アンガー・マネジメント―アメリカ・エグゼクティブの間で爆発的に普及! イライラ、ムカムカを一瞬で変える技 | |
安藤 俊介
大和出版 2008-09 おすすめ平均 |
安藤俊介さんの「アンガー・マネジメント―アメリカ・エグゼクティブの間で爆発的に普及! イライラ、ムカムカを一瞬で変える技」を読みました。
本書は著者の安藤様、および大和出版の大田原恵美様より、献本いただきました。
今回も著者の安藤様より「思ったことを素直に書かせていただく」という了解を得て献本していただいています。
これからも自分にとって本当に大事なことは何かを見失わずに、記事を書いていきたいと思います。
本書の「アンガー・マネジメント」とは、「感情」の中でもとくにマイナスな結果を引き起こす原因となる「怒り」に正しく対処することで、健全な人間関係をつくり上げる知識・技術を習得することを指します。
「怒り」という感情を完全になくすことはできません。
私たちはどうしてもイライラしたりムカムカしてしまう生き物です。
しかし、怒りに任せて衝動的な行動をとってしまうと、必ずと言っていいほど後で後悔することになります。
そもそも何故怒りという感情はわいてくるのでしょうか。
私は原因は、「~すべきだ」とか、「~して当然だ」といった決め付けや思い込みにあると思います。
●「遅刻しないのは当然だ」
●「仕事に真剣に取り組むのは当然だ」
●「年配の方を敬うのは当然だ」
このような、私たちが普段信じている、あるいは判断の基準にしているものをアンガー・マネジメントでは「コアビリーフ」としています。
怒りと言う感情がでてくるまでに、私たちは
1.出来事に遭遇する
2.その出来事に対し、コアビリーフに照らし合わせて正しいことか、間違っていることか判断、意味づけする
3.意味づけの結果が許せないものだと怒りが発生する
という段階を踏んでいるのですが、ここで大事なことは出来事そのものには怒りの責任はなく、あくまで自分自身の意味づけに原因があるということです。
つまり、コアビリーフにこそ、怒りの原因があるのです。
遅刻はしない、仕事に真剣に取り組む、年配の方を敬う、なるほどそれは素晴らしいことかもしれませんが、本当にそれは「するべきこと」なのでしょうか、「やって当然のこと」なのでしょうか。
実際は、単なる自分自身の欲求なのではないでしょうか。
人それぞれ生まれや育ちは違いますし、育んできた文化も異なるのですから、価値観や考え方が自分とは異なっているのがある意味当然なのです。
にもかかわらず、自分の価値観や考えを当然のものとして相手に押し付けるというのは「エゴ」に過ぎません。
結局、怒りの正体は、意見や立場の違いを受け入れられない自分自身なのです。
あなたを怒らせているものものの正体、答えをいってしまうと、その正体はあなた自身です。
つまり、怒りを上手にコントロールするには、自分自身のコアビリーフに向き合う必要があるのです。
ただ単純に、自分のコアビリーフのうちの一部が自分にもまわりの人にとってもプラスにならないことはあるということです。
「私のコアビリーフは歪んでいないか」と検証できる視点をもち、自分と向き合えることこそが大事なのです。
私はいっそのこと、「~すべき」とか、「~して当たり前」といった考え方は全て捨ててしまってはどうかと思います。
私は高校を卒業した頃から、こういった発言や考え方は一切辞めるようにしました。
それは、決して自分の信念を捨てるということではありません。
自分のコアビリーフが歪んだものであったならば、それは修正しなくてはならないでしょう。
しかし、検証した上でそれでも自分のコアビリーフが正しいとおもったのならば、
●「こうしたほうがあなたにとっても良くなると私は思うんだ」
●「こうなれば世の中はもっと良くなると思うんだ」
という自分自身の意見として、相手に伝えればいいのです。
あくまでコアビリーフを、「~すべき」から、「~したほうがいいと私は思う」という「自分の意見」に変えてしまうのです。
それが相手に納得のいくものであれば、相手にも伝わるでしょう。
