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Author Archives: 河村 拓

『[実学・経営問答]人を生かす』

稲盛和夫さんの著書、「[実学・経営問答]人を生かす」を読んだ。
本書は著者の考える、経営者のあるべき姿、やるべきことを問答形式で語ったものだ。
本書を読んでまず気づくのは、経営者として人を生かすにおいて、やはり会社の経営理念や哲学、そして会社の目的・存在意義というのは大変重要だということだ。

資金力があり、いくら優秀な人材を集めたとしても、その企業の理念や哲学が明確でなく、従業員のベクトルがそろっていなければ、組織としての力は発揮することができないのです。
(中略)
経営理念や経営哲学が大義名分にもとづいたものであると同時に、従業員の幸福を追求する、社会の発展に貢献するといった目的を示せば、従業員は心から仕事に打ち込んでくれるようになるはずです。
(中略)
経営理念や経営哲学は、その企業の風土や文化をつくり出します。その理念にもとづいて働くことが、会社にとっても、従業員の人生にとってもすばらしいことだという、そのような企業文化をつくることができれば、会社は飛躍的に伸びていくことができるのです。

しかし、理念や社風だけが先行しても意味がないのである。

トップが現場へ行き、厳しく指導することなく、理念や社風だけが先行しても意味がないのです。トップが現場で率先垂範し、一生懸命働くからこそ、伸びる社風が生まれるのです。

理念を掲げてもそれが現場に浸透しなければ意味がなく、そのためにはトップである経営者が説いて回らなければならない。
しかし、現場も知らないトップが理念を振りかざしたところで、末端の社員は「現場も知らないくせに」と思ってしまうものなのだ。
トップ自身が仕事に精通してはじめて、利益への厳しい追及も効果を発揮する。
そうやってトップが現場へ行き、厳しく指導することが、理念や社風を実現するには必要なようだ。
そして、次に気づくのが経営者としてのあるべき姿だ。
経営者たるもの、人間性を磨き続けなければならないようだ。

社長は最終結論を出さなくてはなりません。その決断をするときに何を持って決めるかというと、それは心の中の座標軸なのです。心の中に座標軸を持ち、それと照らし合わせて、これはいい、これは悪いと決めるのです。そのため、しっかりとした座標軸をつくることが第一番になるわけです。
座標軸はその人が持っている価値判断の基準です。
(中略)
価値判断というのは、実は人格を投影したものなのです。その人が見栄っ張りだった場合には見栄っ張りの方向へ、怖がりだと怖がりの方向へものごとを決めてしまう。石橋を叩いても渡らないという、非常に慎重な人もいれば、石橋を叩かずに渡る人もいる。まさに、価値判断はその人の人柄によるのです。
(中略)
あなたの人格を立派なものに変えていかなければなりません。それは、正しい判断をするために、人間をつくっていかなければならないということです。

経営を行う以上、様々な場面で意思決定を行う必要が出てくる。
しかしそのとき、何が正しくて、何が間違った判断なのかは、決して知ることができない。
様々な情報を集めて、判断の精度をあげることはできるがしかし、100%確実には決してならない。
最後の判断軸となるのは、その人の価値観、つまり、何を最も大事にするのかだ。
だからこそ人間性を磨くことが正しい意思決定を行ううえで大変重要なのだ。
また、人間性というのは社員を生かす上でも大変重要だ。
経営者の行う意思決定は社員にとって素直に喜べるものばかりではなく、時には反感を買うような処置を行わなければならないときもあるだろう。
そういうときに社員の気持ちを理解し、不満に共感した上で、それでもこれは必要な処置なのだと心を砕いて説明し、納得してもらえるようでなければ、人はついてこない。
経営者たるもの、業務に精通すると共に、人としても尊敬を集めるようでなければならないのだということを、改めて考えさせられた一冊でした。

[実学・経営問答]人を生かす
[実学・経営問答]人を生かす 稲盛 和夫

日本経済新聞出版社 2008-07-15
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『効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法』

