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Author Archives: 河村 拓

『ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する』

W・チャン・キムさんとレネ・モボルニュさんの共著、「ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する」を読んだ。
本書は、既に構築された競争ルールの下で限られた顧客層のパイを奪い合う、血みどろの戦いが繰りひろれがれるレッド・オーシャンから抜け出し、未知の市場空間であるブルー・オーシャンを切り開くための指針を示している。
戦略論の新しいスタンダードの名に恥じない画期的な書だ。
現代のほとんどの企業が陥っているレッド・オーシャン戦略が、
●既存の市場空間で競争する
●競合他社を打ち負かす
●既存の需要を引き寄せる
●価値とコストのあいだにトレードオフの関係が生まれる
●差別化、低コスト、どちらかの戦略を選んで、企業活動すべてをそれに合わせる
のに対し、ブルーオーシャン戦略は、
●競争のない市場空間を切り開く
●競争を無意味なものにする
●新しい需要を掘り起こす
●価値を高めながらコストを押し下げる
●差別化と低コストをともに追求し、その目的のためにすべての企業活動を推進する
のである。
そのブルー・オーシャン戦略の土台をなすのはバリュー・イノベーション(value innovation)だ。
イノベーションと実用性、価格、コストなどの調和がとれて始めてこれは実現する。
そしてこのバリュー・イノベーションが、価値とコストのあいだのトレードオフを解消し、買い手と自社両方にとっての価値を高めるのだ。
ブルー・オーシャンを切り開くためには、いくつかのツールとフレームワークが有効だ。
まずは戦略キャンバス(strategy canvas p46)を描き、既存の市場空間について現状を把握することから始める。
業界のおもな競争要因を列挙し、各社がどこにどれくらい力を入れているかをスコア化し、それを線で結べば、戦略の特徴を示す価値曲線(value curve p48)が描ける。
各社の価値曲線がほとんど同じような形状をしているのであれば、全員が既存の競争ルール・顧客パイのもとで争うレッド・オーシャンに陥っている証拠である。
であるならば、買い手に提供する価値を見直し、新しい価値曲線を描く必要がある。
それを可能にするのが四つのアクション(the four actions framework p51)だ。
すなわち以下の質問に対する答を考えるのだ。
1.業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何か
2.業界標準と比べて、思い切り減らすべき要素は何か
3.業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か
4.業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素は何か
特に重要なのが「取り除く」「付け加える」であり、これらを通じて、既存の競争要因の枠組みにとらわれる発想から開放される。
そして四つのアクションをアクション・マトリクス(action matrix p58)に落とし込めば、以下の四つの効果が得られる。
1.価値とコストのトレードオフから開放され、差別化と低コストを同時に追及できる
2.「増やす」「付け加える」にばかり躍起になって高コストを招き、製品やサービスにあれもこれも盛り込みすぎている企業に、たちどころに警報を鳴らす
3.あらゆる階層のマネジャーにとって理解しやすいため、活用率が高い
4.マトリクスを何とか埋めようとして、業界での競争要因すべてについて詳しく調べるため、無意識の前提に気づく機会が生まれる
これらを通して生まれた価値曲線には、①メリハリ、②高い独自性、③訴求力のあるキャッチフレーズ、という3つの特徴を備えているはずだ。
では、多数の可能性の中から、商業的に魅力あふれるブルー・オーシャンを見出すにはどうすればいいのか。
答えは、六つのパス(the six paths p73)を活用することだ。
1.代替産業に学ぶ
 ・代替産業同士の狭間には、往々にしてバリュー・イノベーションの機会がある
 ・例)「外出して楽しい夕べを過ごす」という目的のための選択肢、レストランと映画
2.業界内のほかの戦略グループから学ぶ
 ・顧客があるグループから離れて別のグループを選ぼうとする際に、何が決め手になるのか
3.買い手グループに目を向ける
4.補完財や補完サービスを見渡す
 ・製品やサービスは単独で利用されるのはまれである
 ・買い手がどのようなトータル・ソリューションを求めているかを見極める
 ・製品やサービスの利用前、利用時、利用後のシチュエーションを想像する
5.機能志向と感性志向を切り替える
6.将来を見通す
 ・トレンドが顧客価値をどう変えるか、自社のビジネスモデルにどう影響するか、と知恵を絞る
戦略を策定したら、今度は実行である。
そこには4つのハードル、すなわち①大胆な変革の必要性を従業員に理解させる上での、意識のハードル、②企業にはつきものの経営資源のハードル、③従業員がやる気を損なう士気のハードル、④社内外からの変革への抵抗という政治的なハードルが存在する。
これを乗り越えるには、ティッピング・ポイント・リーダーシップ(tipping point leadership p195)を用いる。
つまり、とりわけ大きな影響力を持つファクターを見極め、そこに資源をあてることで、資源と時間を節約し、有効活用するのだ。
本書では実際に今までにブルー・オーシャンを切り開いた企業の例が随所に紹介されているので、理解の助けになって、非常に分かりやすかった。
是非、すべての人に読んでもらいたいと思う。

