それでいいのか、サラリーマン! | |
天野雅博
三冬社 2008-12-15 おすすめ平均 |
天野雅博さんの「それでいいのか、サラリーマン!」を読みました。
久しぶりにスカッとする一冊を読みました。
「苫米地英人氏絶賛!」というのも納得で、特に「成功」という概念についての考え方はかなり近いものがあると思います。
本書はサラリーマン、特に
●「いつか成功したい」と漠然と考えている
●「成功者」になることを夢見て、『金持ち父さん貧乏父さん』や成功哲学本を読んだり、自己啓発セミナーを受けたりして満足している
という人に強くお勧めしたい一冊です。
著者は、こういう人たちが「成功」することは絶対にないと断言しています。
世の中の自己啓発セミナーと呼ばれるものや、何とかブログラムなどという「成功するための講座」が、あたかも誰にでも平等に成功がやってくるかのようにうたい、そのビジネスの規模を広げているが、はっきりと僕は言い切っておきたい。そんなことは絶対起こりえないと。
『金持ち父さん貧乏父さん』がヒットして、キャッシュフローゲームなるものが世の中に大ブームを巻き起こしたが、その影響を受けて成功した人をあなたは知っているんですか、と僕は聞きたい。
こういったものは、金持ちが自らの生活レベルを維持するために、「がんばって努力すれば、君らも僕らのようになれるんだよ」というまやかしの夢を与えるために築いた仕組みなのだと著者は言います。
私は正直、全てがこのように悪意のあるものだとは思っていませんし、著者にしても警報をならすためにあえてこういう表現を利用した部分も多少あるのではないかと思います。
しかし私は、まるで成功することが目的であるかのように「成功しよう」「成功者になろう」と考えている人は非常に危険だと思います。
かっこつけているわけでもなんでもなく、私には昔から「成功したい」「成功者になりたい」という概念が実はありません。
ブログでも何度か書いたと思うのですが、むしろ安易にこういう表現を使うことがあまり好きではなく、意図的に敬遠しているくらいです。
(そういえば『非常識な成功法則』を書いた神田昌典さんもChabo!セミナーで、「俗的な意味での成功と言う言葉は好きではない」と公言していましたね。)
自分の「死」について実感が持てないように、一般の人が願う「成功」も、漠然と心に思い浮かべている概念のひとつに過ぎない。
そんな漠然とした思いを心に抱いていても、実際の生活には何の変化も生じるはずがない。
私はこの一説に非常に共感したのですが、やはり「成功することが目的」では、結局何処にもたどり着けないのです。
同様に、成功するために本を読んでも、セミナーに通っても、「自己投資した気分を味わえるだけ」であって、結局は何も換わりはしないのです。
「成功のカタチ」は、他人が外形的なもので判断して決めるものではない。あくまでも自分が決めるものなのだ。自分がどこで満足するかではないだろうか。
自分自身が求める「目的」を理解することを避けて本を読んでもセミナーを受講しても、結局何処にもたどり着けないのだとしたら、私たちがまずやるべきことは自分の「目的」を理解することでしょう。
そして、自分の「目的」は人から与えられるものではなく、あくまで自分の中にあるものであって、この段階では読書というのはそれを理解し、引き出すための触媒なのです。
なので、自分の目的も理解しないうちに「一日何冊」「年間何冊」といった数字ばかりにとらわれて
●いかに早く本を読むか
●いかに多く本を読むか
ということばかりを考えていても、全くの無駄だと思います。
いきなりノウハウを集めるのではなく、まずは「自分の目的を理解するために本を読む」という段階が必要で、そのためには一冊の本と真摯に向き合って、著者と、そして自分と対話するくらいのつもりで読む、ということをしていかなければならないのではないでしょうか。
(「自分の目的を理解するための読書」については、梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく』に出てくる「ロールモデル思考法」がとても参考になると思います。)
1.まずは自分の目的を理解する(本はそのための触媒)
2.次は、目的を実現するためのビジョンを描く(本は目的を実現する手段・方法を探るために読む)
3.そのビジョンを基に、今自分がやるべきことは何かを考える(本は、今やるべきことをもっと効率的・効果的にやる方法はないか、といった視点を持って読む)
4.今日やるべきことを毎日やり抜く
目的を実現するということは、このサイクルの繰り返しなのだと思います。
と、かなり部分的な紹介に終わってしまいましたが、本書には他にも
●サラリーマンの生き方
●天野流ビジネス哲学
●人生論
など、面白いテーマがまだまだあります。
・上司(会社)はわかってくれない。 →わからせるのが、あんたの仕事だ。
・政府がしっかりしないから、経済が悪いんだ。→そりゃそうだ。なんせ、そいつらを選んだのはお前らだもんな。
と、かなりどきっとするような刺激的な箇所もありで、読んでいてあきません。
自分の軸を取り戻すためにも、是非読んでおきたい一冊です。
お勧めします。
以下、私用メモ
「何も持っていない」ということは、一見マイナスの状態だが、「失いものがない」、「誰からも奪われない」ととらえれば、大きなプラスになる。
(中略)
その突破口から脱出するためには多少の無理がつきものであることを忘れないでほしい。そして、無理には努力が必然的に含まれることも。
では、本当のやる気とは、どこから出てくるのだろう。それは、「自分は他人とは違う」という気づきの中から生まれるものだ。
自分でなければできない仕事、自分でなければ作れない作品、自分でなければ愛せないと思える人、これらの存在に気づいたとき、人間は生きる意味を発見する。じっとしてはいられなくなる。家の中に引きこもっている場合ではない、ということになる。
それでいいのか、サラリーマン! | |
天野雅博
三冬社 2008-12-15 おすすめ平均 |
4 Comments
今まで沢山の成功哲学本、自己啓発本を読みあさりました!
しかし、自分がどう変わったかは実感することはありませんでした!
成功には自分が知らないマニュアルが存在するのではないかという淡い期待をしていました!
それをずっと求めていたんです!
その答えが当書籍によりわかりました!
マニュアルは存在しない!自分の人生の意図が決まれば自ずと答えはわかるということ。
これに気が付いたことは自分の人生にとってとてつもない財産になりました!
間違った成功哲学をぶった切るある意味宣戦布告?な今までにない新しい内容です!
自分自身を見つめ直すために活用してほしい一冊です!
SOUたさん
私も本書は多くの人に読んでもらいたいと思っています。
私はそもそも自己啓発書や成功哲学本で言うところの「成功」というものが、
必ずしも万人を幸福にするものだとは考えていません。
いいものはどんどん吸収すればいいと思いますが、
情報に踊らされず、自分の軸を持って、
自分の志向性を見失わずに生きることが大事だと思います。
この書籍には感動しました。
人生行き詰まりを感じている方は必見だと思いました。
愚痴を言う人生。そんなものもう必要ないと思いました。
また、愚痴を言う時間があったら、この書籍のプロローグだけでも見た方がイイと思いました。
自分は「そっか。」と口ずさんでいました。
サラリーマンの方だけではなく、色々な方々が読んで、笑顔が「ふっ」と出ると思います。
夢を諦めた人、夢の実現の仕方に苦難されている方、
また自らの選択で、「人生の我慢」をして来た方々。この書籍であなた自身が、自身の人生を真剣に
考える事が出来るチャンスかもしれません。私はそうでした。
ご紹介頂いた事によって、私にもチャンスが到来って感じで
うれしくってしょうがないです。
ありがとうございました。
阿部ちんさん
確かにプロローグにはいきなりショッキングなことが書いてありますね。
ここは苫米地さんの言っていることと共通点があるなと感じました。
多くの人に読んでもらいたい一冊ですね。