ダニエル・ピンクの著書、「フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか」を読んだ。
本書は以前、hiroさんのブログにて紹介されていた一冊です。
二〇世紀後半、アメリカの社会と経済を理解するカギは、「オーガニゼーション・マン」だった。それに対して、二一世紀前半のアメリカを象徴する人物像は、フリーエージェント―すなわち、決められた一人の上司の下で働くのではなく、大きな組織のくびきを離れて、複数の顧客を相手に、自分にとって望ましい条件で独立して働く人たちである。
2001年に出版されたので、現在の状況とはまた少し変わっているのかも知れませんが、フリーエージェントの実態に迫り、今後のフリーエージェント社会の未来像を描いた、なかなか面白い一冊です。
簡潔にまとめると、現在アメリカではフリーエージェントと呼ばれる人たちが増加しているようです。
その数、なんと3300万人(2001年当事)といわれ、アメリカの労働人口のほぼ1/4にあたるのだそうです。
その背景には、
1.従来の、従業員が忠誠心と引き換えに会社から安定を保障してもらうという関係が崩壊
2.生産手段が小型で安価になり、個人でも所有できるようになった
3.社会が発展した結果、仕事の目的は稼ぐことだけではなく、やりがいを求める人が増えた
4.組織の寿命が短くなった
というアメリカ社会の変化があったそうです。
これって、ある程度現代の日本にも言えることですよね?
しかし、かたやアメリカではフリーエージェントと呼ばれる人たちが、
●組織に身を隠すのではなく、自分の仕事に責任を持って
●自分自身の成功の定義に従い
●自由、自分らしさを求めて
働いているのに対して、日本ではニート、フリーターが社会問題になっています。
この違いは何なのでしょうか?
日本もアメリカみたいにフリーエージェントが増えればいい、とまでは思いませんが、フリーエージェントのいい部分を日本の組織人ももっと吸収したほうがいいのではないかと、本書を読んで思いました。
例えば、
●組織に身を隠すのではなく、自分の仕事に責任を持って
という部分は、特に今後重要になってくると思います。
●終身雇用制度、年功序列制度の崩壊
●安い労働力の輸入
●進むグローバル化
などといった環境の中、もはや個人が組織の中でろくにトレーニングもせずにぬくぬくとやっていけるとは思えません。
ぬるま湯につかっていたら、ある日会社が倒産、もしくはリストラにあって、ろくにスキルを磨いてこなかったためにどの企業も雇ってくれず、再就職先がみつからない。
そんな事態にならぬよう、今後は個人が会社のブランドではなく、個人のブランドで稼げるようにならなければならないのではないかと思います。
また、いつでも会社を辞められる立場にあるからこそ、しがらみを気にせずに起こせる行動もあります。
そういう人が組織を改革していき、価値のあるアウトプットを通して成果を積み重ねていくのではないでしょうか。
フリーエージェントの働き方から、私たちが学べるものは非常に多いと思います。
なお、ピーター・モントヤの「パーソナルブランディング 最強のビジネスツール「自分ブランド」を作り出す」とあわせて読むと、より効果があると思います。
是非読んでみてください。
フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか | |
Daniel H. Pink 池村 千秋
ダイヤモンド社 2002-04 おすすめ平均 |
2 Comments
こんばんは!
>フリーエージェントのいい部分を日本の組織人ももっと吸収したほうがいい
そうですね。もっと柔軟な発想を一組織人を持つ必要があると思います。
フリーターとフリーエージェントがまるで日本人とアメリカ人をそのまま言い換えたみたいで、もっと、日本人頑張らないといかんのでは と思う次第ですね。
hiroさん
>フリーターとフリーエージェントがまるで日本人とアメリカ人をそのまま言い換えたみたい
本当にそうですね(^^;
気付いた人からまず、日本を変えて行きたいですね。
ご紹介、ありがとうございました!