勝間和代さんの著書、「効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法」を読んだ。
情報化社会の現代においては、情報こそが通貨になっている。
より情報を持つ人が情報を持たない人からお金を巻き上げているのだ。
つまり、知的生産性を上げ、情報を上手に入手・加工し、出力する仕組みを自分なりに身につけることが、大変重要になるのである。
本書は著者がいかに自身の知的生産性をあげてきたのかを紹介したものだ。
私が特に気になり、新しく取り入れたいと思ったのが、
1.GoogleなどのIT機器を使いこなす
2.フレームワーク力をつける
3.ノートパソコンを補助脳として使う
4.体力をつける
だった。
●GoogleなどのIT機器を使いこなす
情報化社会となり、さまざまな情報を処理しなければならない私たちにとって、その処理した情報をどのように管理するかは非常に重要だ。
紙媒体で補完していると、何がどこにあるのか分からなくなることも多く、また、スペースも必要になってしまう。
そこでGoogleの出番である。
著者は転送設定でメールのやり取りをすべてGmailに補完している。
また、メールでなくても重要な文書などは、Gmailに送ってコピーを補完しておくようだ。
この方法が素晴らしいのは、転送するだけで整理する必要がないことである。
まずGmailは要領が今では6G以上あり、収納スペースを気にする必要もなく、メールを削除する手間が省ける。
また、Googleの検索機能が使えるので、メールを仕分け・分類しなくても、キーワードを入力するだけで目当ての文書を探し出せる。
更に情報を持ち歩かなくても、ノートパソコン1台持ち歩けば、ネット環境であればどこでもGmailのアカウントにアクセスして必要な情報を引き出せる。
ただ、さっそくHotmailのアカウントで試そうとしたら、転送設定ができず、いちいち主導で転送しなければならなそうだったのが痛いが…。
●フレームワーク力をつける
日ごろさまざまな情報に触れるといっても、それらは玉石混合であり、有益な情報はその中の1%に過ぎないのだと著者は言う。
よって、その1%を見つけ出す力が必要なのだ。
そのためには、まずはフレームワーク力である。
頭の中にフレームワークを用意しておき、情報を手に入れたら瞬時にそこに当てはめられるようにしておくのだ。
これをすることで、

●必要な情報と不必要な情報の区別がつく
●いい情報と悪い情報の区別かつく
●情報の因数分解ができる
●本質的な情報とそうでない情報の区別がつく
●既存のフレームワークを下敷きに、新しいフレームワークを作ることができる

のだ。
さらにMECEを意識すれば、漏れなくダブりなく、情報を効率的に取捨選択できるようになりそうだ。
●ノートパソコンを補助脳として使う
Gmailと同様、すべての情報をノートパソコンに一元管理しておけば、ノートパソコンさえ持ち歩けば必要な情報はすべて持ち歩けることになる。
著者はより生産効率を上げるために、Googleデスクトップを活用している。
これによりどのファイルがどこにあるかいちいち探さなくても、検索してすぐにみつけることができ、更にGmailと連動させることも可能なので、非常に使い勝手が良い。
スキャナーを用意すれば名詞を管理することもできる。
ノートパソコンを使う際には、
●軽量で電池の持ちがよく、壊れにくいものを使う
●名詞管理・マインドマップなどの必要なソフトをそろえる
●定期的に壊れるので、バックアップをきちんと取る
●メールはローカルとウェブを併用する
という点に注意しようと思う。
●体力をつける
一日おきのペースで腕立て伏せや腹筋など軽い筋トレや、週に一度の30分程度のジョギングはしているが、ジムに通うなど、もう少し運動時間を増やしたほうがいいかなと思った。
情報のインプット・アウトプットの力を継続させ、集中力を発揮するには体力が大変重要なようだ。
食事も含め、身体作りをもう少し意識したほうがよさそうだ。
本書には非常に有益な情報が多く、大変参考になった。
ただ、単にこれらの方法を教えてもらって取り入れるのではなく、日ごろから生産性を高める方法を自分なりに考えたり、探したりし、自分にとって最適な「知的生産術」を構築していくことが、最も重要なのだなと感じた。
既に実践しているので書かないが、他にも多読の進めや、アウトプットの練習としてのブログの進めなど、知的生産性を高める著者の方法が多く紹介されている。
まずは1つずつ取り入れてみて、着実に習慣化していくのがいいと思う。
以下、私用メモ
●Gmailを情報の貯金箱にする(すべてのメールを転送する、必要なファイルを補完する)
スポーツ自転車+GPSつき携帯ナビ+SPD専用ペダル
ノイズキャンセル型ヘッドフォンを使う
●寝る前にお酒を飲まない、ストレッチをする
●メールの発信、返信はすぐにする
●メールで相手に求めるアクションを明確にする