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press) 有賀 裕子

ランダムハウス講談社 2005-06-21
売り上げランキング : 658

おすすめ平均 star
starポイント
star管理職がいかに現実を見ていないか
star自分のブルー・オーシャンは見つかるか

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『1の力を10倍にする アライアンス仕事術』

平野敦士カールさんの著書、「1の力を10倍にする アライアンス仕事術」を読んだ。
何かいいアイディアを思いついても、なかなか一人の力ではそれを実行に移すのは難しいものだ。
そんなときに人を巻き込み、周りの力を借りてそれを果たしていこうと言うのがアライアンス・仕事術である。
本書は著者が実際にお財布ケータイを実現させた経験から、どうすれば周囲から助けてもらえ、一人ではできないようなことを実現できるのかを解説している。
根底に流れる考え方は以前読んだ人脈術の本と共通するものが多かったが、個人的に興味を引いたのは、アイデアを人に話すことでそれを膨らませていくという考え方だった。
いろいろな考え方の人がアライアンスに加わっていくことで、自分が持っていた固定観念が崩れ、新しい発想ができるようになるのだ。
著者もお財布ケータイを一人で発想した段階では、財布の中にたくさんあるカードを全て一つのカードにまとめたら便利ではないかという思いでしかなかったという。
そこからクレジットカード会社の人に話を聞いたり、クレジットカードの支払い端末を設置している小売店などからヒアリングすることを通してアイデアを膨らませていき、全てをケータイで処理する「お財布ケータイ」に行き着いたようだ。
ここで重要なのは、誰かにアイデアを否定されたからといってすぐにあきらめないことだ。
著者も、NTTドコモに勤めて当事の上司に「財布の中にたくさんあるカードを全て統一したら便利にならないか」と相談したところ、新たにクレジットカード分野を開拓するのも難しいからと断られたそうだ。
しかしそこであきらめず、どうすればこのアイデアを実現できるのかを一人ではなく、周りの人たちの力を借りながら膨らませていき、実現性のある、人びとを納得させるプロジェクトに発展させたのだ。
アライアンスを広める仕組みを、意識して日常に取り組む必要がありそうだ。

