくるプレゼンテーションの戦い方。 」を読んだ。
プレゼンで相手をなんとか説得しようと、たくさんの主張を盛り込んでしまい、結果的に何が言いたかったのか良く分からない、視点のぼけたプレゼンになってしまうことは良くあります。
伝えたいメッセージを絞り、プレゼン全体で何か一つの主張が出来る形に仕上げると、聞く側も理解しやすく、洗練された印象を受けるのではないかと思います。
本書はまさに相手に「理解されること」を念頭に置いた洗練されたプレゼンとは何かを、博報堂での35年間のキャリアを元に著者が示したものです。
著者によると、多くの場合プレゼンがうまくいかないのは、相手を説得しようとしてしまうからなのだそうです。
たしかに、話す側の目線で何とか主張を通そうと躍起になっても、多くの場合それは相手の求めるところではないと感じます。
聞く側が求めているのは「説得」ではなく、適切な判断を下すための「説明」です。
クライアント側は最終的に自分たちにとって最も有益だと判断した案を採用するわけですから、必要なのは「説得する技術」ではなく、洗練された魅力的な案と、それを分かりやすく相手に伝える技術なのです。
本書で示されているプレゼンノウハウは明快です。
プレゼンのコンセプトやゴールの設定から、論理展開の組み立て、そして実際のプレゼン現場での動きまで、順序だてて解説されており、非常に理解しやすいです。
一つ一つのステップが「ゴール」に直結しているので、全体で一つのメッセージを表現する、洗練されたプレゼンづくりが学べます。
プレゼンの概念を理解するにはうってつけの一冊ではないでしょうか。
お勧めです。
以下、私用メモ
準備
●ゴールを決める
・このプレゼンはなんのためにやるのか?を問いかける
・ゴールがはっきりしてはじめて、プレゼンの方向性や方法論が決まってくる
●相手を知る
・相手の価値観を踏まえた提案を考える
●ゴールの「ひとこと化」
・プレゼンのコンセプトをひとことで表現できるくらい洗練されてなければ、相手は理解できない
組み立て
●目次づくり
・「ひとこと化」されたコンセプトをもとに、それを肉付けする項目を考える
・まずは思いつく限りあげ、それから絞っていく
・項目と項目のつながりが論理的であり、かつ、論理展開が平易でなければならない
・論理の破綻や飛躍はNG
・理想は、最初から黙って聞いていれば頭のなかに論理が組みあがっていく展開
●フレーズ化
・それぞれの項目を企画書に落とし込む
・1項目1枚が原則
・内容は短い1行に「フレーズ化」して表現する
・フレーズは「話す内容のまとめ」ではなく、「メッセージ」
・「短い」「言葉の意味がわかりやすい」「気持ちを動かす」がポイント
●数字データ
●シンボリックデータを一つ入れる
●提案が妥当かどうかをあらわす数量化されたデータを示す
●クライアントの要望にそのまま応えるプランと、自由に考えたプランの2つを用意する
●アイデアは2回壊して本物にな
●リハーサルは他の人にしてもらい、クライアントになったつもりで見る
●事前に自分を知ってもらうため、プロフィールを渡しておく
プロフェッショナルプレゼン。 相手の納得をつくるプレゼンテーションの戦い方。 | |
小沢 正光
インプレスジャパン 2008-09-12 おすすめ平均 |
2 Comments
プレゼンで、パワーポイントをやたら装飾してキレイに見せるやり方はコンサルから派生していますが、こんな手法を見ると原点に戻れる気もしています。
『高橋メソッド』
http://www.rubycolor.org/takahashi/takahashi/img0.html
もうご存知かもですが(^^;
BJさん
知りませんでした、ありがとうございます!
これを見て真っ先に、Steve JobsのMac Worldでのプレゼンを
思い出します。
大きな文字で一行書いてあるだけなんですけど、
それが逆に明快で、
話のほうに集中できるんですよね。
パワーポイントをひたすら読ませるのではなく、
あくまで話を聴く際の補助資料としてのパワーポイントの活用を
心がけたいと思います。