効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法 勝間 和代

ダイヤモンド社 2007-12-14
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star10倍どころか人生を激変させる人生指南の書
starハードルが高い。

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『いま、すぐはじめる地頭力』

細谷功さんの著書、「いま、すぐはじめる地頭力」を読んだ。
誰でもインターネットにアクセスして必要な情報を入手できる現代において、ただ知識を持っているだけの人はあまり価値を持たない。
そのため、知識に対してどれだけの付加価値をつけてアウトプットできるかが、より重要視されるようになった。
著者はこの付加価値をつける「考える力」こそが、地頭力であると考えている。
地頭力とは、「結論から」「全体から」「単純に」考える力であり、
仮説思考
フレームワーク思考
抽象化思考
の3つの思考力から成り立つ。
●「目的が決まらないうちにとりあえず動いてしまう」
●「情報がそろわないうちは答が出ない」
●「将来は考えず、今をとりあえず乗り切る」
●「分類が苦手」
●「物事を難しく説明する傾向がある」
こんな人は、上記の3つの思考力のいずれかが足りない可能性が高い。
本書を読んで、
時間に対する感度を上げる
●知的依存心を捨てる
●自分の「思考のクセ」を徹底的に認識する
ことをお勧めします。
ちなみに私は相対的にフレームワーク思考力がどうやら弱そうなので、「
5W2H」を骨までしゃぶりつくして、鍛えようと思いました。
以下、私用メモ
●5W2H
 ・Why
 ・What
 ・When
 ・Where
 ・Who
 ・How
 ・How much

いま、すぐはじめる地頭力
いま、すぐはじめる地頭力 細谷 功

大和書房 2008-06-11
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starこんなに分かりやすい本が…
star仮説思考についてのなぜ?がよくわかります
star自分の頭で考えるための基本が学べます