1の力を10倍にする アライアンス仕事術
1の力を10倍にする アライアンス仕事術 平野敦士カール

ゴマブックス 2008-05-30
売り上げランキング : 6859

おすすめ平均 star
star成果にも言及してほしい
starそうですか
starこれは、これからの新仕事術だ

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『求心力―人を動かす10の鉄則』

ジョン・C・マクスウェルさんの著書、「求心力―人を動かす10の鉄則」を読んだ。

つまり、あなたが手にできる成功の大きさは、あなたの影響力、求心力の大きさに比例しているのだ。

一人の人間がたった一人でできることには限界がある。
しかし、そのたった一人の人間が優れたリーダーであった場合、彼は周囲を巻き込み、チーム力へと昇華し、より大きな成功をおさめることができるはずだ。
本書はその優れたリーダーの持つ人をひきつけるカリスマ性、求心力について書かれている。
著者は求心力を以下の10の要素に分けて述べている。
●品格を磨く
●相手を褒める
●相手に期待する
●話を聴く
●相手の立場に立つ
●成長させる
●ヴィジョンを語る
●チームを作る
●後ろ盾になり、相手に任せる
●自立させる
それぞれについて一貫して、「こうせよ、そうすればこうなるだろう」と断言するのだが、その補足説明の根拠が「ある人はこう言った」という説得力に乏しいものだったり、取り上げた例がよくわからないものだったりして、深い部分で納得感を得られない分、ちょっと押し付けがましく感じた。
それでも共感できたのは、私も普段同じようなことを考えているからだろう。
ただ、実行するのは頭で理解するのよりも難しい。
本書で上げられている「人を褒める」部分にしても、実際に褒めようと思えば、まず相手を褒められるようにマネジメントする術を身につけなければならない。
待っていても思わず褒めたくなるような成果を出すことはほとんどないからだ。
相手に自尊心を持たせ成長させるには、できないことをどうすればできるかプロセスを示してやり、できた部分についてはその才能を褒め、できなかった部分については”I know you can do better than that”と更なる期待を示さなければならない。
リーダーシップについては、個人的には
最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと
「真のリーダー」になる条件 初めて部下をもつ人へ
がお勧めだ。
ということで、ちょっと物足りなかった。

求心力―人を動かす10の鉄則
求心力―人を動かす10の鉄則 John C. Maxwell Jim Dornan 齋藤 孝

三笠書房 2007-07
売り上げランキング : 100074

おすすめ平均 star
starついていく場合は、言動・行動を手本にする
star求心力を高めるというか自己啓発に近い内容
star求心力って付加価値がとても高い能力ですよね

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『経営の未来』

ゲイリー・ハメルさんの著書、「経営の未来」を読んだ。
本書は近代経営管理の仕組みが持つ自由と規律、効率と創造性といったトレードオフの問題に対し、いかにして経営管理イノベーションを実行すればいいのかを手助けするために書かれている。

近代経営管理の仕組みは、気ままで独断的で、自由な精神を持つ人間を標準やルールに従わせはするが、それによって莫大な量の想像力と自主性を無駄にする。業務に規律をもたらしはするが、組織の適応力を低下させる。成果中の消費者の購買力を増大させはするが、同時に何百万人もの人々を封建的とも言える上意下達の組織に隷属させる。おまけに、企業の効率を劇的に高めてはきたものの、企業の倫理性を高めてきたという証拠はほとんどないのである。

しかし、破壊的とも言える変化の時代を向かえた今、適応力のない企業はどんどん淘汰されかねない。
また、利幅を確保するには従来の効率重視の経営では不十分で、競争ルールを破壊するような斬新なイノベーションをどんどん生み出さなければならない。
そして、どんどん増えていく新興企業より先を行くために、社員を奮い立たせ、日々最高の力を発揮させる方法を新たに築きあげなければならない。
つまり現代の企業は、以下の3つの課題を突きつけられているのだ。
1.規模の大小を問わず、どの企業でも、戦略変更のペースを劇的に加速させること。
2.イノベーションをすべての社員の日常的な業務にすること。
3.社員の奮起させて各自の最高の力を発揮させる魅力的な労働環境を築くこと。
新しい現実を迎えた今、経営管理のイノベーションが必要なのだ。
しかし、必要なのはわかっていてもなぜそれがなかなか行われないのかと言うと、イノベーションを阻む足かせがあるからだ。
それはずばり、長年その会社に勤めている幹部たちの持つ既存の戦略への強い思い入れという、古いメンタルモデルである。
社員に自由を与えることで規律が失われないだろうか、社員に創造力を発揮させるのに必要な時間を与えることで、効率が奪われないだろうか。
このような不安が必ず生じてくるのである。
そうすると、経営管理イノベーションが解決しなければいけない問題が浮かび上がってくる。

