岸良裕司さんの著書、「全体最適の問題解決入門―「木を見て森も見る」思考プロセスを身につけよう! 」を読んだ。
本書の特徴は、全体が最適となるような解を「見える化」する問題解決手法を示していることです。
「木を見て森を見ず」な問題解決方法では、部分最適にとらわれるあまり、結局全体としては問題は解決できていなく、むしろ悪化していることさえあります。
逆に森ばかりを見て木を見ないと、見当はずれな解決策を実行してしまい、焼け石に水状態になりかねません。
本書では一つ一つの「症状」を、それを引き起こす「前提」によって「ロジカル」につなぎ合わせ、全体像を「見える化」することにより、どこを改善すればドミノ倒し的に問題が解決されるのかが一目で理解できるような手法を提示しています。
これはいくつかの手法を組み合わせて行われるのですが、私が特に面白いと思ったのが「中間目標に集中する目標達成術」でした。
例えばせっかく頑張って問題の解決策を作り上げても、いざそれを実行するとなると様々な障害が発生します。
「経営幹部が理解を示さないかもしれない」「既存の経営指標が邪魔になる」「説明して良さを理解してもらうのが難しい」「説明する時間をもらえない」
そして、「じゃあどうすれば導入できるのか?」と聞かれても、全てを解決するような画期的なブレイクスルーはそう簡単に出てくるものではありません。
「中間目標に集中する目標達成術」では、まず先に上がった「障害」を全てひっくり返してしまいます。
「経営幹部が理解している」「既存の経営指標が邪魔にならないことがわかる」「よさが理解されるように説明できるようになる」「説明する時間を作ってもらう」
そして、これらを実行にいたるまでの「中間目標」としてとらえ、一つ一つをどの障害がどの障害を解決する前提条件になっているかを考えながら、つなげていきます。
すると一本の線ができ、中間目標を一つ一つ解決してば目標が達成されるような「最短距離」が勝手に導き出せてしまいます。
ブレイクスルーを生み出そうとすると全く違う視点や発想をどうしても期待してしまいますが、実は解は足元にころがっているのだという、ちょっと目から鱗な手法でした。
その他の手法も簡単かつ実用的なので、ビジネスの現場のみならず、日常にも活用できます。
お勧めです。
全体最適の問題解決入門―「木を見て森も見る」思考プロセスを身につけよう! | |
きしらまゆこ
ダイヤモンド社 2008-08-01 おすすめ平均 |