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『脳が教える! 1つの習慣』

ロバート・マウラーさんの著書、「脳が教える! 1つの習慣」を読んだ。
本書は脳の仕組みをたくみに利用し、どうすれば何か新しいことを始めたり、自分を変えたりできるかを解説したものだ。
私たちが持つ脳に、大脳辺縁系という部分がある。
ここは闘争・逃走本能を支配しているのだが、どうやら私たちが何か大きな変化に直面するときこの大脳辺縁系が働きかけ、「恐怖」という感情を生み出すらしい。
「毎日30分ジョギングしよう!」
「会社の業績を劇的に向上させるにはどうしたらいいか」
と考えてみたものの、
「つらくて続かない」
「考えても頭が真っ白だ」
ということはよくある。
これはまさに、大脳辺縁系の妨害が入っているのである。
はじめから大きな変化を起こそうとすると、脳が恐怖を生み出し、うまく行かない。
しかし、最初は脳がキャッチできないような小さな変化から始めてまずはそれを続けることで習慣化すると、恐怖を迂回でき、それが大きな変化につながっていくことを著者は発見した。
この「小さな習慣」の一つが「小さな質問」だ。
例えばいきなり、「会社の業績を劇的に向上させるにはどうしたらいいか」と考えても、脳に妨害されてうまくいかない。
そんな時は、「この会社の業績を向上させるために、今自分ができるごく小さなアクションは何だろう?」と質問してみる。
そしてこの小さい質問を繰り返して、習慣にしていくと、創意工夫に取り掛かれるように脳がセットされる。
そうすると、無理して考えていたときには思いつかなかったようなアイデアを、自然と脳が生み出してくれるのだ。
つまり、小さい質問という無理のないハードルの低いアクションを習慣化することで、脳を創意工夫モードに変えることができ、恐怖を迂回したことになるのだ。
行動に関しても同じである。
いきなり大きな変化を起こそうとしても、脳に無理を強いることになり、うまくいかない。
ダイエットにしても、「毎日一分間足踏みする」といったように、ハードルの低い、「小さな行動」から始めて、それを習慣化することで恐怖を迂回できるのだ。
一度習慣化してしまえばこっちのもので、むしろその習慣が楽しくなり、より高い負荷も楽にこなせるようになるらしい。
つまり、「今できる小さな一歩は何だろう?」と自分に問いかけ、それを実践すれば、無理せず習慣にすることができるのだ。
自分を変えようと思いながらも、なかなか一歩が踏み出せないという人は、もしかしたらその最初の一歩のハードルが高すぎるのが原因かもしれない。
本書を読んで、自分の脳とうまくつきあってみるのをお勧めします。
以下、私用メモ
●マインド・スカルプチャーで、五感すべてを用いてイメージすると、実体験しているかのように脳が働き出す
●小さな問題をその場で解決することが、後に大きな問題が生じるのを防ぐ
●アイデアに対して多額の報酬を出すと、従業員は壮大なアイデアばかり考えようとして失敗する
●大きな報酬は、社員の内発的動機付けを弱めてしまう
●小さなごほうびが効果的
●人の好意ではなく、その人自信の魅力を褒めるとき、人は自分に関心を持ってもらえたと感じる

脳が教える! 1つの習慣
脳が教える! 1つの習慣 本田 直之 中西 真雄美

講談社 2008-07-05
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star「先急ぎをしない生き方」のススメ
starこれは名著です。読むのと読まないでは生き方が変わるかも。
star名著です。こんなすごい本が日本語で読めるなんて・・・

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『2次会は出るな!~20人で340億! カリスマ商社マンが教える!ビジネスマンのための「稼ぐ力」をつける13のレッスン~』

中村繁夫さんの著書、「2次会は出るな!~20人で340億! カリスマ商社マンが教える!ビジネスマンのための「稼ぐ力」をつける13のレッスン~」を読んだ。
「稼ぐ力」をつける13のレッスンとあるように、本書には成功するのに必要なビジネスマインドがつまっている。
例えば著者は、

金の使い方には人間の器量が反映され、その人の見識や品格が表れます。そしてその生き様が、人間の値打ちを決めるのです。

と述べているのだが、これは「死に金」ではなく「生き金」を使うことの重要性を示している。
つまり、お金の使い道にはその場限りの使い方と、後でリターンとなって帰ってくる生きた使い方があるのだ。
人と交際するにしても、自己投資するにしても、常にそのリターンをしたたかに考えた上でお金を「投資」する人は、無意識に飲んだり遊んだりしている人と差がついて当然だろう。
これは時間の使い方にしても同様である。
使う量ではなく、使い方の「工夫」がだんだん大きな差を生むのだ。
また、このしたたかさはビジネスにおいても重要なようだ。
日本人はどうも周囲との和を重んじる傾向があるが、

結局のところビジネスマンにとってもっとも大切なのは、相手を傷つけないこととか空気を読むことではなく、目的を達成すること、お客様と一緒にビジネスを成功させることなのです。

目的絶対、手段は自由なのだ。
目的をあいまいにして、努力しましたでは通用しない。
最後に、私が個人的に気に入ったのが「探検志向」をいう考え方だ。

探検とは、自分でリスクマネジメントをしながら新しいものを創造し、世の中に貢献すること。

リスクを恐れて事なかれ主義に陥ることなく、リスクを受け入れ、それを洞察力をもってマネジメントした上で、勝負に出ることが大きな目的を達成するには大事なのだと理解した。