1.社内のすべての人間をイノベーション活動に参加させ、各人に創造力を高めるツールを持たせるにはどうすればよいか。
2.トップ・マネジメントの空疎な信念がイノベーションを阻まないようにし、異端のアイデアがその価値を実証するチャンスを与えられるようにするにはどうすればよいか。
3.今日の結果を出すために全力で走っている組織で、草の根イノベーションのための時間と空間を生み出すにはどうすればよいか。

1.集中、規律、秩序を犠牲にすることなく管理を減らすことによって社員の自由を拡大するにはどうすればよいか。
2.官僚型組織の仕組みではなくコミュニティの精神が人びとを結びつける会社を築くにはどうすればよいか。
3.組織のすべての人間が感じる使命感を、非凡な貢献の基盤になるように高めるためにはどうすればよいか。

例えばこれらの課題を克服した新しい経営管理のあり方をマネジメント2.0とするならば、筆者はそれはウェブ2.0にきわめて似たものになると考えている。
すなわち、
●すべての人に発言権がある
●創造のツールが広く配布される
●実験が手軽に安く行える
●資格や肩書きより能力がものを言う
●参加は自主的である
●権力は下から与えられる
●権威は流動的で、加えられる価値に付随する
●唯一のヒエラルキーは「自然な」ヒエラルキーである
●コミュニティは自己定義する。個人は情報によって大きな力を与えられる
●すべてが分散的である
●アイデアは公平な土俵で競争する
●売り手と買い手が互いに相手を簡単に見つけることができる
●資源が機会に従って自由に移動する。
●決定は仲間の間でなされる
と、なる。
経営管理イノベーションの必要性を訴える著書なら読んだことがあるが、具体的に何を解決しなければいけないのかをこれほど分析し、指針としてまとめあげたものは初めてだ。
本書の言うように、これからの組織では社員全員がイノベーターでなければならないのだとしたら、本書は現在人全てに読む価値があると思う。
以下、私用メモ
●以下の4つの条件が満たされていれば、トップダウンの規律はあまり必要ない
 1.現場の社員が結果に責任を負わされている。
 2.社員がリアルタイムの業績データを入手できる。
 3.業績に影響を及ぼす主要変数について社員が決定権を持っている。
 4.結果、報酬、評価の間に密接な関連がある。

経営の未来
経営の未来 ゲイリー ハメル

日本経済新聞出版社 2008-02-16
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star与える時代
star自分の職場を楽しい場所に変えられるかもしれない
star社長に読ませようと思います

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『強く、生きる。―夢とともに人は成長する』

渡邉美樹さんの著書、「強く、生きる。―夢とともに人は成長する」を読んだ。
渡邉さんの著書は以前にも何冊か読んだことがあるし、根本にある価値観や思想は変わらないので、今回も基本的には同じことが書いてあった。
それでもまた読みたくなってしまうのは、渡邉さんの言葉を聴くことで、やる気が出てくるからだ。
なぜならば、私にも生涯をかけた目的があるからだ。

 夢を追いつづけてきた経験から、私が言える一つの確かなこと。それは、夢に向かって懸命な努力を続けているかぎり、「間違ったことは何一つ起きない」ことです。
 真摯に夢を追うプロセスにあっては、起きたことはみんな正しく、また、すべて起きてしかるべきことであり、後の成功のために経なければならなかった必然であったと必ず思えるようになります。
 起きることは、自分にとってすべてベスト。
 このことを―いまは理解できなくても―よく心に刻んでほしいと思います。それはまた、夢を「あきらめない」力を充填してくれる法則でもあるからです。

