デイジー・ウェイドマンさんの著書、「ハーバードからの贈り物」を読んだ。
ハーバード・ビジネススクールの最終講義にて行われる教授のスピーチを集めた本書には、これから自らの道を切り開いていく若者に対するいくつもの大切なメッセージがこめられている。
人生にもビジネスにも、確実なものはひとつもない。結果を保証するものは何もないのだ。それでも決断は下さなければならない。(中略)そして世界は、肝心の事柄から注意をそらせる雑音に満ち満ちているのだ。
(中略)
ビジネスにおいても人生においても、クリエイティブな行動を起こすには勇気と自信が要求される。言い訳を見つけて新しい挑戦をせず、決断を下さず、行動を起こさないほうが楽なことは多い。(中略)一方、変化を起こすためには、自らの知力と能力に自信を持つこと、そして経済的のみならず道徳的・倫理的に何が正しいかを見定める自らの内なる羅針盤に自信を持つことが必要なのである。
(中略)
自分自身を信じること、これに尽きる。(中略)何もしないほうが楽だからといって、世界に変化を起こす機会を逃さないでほしい。雑音は無視し、大げさな喧伝には耳を貸さないことだ。勇気を持って前に進もう。自らの情熱にこそ耳を傾け、自らの内なる羅針盤を信用し、自分自身と人類全体、その両方について考えよう。そうすればきっと、価値あるすばらしいことを成し遂げられるはずだ。
その結果、意識的にせよ無意識的にせよ、自分の人生を同窓会に向けてコントロールしはじめ、短期間で履歴書にハクがつきそうな仕事を選んだり、大金を稼げそうな仕事に飛びつくようになる。すぐに成果の出ない夢や目標は後回しになり、高級車が買えることにつられてやりたくもない仕事に就いてしまう。本来目指すべき目標、本当に自分にとって大切なものを見失ってしまうのだ。
けれどもあふれるほどの才能を封じ込め、叶えられない数々の夢をあきらめていたのは、母のほうだったのだ。母ほどの人なら、社会がもっと価値を認める輝かしいキャリアを築くこともできたはずだ。あの頃、清掃員として働く母を恥ずかしく思っていた私だが、今では母の本当の姿が見える。身を粉にして働き、私のために膨大な犠牲を払ってくれた女性―それが私の母なのである。
「リーダーたれ」という母の言葉には、単に「すべての規則を守れ」というだけではなく、「他の子どもの意見に惑わされて、本来の自分や、自分が正しいと信じることに反することをするな」という意味が込められていた。そして何より、「自分を見失うな」という言葉の裏で、母は私にこう語りかけていたのだ―私はあなたを信じている。そしてあなたに、目の前に広がるチャンスと、この世界で偉業を成し遂げたいという大志にかなった生き方をしてほしいのよ、と。
(中略)
これから未来へ向かって羽ばたくあなたには、大きな期待がかかっていることを肝に銘じてほしい。行く手にある世界は波風も多く不確かなものだ―リスクに満ちている反面、大きな見返りもある。(中略)そこで求められるのは、最高レベルの誠実さと敬意と自己責任の確固たる基盤に立ち、社会に変化をもたらすリーダーだ。目標を高く掲げることを恐れず、大いなる夢と希望を持って、自分を信じ、周囲の人びとを信頼するリーダーである。
あなたはまさにそうしたリーダーの一人となる人間だ。だから私のアドバイスは簡単だ。入念に考え、賢明な選択をせよ。自分の人生を律する価値観や信条をしっかり見極め、それに忠実であれ。
自分を見失わず、思う存分ハイカントリーを駆けよ。
涙が出る内容だった。
邦訳前の本書のタイトル、“Remember Who You Are”の意味が、よく分かった。
すべての人に読んでほしい。
本書は間違いなく、”one of the best books I’ve ever read”である。
紹介してくれたBJさん、ありがとうございます!
ハーバードからの贈り物 (Harvard business school press) | |
デイジー・ウェイドマン
ランダムハウス講談社 2004-09-15 おすすめ平均 |
3 Comments
いい本ですよね!
何回か読み直していますが、都度自分が置かれている状況が違うためか
ぐっとくるエピソードもその都度違ってきたりします。
私にとってもバイブルのひとつです(^_^)/
よく人にもプレゼントしちゃってます♪
BJさん
私も「プレゼントしてでもみんなにこの本を読んでもらいたい!」
と思わずにはいられませんでしたよ。
>何回か読み直していますが、都度自分が置かれている状況が違うためか
>ぐっとくるエピソードもその都度違ってきたりします。
私も読んでいて、今だからこそこれが胸に響くのだろうな、
と感じる部分がいくつかありました。
本当に何度も読み返したいですね!
ハーバードからの贈り物
年始の丸善買い出しツアーで購入したこの本,いい話が満載でした。 ハーバード・