2次会は出るな!~20人で340億! カリスマ商社マンが教える!ビジネスマンのための「稼ぐ力」をつける13のレッスン~
2次会は出るな!~20人で340億! カリスマ商社マンが教える!ビジネスマンのための「稼ぐ力」をつける13のレッスン~ 中村 繁夫

フォレスト出版 2008-06-20
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おすすめ平均 star
star偏りがあるが一読の価値アリ!
starもったいない
star内容無さ過ぎー

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『するどい「質問力」! 図解問題を1秒で解決する』

谷原誠さんの著書、「するどい「質問力」! 図解問題を1秒で解決する」を読んだ。

「質問力」は、あなたの人生を決定づけます。
質問する能力は、あなたの人生に大きな力となる一方で、その質問がするどいかナマクラかで、全能力が相手に見抜かれてしまうのです。
(中略)
この「するどい質問の力」を知って、上手に使うことができる人が、ビジネスにおいても、人生においても思い通りにできる人になれるといっても過言ではありません。

これは本書の冒頭の言葉だが、確かに質問力にはそういう面があると思う。
ただ、するどい質問力があるから優秀になれるというよりは、そもそも優秀だからこそ気のきいた質問もできる、という部分もあると思う。
なぜなら、質問力とは小手先のテクニックだけで成り立つものではなく、話の重要な部分を見極める「本質力」も同時になくてはならないものだからだ。
例えば冒頭に、その質問がするどいかナマクラかで全能力が見抜かれてしまうとあるが、いくら小手先の質問テクニックを身につけたところで、話の本質が見抜けていなければ、そこにするどく切り込んだ質問はできっこない。
どうでもいいところに切り込んだ質問をしても、「こいつは分かってないな」を思われてしまうだろう。
また、「本質力」とは本を読んでテクニックを学べば身につくようなものではなく、本を読んだり、頭を使って物事を考えてみたりと、日ごろの行為の積み重ねでしか身につかない。
なので、「するどい質問力」とタイトルにあるのに、重要な「本質力」については触れられていないのはちょっと残念だった。
が、質問のテクニックについては分かりやすく解説されているので、そちらを求める人にはお勧めだ。
以下、私用メモ
●5W1Hで明確な質問の形を作る
●相手の意思で自由に話してほしいときは「オープン・クエスチョン」、こちらが聞きたい事だけを話してほしいときは「クローズド・クエスチョン」
●まずは相手に関心を持ち、相手に関する知識を仕入れて、相手に好意を持つ
●人が好意を寄せる要因
 ・外見
 ・類似性
 ・賞賛
 ・単純接触効果
 ・連合
●いきなり核心をつく質問がしづらいときは、ワンクッション入れる、質問をする「承諾」をもらうための質問をする
●質問を投げかけ、相手に考えさせ、自ら答を出させることで、両者納得の上で合意が得られる
●言質をとると、相手は自分の発言に縛られ、その言葉と矛盾する行動が取れなくなる

するどい「質問力」! 図解問題を1秒で解決する
するどい「質問力」! 図解問題を1秒で解決する 谷原 誠

三笠書房 2008-05-23
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star質問の種類を増やしたいかたにお勧め
star質問の型をマスターする
star応用の利くヒントが満載

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『君主論』

マキャヴェッリの『君主論』を読んだ。
時代は異なるが、それでも面白い洞察がいくつかあった。
例えば、

単に幸運に恵まれたため私人から君主になった者は、君主になるにあたってはほとんど労苦を必要としない反面、それを維持するに際しては多くの困難に遭遇する。
(中略)
このような人々は単にそれを与えてくれた人の意志と幸運とに依拠しているが、人間の意志と幸運は双方とも非常に変わり易く、安定しないものである。

ここで留意すべきは、ある領土を得る場合、占領者は行う必要のあるすべての加害行為を検討し、それを毎日繰り返す必要がないよう一気に断行すべきであること、そしてそれを繰り返さないことによって人々を安心させ、人々に恩威を施して人心を得ることができるようにすべきであるということである。これに対して臆病のためか誤った見解に従ってこのように行動しない者は、常に手に剣を携えていなければならない破目に陥り、臣民は新たに間断なく行われる加害行為のため彼に対して安全を確保できず、当然君主もその臣民を決して信用しえないことになる。