渡邉さんは、全生涯を生きるがごとく一日を生き抜くのだという。
まだ私にはそこまでできていないな、というのが正直なところだ。
目的を定めて、それを日付を入れたいくつかの段階的な目標に落とし込み、そこから今日やるべきことを逆算し、一日一日を意識して過ごせるようにはやっとなれただろうか。
以前と比べたら、目的を果たすために自分に投資する時間は断然増えたし、逆にそれ以外の時間はかなり減った。
でも、意識的に頭の休養に当てている時間は必要としても、それ以外の「無駄」と思えるような時間がまだまだあるし、意識的に生産的なことに使っている時間にしても、もっともっと密度を濃くすることはできるはずなのだ。
常に100%無駄なく、100%集中してやり抜くというのは難しい…。
が、それに少しでも近づけていかないと、到底ビジョンは実現できそうにない。
だんだん、自分との戦いになっていくのだろうか。
一生懸命努力している、という自己満足に逃げ込みたくはない。
がんばっているし、これでいいじゃないかと満足して足を止めてしまったら、きっと後で後悔すると思う。
渡邉さんは、夢はそれを追うプロセスで成長していくことにこそ真の意味があり、究極的には夢それ自体はかなわなくてもいいのだと言うが、今の私にはそれは受け入れられない。
今のビジョンをどんどん膨らませて、必ず実現させたい。

常に昨日の自分と戦って、今日の自分が勝者であろうと努める人は、時間はかかるけども、必ず大きく成長していけるものです。

これだ!!

強く、生きる。―夢とともに人は成長する
強く、生きる。―夢とともに人は成長する 渡邉 美樹

サンマーク出版 2008-06-23
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おすすめ平均 star
star一部会社の宣伝も書かれているが…
starいつか自分の夢を達成するために、今は居酒屋で頑張ろう(笑)
star成功の裏にある圧倒的な努力を知る

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『3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術』

マーク富岡さんの著書、「3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術」を読んだ。
本書を読んで交渉の本質とは、お互いが自分の主張をいかに相手にのませるかを競うゲームではなく、お互いの主張を確認したうえで、双方にとって有益となるような妥協点を探り、気持ちよく合意を交わすことだと感じた。
しかし、交渉の場ですぐに「YES」を引き出せるかと言うと、そうでもない。
すんなりYESと言わない理由には、3つあるようだ。

①最初にYESと言えるほど素直になれない。
②YESと言ったら軽く見られてしまうと心配。
③YESと答える理由づけが必要。

交渉とは双方の利益を追求することだが、折り合いが必要なことは両社とも理解している。つまり、どこかで妥協してYESを言わなければならないと、相手も覚悟しているのだ。
そこで肝心なのは、どう妥協させるか―相手がYESと言える理由を、どうやってこちらが提示してあげるかになる。

この「相手にYESと言わせる技術」を中心に、本書では世界76カ国でビジネスパーソンと渡り合ってきた著者の交渉術が紹介されている。
実践的ですぐに応用できそうなものが多いのが非常に良かった。
以下、私用メモ
●まず相手に好かれる
●ホワイトボードのそばに座ってナビゲーターとなり、立ち上がって書くことで「先生目線」を使う
●開始時間に遅れることも、終了時間を決めないことも、時間にコミットしない低レベルなビジネススタイル。時間配分も交渉の大切なポイントであり、交渉が不利になったときに相手に逃げられる事態を回避することもできる
●できる限り分かりやすく整理して話すためには、「自分の意見」と「事実」とを完全に切り離して説明すること。トリックを使わないと言う誠実さもアピールできる。
●交渉に勝つには、常に有利な場所を選ぶこと。
●モノ、服装で一目置かれるなら、投資を惜しむべきでない
●わからないことは「わからない」と言う
●あらゆる意見に聞く耳を持つ
●洗練された強い交渉スタイルは、それだけで説得力がある
●交渉はお互いの条件のすりあわせであり、自分の意見を言った後には相手の意見を聞くのがルール
●交渉に入る前に、「交渉の目的と最終ゴール」を紙に書いて明確にしておく
●交渉は準備が8割
●譲れない点は絶対に譲ってはいけない
●単刀直入を意識し、全体の流れを変えるような主張は最後までとっておかず、すぐに言うこと
●追い詰められたら即答せず、あとで確認して伝えるといったん打ち切る
●相手に満足感を与える「交渉の幅」
●最大限のホスピタリティを相手に与える

3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術
3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術 マーク富岡

サンマーク出版 2008-06-17
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おすすめ平均 star
star何か少し違う。
starおもてなしの心が交渉術の基本
star交渉というのは技術ではなく、長きにわたり、すばらしい人間関係をつくるための1つの過程である!!