必死に伝えれば、それが本当に世の中に寄与する考えであるならば、世の中にも受け入れられるでしょう。
それが人に、そして世の中に影響を与えるということだと思います。
そこには間違いなく、自分の信念があるはずなのです。
「怒り」には、自身の信念を見つけるヒントがあるのです。
本書で紹介されている、
●行動・認識の修正
●コーピングマントラ
●アンガーログを書く
●ストレスの4分類
●自分のトリガー思考を知る
●怒りを相手にぶつけずに自分の思いを伝えるコミュニケーション
といった怒りへの対処法は、どれも非常に参考になるものです。
「怒りに任せた行動で後悔しないために」
「怒りのエネルギーをより生産的な目的に活かすために」
そして、
「自分の信念=コアビリーフを知るために」
是非本書を通して怒りのメカニズムを知り、その対処法を実践してみてください。
非常にお勧めの一冊です。
最後に安藤様、ありがとうございました。
自分の内面をより深く見つめる、良いきっかけをいただきました。
非常にお勧めとさせていただきましたが、読後の素直な感想です。
ありがとうございました。
アンガー・マネジメント―アメリカ・エグゼクティブの間で爆発的に普及! イライラ、ムカムカを一瞬で変える技 | |
安藤 俊介
大和出版 2008-09 おすすめ平均 |
6 Comments
著者の安藤俊介です。この度は拙著の書評を誠にありがとうございました。
>それは、決して自分の信念を捨てるということではありません。
非常に良いところをついていますね。その通りです。コア・ビリーフに向き合うということは、自分を曲げるということではありません。
自分が当たり前と思っていることも、他の人にとっては当たり前でないことはいくらでもあります。それを客観的に見られるようになるということです。
怒りは上手に活用できればとても大きなエネルギーになります。怒りと上手に付き合いながら楽しくいきたいものですね。
今後ともよろしくお願いします。
安藤俊介様
私も日頃、「人それぞれ感じる正しさは違う、自分の考えを押し付けてはいけない」
と肝に銘じるようにしているので、
本書の内容は非常に勉強になりました。
「ついイライラしてしまったな」というときはアンガーログを書いてみて、
自分のコアビリーフと向き合おうと思います。
怒りは上手に活用して、楽しく生きる、まさにおっしゃるとおりですね。
この度はありがとうございました。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
>怒りの正体は、意見や立場の違いを受け入れられない自分自身
確かにそうですね。
以前の頑固で怒りっぽいという自分の性格を見直して見ると
自分の考えの方が正しい!って根拠のない自信が根っこにあったなぁと感じました。
「冷静になぜどういう理由で自分が怒っているかを分析して、相手に伝える」
社会に出てからは、その大切さを本当に身にしみて感じてます。
怒りの相手・対象を一端受け止めるという器も必要ですよね。
orangeさん
私も以前は「自分の考えのほうが正しい」みたいなところがあったので、
よく分かります。
確かに、自分が何故怒っているのかを相手に理解してもらう
コミュニケーション力は大事ですよね。
コメントありがとうございました、よければまた是非いらしてください。
楽しく拝読させていただきました。
文中の
『自分のコアビリーフが歪んだものであったならば、
それは修正しなくてはならないでしょう。』
『必死に伝えれば、・・・』
『そこには間違いなく、自分の信念があるはずなのです。』
は「・・・すべき」「・・・すべきでない」に当てはなるのではないでしょうか?
ひろしさん
拝読していただき、ありがとうございます。
上記の内容ですが、これはあくまで
「こうしたほうがより良いのではないかと私が思っている」
か、
「こうしたいと私が思っている」
ことに過ぎず、それが正解だとか、そうすべきだとか言っているつもりは
ありませんよ。
例えば、自分はコアビリーフを修正するつもりはないという人がいても、
その人に対して間違っているとか、そうすべきではないとか、
そういう風には考えません。