という二つの記述がある。
これを組みあわせるとどうだろう。
例えば内部昇格で45歳くらいの人を社長に昇格させる場合、それ以前には彼の上司であった人が今度は部下になるという状況ができ、好ましくない。
出し抜かれたと感じた幹部が、社長の言うことを聞かないということも起こりえる。
これで企業を混乱させるくらいならば、社長は社長就任と共にある加害行為を断行せねばならなくなる。
つまり、以前の上司は全員首にするわけだ。
しかもそれをじわりじわりとやっていたのでは、次は自分ではないかと言う不安で他の社員にも影響が出るから、一気に断行しなければならない。
そして一連の加害行為が終わり敵を排除した暁には、残りの社員に誠心誠意を尽くし、以後は自分の足場をより固めていくことになる。
なんとも非常なやり方ではあるが、逆にこの難しさゆえ、外部からCEOを雇うほうが成功しやすいのかもしれない。
過去のしがらみにとらわれない分、よそ者のほうがより客観的な立場から必要な処置を施せるのだろう。

君主論 (講談社学術文庫)
君主論 (講談社学術文庫) 佐々木 毅

講談社 2004-12-11
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おすすめ平均 star
star国を乗っ取る
star名著の名に恥じぬ読み応え
star君主論からはマキアヴェリの危機感と愛国心が伝わる

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『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす』

マーカス・バッキンガムさんとドナルド・O・クリフトンさんの共著、「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす」を読んだ。
マーカス・バッキンガムさんと言えば、以前読んだ、
「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」(http://d.hatena.ne.jp/lemoned-icecream/20080516/1210940421)
「最高の成果を生み出す6つのステップ」(http://d.hatena.ne.jp/lemoned-icecream/20080630/1214817597)
の著者だが、本書は上記2冊より前に書かれたものである。
本書についているIDでストレングス・ファインダーというウェブページにアクセスするとテストが受けられ、自分が生来持っている資質のうち、最も強く持っている5つを知ることができる。
私の結果は、以下のとおりだった(詳細は簡略化)。
1.最上志向
 ・平均ではなく、優秀であることが自分の基準
 ・平均以下の能力を平均以上に伸ばすことに意味を見出さず、平均以上の何かを最高のものに高めることに胸躍る
 ・自分自身もそうだが、他人についても、その人の強みに魅了される
 ・強みを評価してくれる人を好み、逆に自分を型にはめ、弱点を克服させようとする人を避ける
 ・もって生まれた天賦の才能を最大限利用したい
2.内省
 ・頭脳活動を好む
 ・方向は、問題解決やアイデアを考え出すなど様々
 ・一人でいるのを好む
3.個別化
 ・一人ひとりが持つユニークな個性に興味を引かれる
 ・人を一般化したり、類型化するのを拒む
 ・一人ひとりの最も良いところを引き出せる
 ・優秀なチームを作る秘訣は、各自が得意なことを充分にできるような強みに基づく配置であることを本能的に知っている
4.自我
 ・他人の目にとても重要な人間として映りたい
 ・聴いてほしい、目立ちたい、知られたい(特に強みを)
 ・信頼でき、プロフェッショナルであり、成功している人として尊敬されたい、またそういう人とつきあいたい
 ・独立心が強く、仕事を人生そのものにしたいと考えている
 ・強く求める目標、成果、地位であふれており、中途半端から優秀な状態へと自分を向上させ続ける
5.親密性
 ・既に知っている人との関係を深めようとする
 ・人間関係は、それが本物であるときのみ価値を感じる
まさに自分ってこんなんだよなぁと、ほぼ100%納得できる結果で、あまりの精度にびっくりした。
(ちなみに最上志向と個別化という資質があるあたりを見ると、この本を読もうと思ったわけが分かる)
まだ受けたことがない人は、本書を買って受けてみることを強くお勧めする。
さて、なぜ自分の資質を知ることが重要かというと、それらを生かした強みを身につければ、それが大きな成果へとつながるからだ。
人々に広く信じられている、