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『ビジネスマンのための「解決力」養成講座』

小宮一慶さんの著書、「ビジネスマンのための「解決力」養成講座」を読んだ。
問題解決は、以下の流れで行われる
1.さまざまな現象のなかから問題を特定し、
2.そのなかで優先順位を付け、
3.根本的な問題(=真の原因)を特定し、
4.解決策を策定し、
5.解決策を実行する。
しかし、現実には、時間、お金、人といったさまざまな制約がある。
また、いくら論理的に分析しても、それが未来の出来事である限り、100%成功する解決策というものは存在しない。
さまざまなメリットやデメリット、リスクを検証し、何が最も重要化を判断し、実際の解決策を策定し、実行していく必要がある。
いいかえれば問題解決とは、限られた時間などの資源的制約の中から、情報収集・仮説検証を繰り返し、失敗の可能性を最大限下げた上で、最後には価値観に基づいた直感で判断し、実行するということだ。
そして、その時間という資源を節約してくれるのが、フレームワークなどの技やツールなのである。
これらはあくまで事象を見やすくしてくれるものであって、自動的に解決策を導き出してくれるものではない。
あくまでそれを利用する側のスキルがあることが前提なのだ。
そのスキルは、繰り返し技やツールを使うことで磨いていくしかない。
本書は実際の事例を参考に、問題の特定から解決策の実行までの流れとともに、その仮定で活用できる技やツールが解説されている。
自分で問題を考えながら読み進められるので、自分の問題解決力には何が足りていないのか、本書を読んで分析してみるのもいいと思う。
以下、私用メモ
●失敗したときに被る最大限のリスク、つまりダウンサイドリスクが大きいほど重要度が高い。これを考えることが問題の優先順位付けに役立つ
●マーケティングの5P
 ・Product(商品)
 ・Price(価格)
 ・Place(流通)
 ・Promotion(販促・宣伝)
 ・Partner(どこと組むか)
●4C
 ・Customer Value(顧客にとっての価値)
 ・Cost(価格=顧客から見たコスト)
 ・Convenience(利便性)
 ・Communication(コミュニケーション)
 ・QPS
 ・Quality(質)
 ・Price(価格)
 ・Service(サービス)
●AIDMA(モノが売れない理由を考えるとき)
 ・Attention(注意)
 ・Interest(関心)
 ・Desire(欲求)
 ・Motive(欲求の高まり)
 ・Action(行動)
●SWOT
 ・Strength(強み)
 ・Weakness(弱み)
 ・Opportunity(機会)
 ・Threat(脅威)
●PPM-金のなる木、スター、負け犬、問題児
●ABC分析(BCに売り逃しがないかを見つける)
●「なぜ?」「ほんとう?」「それから?」で思考を深める

ビジネスマンのための「解決力」養成講座 (ディスカヴァー携書) (ディスカヴァー携書)
ビジネスマンのための「解決力」養成講座 (ディスカヴァー携書) (ディスカヴァー携書) 小宮 一慶

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-06-15
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おすすめ平均 star
star利益の出ない個人企業主が読むには良書
star成功確率を高めて失敗確率を減らすために
star解決力の基礎

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『仕事に役立つマインドマップ―眠っている脳が目覚めるレッスン』