1 人はだれでもほとんどすべてのことにおいて、能力を発揮することができる。
2 だれにとっても最も成長の余地があるのは、その人の一番弱い分野である。

という認識は、実は間違いなのだ(根拠を知りたい方は本書を読めば、著者がギャラップ社での調査でどのようなデータを得たのかが分かる)。
ほんとうは、

1 人の才能は一人ひとり独自のものであり、永続的なものである。
2 成長の可能性を最も多く秘めているのは、一人ひとりが一番の強みとして持っている分野である。

なのだ。
資質と言う天性の才能は、知識と技術を磨くことによって「強み」へと変わる。
逆に言うと、いくら知識と技術を磨いても、才能がなければ卓越することはできないのだ。
弱点を磨くことは失敗を回避することにはつながるかもしれないが、すぐれた成果を収めることにはつながらないのだ。
ただ注意したいのは、資質が何かで自分に適した職業が決まると言うわけではないということだ。
ある特定の職務に向いている特定の資質というのは確かにあるようだが、その特定の資質がないからといってその職務が自分に適していないというわけではないようだ。
なぜなら、職務を問わず、卓越した域に至る道は何本もあるからだ。

そうではなくて、それがどんな役割であれ、自分の主要な資質が常に活かせるような演じ方を考えれば、最高のパフォーマンスを演じることができるということだ。

自分の強みが活かせるようなロールプレイを心がけ、足りない部分はそれが得意な人に補ってもらう、そのような演じ方もあるということだ。
また、どんな資質であれ、それは磨かなければ決して強みにはならないことも覚えておきたい。
職務内容にイマイチ満足していない人や、これから就職する人などに特にお勧めします。

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす 田口 俊樹

日本経済新聞出版社 2001-12-01
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star強みの診断は一度しかできません
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star才能の痕跡を 発掘する

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『セールスのプロが教える!相手を思いどおりに動かす超数字術~売上げ・結果が9.7倍アップする数字の使い方』

菊原智明さんの著書、「セールスのプロが教える!相手を思いどおりに動かす超数字術~売上げ・結果が9.7倍アップする数字の使い方」を読んだ。
タイトルだけ見ると誤解されるかもしれないが、本書は数字のトリックを使って顧客を騙そうという類の書ではない。
実際は、うまく数字を利用することで顧客の気を引き、興味を持ってもらい、理解してもらい、印象に残す方法論なのだ。
例えば「すぐできます」というのと「1分でできます」というのでは、後者のほうが具体的でイメージが伝わりやすい。
「すぐ」というのは抽象的で、人によって解釈の幅ができてしまうのだ。
さらに、「1分でできます」というのと「55秒でできます」というのでは、前者は「どうせもうちょっと時間がかかるんだろう」という印象を相手に与えてしまうが、後者はきっちり55秒という印象を与える。
このように文章に数字という具体性のあるものを入れることでイメージが湧きやすく、理解しやすいのに加え、「55秒」のようなちょっとした工夫・テクニックを用いることでよりインパクトを与えることもできる。
また、この数字術は営業の場面だけでなく、自分にも活用できる。
例えば資格を取得しようと思ったとき、漠然と「この資格を取るために今日から勉強するぞ」だけでは具体性がなく、何をいつまでにやればいいのかも不明であるため、いまいちモチベーションが出てこない。
しかし明確に「何月何日に資格を取る」と期限を定めれば、そこから逆算して一日一日の計画に落としこめ、より具体性がましてモチベーションも出てくる。
他にも漠然に「営業の成績アップ」ととなえるよりも、「営業の成績1.2倍」という、より具体的な目標を定めたほうがやはりイメージが湧きやすく、モチベーションにつながりやすい。
本書で紹介されているものは簡単ですぐ実行できるものばかりなので、すぐ成果を出したい人にお勧めだと思う。
以下、私用メモ
●漢字とひらがなと数字の割合に注意
●適度に改行して文章を見やすく
●端数まで示したほうがリアル感が伝わる場合がある
●抽象的な内容は3つ、専門的な内容は15
●限定には裏づけが必要

セールスのプロが教える!相手を思いどおりに動かす超数字術~売上げ・結果が9.7倍アップする数字の使い方
セールスのプロが教える!相手を思いどおりに動かす超数字術~売上げ・結果が9.7倍アップする数字の使い方 菊原智明

フォレスト出版 2008-06-20
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おすすめ平均 star
star読みやすく実践的
starわかりやすいですね!
starなるほどの心理術

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『リーダーになる[増補改訂版]』

ウォレン・ベニスさんの著書、「リーダーになる[増補改訂版]」を読んだ。
本書はリーダーシップとは何か、リーダーになるには何が必要かを研究したものだが、特に印象的だったのは「リーダーはリーダーになろうとして生まれるのではない、自分を表現しようとした結果リーダーとなるのだ」というフレーズだった。

 つまり、リーダーの関心は、世間に自分の存在を誇示することではなく、あくまでも自分を表現することに向けられている。この違いは決定的だ。前者は他人に動かされるが、後者は人々をみちびく。前者ならいくらでもいるが、後者はめったにいない。

さまざまなリーダーへのインタビューを重ねた結果、著者はリーダーに誰もがそのうちのいくつかは備えている基本要素を発見した。
1.指針となるビジョン
2.情熱
3.誠実さ
4.信頼
5.好奇心と勇気
である。
繰り返すが、真のリーダーとは自分の存在を誇示するためにリーダーになろうとはしないのだ。
彼らには人々が困難と受け止めるような時代にも輝かしいビジョンが描けてしまい、それを実現させたいと言う情熱がある。
そして誠実であるがために自分自信に対して率直であり、自分の信条と思想に基づいて行動し、それが周囲の信頼を引き寄せ、未来へと導く。
こうして結果的に、彼らはリーダーとなるのだ。
よってリーダーになる道は、他人に動かされることを拒み、人生の舵を自分の手に取り戻すことから始まる。
そして、自分の内なる声に耳を傾け、それに沿って行動するための自分らしい方法を見つけ出すのだ。
そうなると世間に違和感を覚え、孤立感を抱くことも増える。
しかしその現実と理想のギャップの中にこそ、指針となるビジョンがある。
しかしそれを描くだけでは、絵に描いた餅で終わってしまう。
それを実現させるために、リーダーは絶えず意欲的に学び続け、能力を磨き続けなければならない。
また、周囲の力を結集するためにも、品性と誠実さを磨き、人から信頼されなければならない。

 すぐれたリーダーは、能力とビジョンと美徳とをほぼ完璧なバランスでそなえている。ビジョンと美徳を伴わない能力や知識は、官僚を生み出す。ビジョンと知識を伴わない美徳は、空論家を生み出す。そして、美徳と知識を伴わないビジョンは、扇動家を生み出す。

リーダーとは何か、そしてどう生み出されるのかが論理的にまとまっていて、非常に読み応えのある良書だった。
以下、私用メモ
●リーダーは、夢を育てる
 ・リーダーには人をひきつけるビジョン、人を新しい場所へつれていくようなビジョンを生み出し、それを現実に変える力がある
●リーダーは、ミスを抱擁する
 ・誤りを犯すことを怖れない
 ・間違ったときは率直に認める
 ・リスクをとることを奨励する環境を作り出す
 ・唯一の失敗は何もしないことだと仕事仲間に伝える
 ・落ちることを怖れず、空高く張り渡されたロープを渡る
●リーダーは、反省を促す反論を歓迎する
●リーダーは、意見の違いを歓迎する
●リーダーは、「ノーベル賞要因」(楽天性、信念、希望)を持っている
●リーダーは、「ピグマリオン効果」を理解している
 ・すぐれた管理職は、達成可能な高い期待を部下にかける
 ・部下は、期待されていると思うことを実行する傾向がある
 ・理想的なのは少しだけ背伸びはするが、何度も挫折することはないような基準を定めること
●リーダーは長期的に考える

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