トニー・ブザンさんの著書、「仕事に役立つマインドマップ―眠っている脳が目覚めるレッスン」を読んだ。
始めてマインドマップの本を読んだのだが、どうも本書は初心者向けのものではなさそうだ。
マインドマップの概念や基礎的な描き方に関する内容はほぼなく、「あんな場面でも活用できる、こんな場面でも活用できる」といったマインドマップの活用事例集になっている。
どっちかというとマインドマップをある程度理解し、その活用場面を広げたい人向けの本だろう。
初心者には同じ著者の著書、「ザ・マインドマップ」がよさそうなので、順序は前後したが、こちらも読んでみようと思う。
ただ、マインドマップを活用すると思考が掘り下げられ、体系的に整理され、頭がすっきりするとともに、異なる枝葉を組み合わせてみることで自然に発想的な思考ができるというメリットは十分伝わってきた。
早速ノートを買ってきたので、本書の例を参考に「自分の将来像」「生涯の目的」などをセントラル・イメージにして書いてみようと思う。

仕事に役立つマインドマップ―眠っている脳が目覚めるレッスン
仕事に役立つマインドマップ―眠っている脳が目覚めるレッスン 神田 昌典 近田 美季子

ダイヤモンド社 2008-05-09
売り上げランキング : 5826

おすすめ平均 star
star「ビジネス」というのが大切。上司に読ませたい
star上級者向け
star前著よりは…

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『仕事は5年でやめなさい。』

松田公太さんの著書、「仕事は5年でやめなさい。」を読んだ。

いわば自分のそれまで5年間のやり方を変え、考え方を変え、バージョンアップしながら5年単位で成長し、本当の実力をつけていく。
私の言いたい「仕事は5年でやめなさい」とはそういう意味です。

タイトルの「仕事を5年でやめる」とは、具体的な期限を設定して目標に取り組むことで成長を加速させ、密度を濃くすることの大切さを言い表している。
本書の隅々から伝わってくる、著者の「真剣に生きなければならない」という覚悟が、私には深く共感できた。
漠然と「こうしたいな」と考えていると時間は無限にあるものに感じてしまい、いつか達成できればいいやと具体的な行動を取らずに時間だけが過ぎてしまう。
しかし、現実に考えてみると、自分が持つ時間がいかに有限かを思い知らされる。
例えば人が一つの目標を達成するスパンを5年間とし、60歳まで働くと仮定すると、今私は22歳だからそのサイクルは7回しか回すことが出来ない。
たった7回だ。
何か大きな夢を実現させようと思ったら、そのうちの1回たりとも無駄にはできない

1本の矢が目指す「的」、一生をかけて目指す場所、たどり着きたいと願う場所。それが「目的」なのです。

一方、目標は、思い描く場所を目指すために、ひとつひとつ通り過ぎる場所。いわば、「道標」です。

著者には、「食を通じて文化の架け橋になる」という目的がある。
一方、世の中には目的がなくて困っている、という人もいる
そういう人は、是非本書を読んでほしい。

それをひとりの人間に置き換えて言うなら、これまでに受けた強烈な体験、悔しかったり悲しかったりした経験の中にこそ、その人の人生の目的の目があるということです。

著者にとって自身の目的を見出すきっかけは、アメリカに住んでいたときに日本の食文化をさげすまれたことだった。
そのときの悔しさを隠さず、掘り下げていった先に、自身の大きな目的があったのだ。
そして、それを自分だけの問題とせずに、同じ境遇にいる人や、身近な人にあてはめてみる。

「これをすることで何人の人が幸せになるだろう」
こんな言葉をときどき唱えてみれば、それは魔法の言葉のように将来の扉を大きく開けてくれるのです。

そして、その決意を固めてくれたのは、21歳の若さで心臓病で亡くなった著者の弟の存在であったという。

チャレンジして失敗するのはまだいい。少なくとも自分は挑戦した、という気持ちは残る。
けれど挑戦しない、できないままに死んでいくのは嫌だと、それこそ心のそこから思ったのです。挑戦しないままに生涯を終えるのは、挑戦して失敗するよりずっと怖い。そう思うと手足が震えるようでした。
あれもやりたい、これもやりたい、そのすべてが奪われてしまった弟の命の分まで、俺は太く生きる。そして自分が50歳以上まで生き延びることができたら、そのあとは子どもや病人、貧しい国の人々のためにできることをしたい。
強烈な体験は、それが悲しみであっても、ある大きなものに向かう目的を定めてくれます。

チャレンジして失敗するのはもちろん怖い。
やりたいことができるほど世の中は甘くないと教えられたかもしれない。
しかし、時間は有限なのだ。
明日もし自分が死ぬとしたら
そう考えたときに、チャレンジして失敗すること、世間の常識からはみだすこと、人と違う道をあえて選ぶことを恐れる必要はなくなる。
そして、自分の信念を貫く勇気と自身を持つことができる
目的がないという人は、まずは今に真剣になるべきだと私は思う。
真剣さなくして、目的につながる気付きや成長は得られないと思うからだ。

自給で働いている場合、その給料に見合うだけの労働をすればいい。多くの人はこう思っているかもしれません。そのあいだにあまり客が来なければ「ラッキー」と喜び、忙しければ「割を食っている、損をしている」と不満に思う。けれどそれは逆なのです。
仕事をこなせばこなすほど、その仕事で学ぶものは多いのです。人との接し方から、その人が何を望んでいるかに気づく。どうしたら喜んでもらえるかという工夫をこらしたり、自分に足りないものに気づいたり、そこで学ぶものは、まさにお金で買えない価値があります。
どんなことでも、真剣に向き合った経験、感覚は身体の中に残っています。

その時間に注ぎ込んだ自分のエネルギーは、時間給以上の得となって、自分に戻ってくるのです。

以下、私用メモ
●失敗したときの最悪の状況をイメージしておけば、不安が小さくなる。闇雲に怖がっていたことがはっきりイメージされることで、このくらいのことだったのかと思える。
●情熱を持つためには、マイナー意識をもて
●前日より少しでも上を目指していない人は、確実に衰退が始まっている。現状維持という言葉は、非常に危険な言葉と肝に銘じる。どんな小さな負荷であっても自分にかけ続けること。

仕事は5年でやめなさい。
仕事は5年でやめなさい。 松田 公太

サンマーク出版 2008-05-23
売り上げランキング : 37727

おすすめ平均 star
starキャリアを考えるとき。
star松田公太とは・・・
star時間を区切って真剣に打ち込むことを繰り返すことの大切さを実感させてくれる

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『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』

小宮一慶さんの著書、「ビジネスマンのための「数字力」養成講座」を読んだ。

1 把握力……全体を把握する力
2 具体化力……具体的に物事を考える力(これは発想力にもつながりま)
3 目標達成力……目標を達成する力

著者はこの3つの能力が身につくことが、「数字力」であると言う。
つまり、

「数値化」=「具体化」が「目標達成力」を高める。

のである。
「数字」に対する感覚やリテラシーを高め、数字の見方、扱い方の基本を身につけることは、ビジネスマンにとって必須なのだ。
数字の見方には、いくつかの基本がある

全体の数字をつかむことによって、
数字の持つ意味を知り、問題の本質を的確にとらえることができます。

まず、大きな数字を捉える。
小さな数字にとらわれて大きな数字を間違わない、

数字を見るには、まずは、その数字の定義をきちんと知っている必要があります。
定義を「覚える」のではありません。「理解して知る」ことです。

数字は、なんらかの比較を伴わないと、それが本質的にどういう意味を持つものなのか判断できません。

これをおさえたうえで、
●おもな数字を覚えておく
●定点観測をする
●仮説を立てて部分から全体の数字を推測する
●数字を関連づけて読む
●常に数字で考える
ということを日ごろから習慣にしておけば、数字力は高まるそうだ。
以下、私用メモ
●全体の満足度にもっとも影響を及ぼしている項目を知る、相関の高い項目を見つける

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