rss hatena Clip to Evernote facebook Twitter

Author Archives: 河村 拓

『自分の印象が「こわいくらい」変わるビジネス心理術―嫌われている人からさえも、好かれてしまう!』

内藤誼人さんの著書、「自分の印象が「こわいくらい」変わるビジネス心理術―嫌われている人からさえも、好かれてしまう!」を読んだ。
本書は、あくまで自分を嫌っている人の自分に対する印象を変えるテクニック集として読むといいと思います。
●100円を借りてすぐに返す→簡単に信頼を勝ち取る
●議論ではあえて負ける→議論で叩き潰すと怒りを買う
●相手の名誉欲をくすぐってみる
●相手の何気ない会話や独り言を覚えておく→自分に関心があるのだなと思われる
●上下の区別なく、一貫した態度を持つ→公平な人だと思われる
●食事ではおごるか、ちょっと多めに出す→せこいヤツだと思われない
こういったテクニックは、例えば顔を見るだけで吐き気がするほど嫌いだったはずの人間が、おばあちゃんの手を引いて横断歩道を渡っている姿を見かけただけで、「そんなに悪い人でもないのかも?」と印象が変わるように、自分を快く思っていない相手の自分に対する印象をコロッと変えたい場面では、かなり使えます。
嫌われている人に、頼みごとをしなければならないとき、何かを尋ねるとき、顔をあわせて話し合わなければならないときに、本書のテクニックを用いて相手のバリアを壊してしまえば、いろいろとスムーズに進むかもしれません。
ただ、本書の手法を用いても、社交性は磨けても親密性は磨けないでしょう。
議論でわざと負けたりするような人と本当に腹を割って率直な話し合いなどできません。
著者は、食事の際に相手におごったり、少し多めに出すくらいの配慮をしない人はケチでセコイと言いますが、お互いがコントリビュートしあうことを目指す関係ではイーブンな立場が理想であり、私は割り勘が当然だと思います。
本当に親密な関係を築きたい相手には、あまり用いないほうがよさそうなテクニックもありそうです。
ご利用はあくまで計画的に。

自分の印象が「こわいくらい」変わるビジネス心理術―嫌われている人からさえも、好かれてしまう!
自分の印象が「こわいくらい」変わるビジネス心理術―嫌われている人からさえも、好かれてしまう! 内藤 誼人

大和書房 2008-09
売り上げランキング : 232311

おすすめ平均 star
starビジネス心理術とはいいながら・・・。
star心理学者が守る「印象づくりの基本」

Amazonで詳しく見る by G-Tools

『ヤンセンファーマ 驚異のビジョン経営』

関口康さんの著書、「ヤンセンファーマ 驚異のビジョン経営」を読んだ。
ジョンソン・エンド・ジョンソングループ、ヤンセンファーマ株式会社代表取締役社長である著者による本書は、経営に必要な真のビジョンとは何かを示してくれる一冊です。
企業が組織としての強さを築き着実に成長していく上で、
社員全員が理念を共有し
共通のゴールに向かって足並みを合わせて全速前進できる
ということは非常に重要です。
そこで企業理念や、目指すべき共通のゴールを示したビジョンが必要になってくるわけですが、問題なのは多くの企業でこれらがただ額に入れて飾っておくためのものになっていることです。
どんなに崇高な理念もビジョンも、それを実行・実現していくのは一人ひとりの社員であって、社員一人ひとりの行動にそれらが反映されていなければ結局は何の意味もありません。
そのため理念やビジョンはただ作ればいいというわけではなく、
いかに社員一人ひとりに当事者意識、参加意識を持ってもらうか
ということが重要になってきます。
関口さんが上手かったのは、まさにこの部分でした。
ヤンセンファーマ社長に就任した関口さんは、売上高1000億円という達成目標とともに、それを実現していくためのビジョン作りに着手します。

1000億円という売上目標を達成するためには、1000億円企業としての組織や社員のあるべき姿を示し、そして目標にたどり着くためには今何をすべきかを明確にする必要がある。

ここで関口さんが一人でビジョンを作り、「これが私たちの新しいビジョンです」と発表しても、おそらく誰も真剣には理解しようとせず、「額に入れて飾っておくもの」になっていたことでしょう。
実際には、
●営業本部、研究開発本部、人事本部のスタッフ各一名にコンサルタント一名を加えた「ビジョンチーム」結成

全社員に対しアンケート実施(売り上げ1000億円企業になるに当たり、会社として、個人として何が必要か、会社の現状をどうおもっているか、どういう会社にしたいか、そのために自分に何が出来るかなど)

●アンケートをもとにビジョンのたたき台となる大枠をビジョンチームで作成、同時にクレドー(企業理念)との整合性もチェック

●MC(経営幹部)を集めて一度目の合宿を行い、「良い会社とは何か」「良い会社を実現するために何をするのか」を洗いざらい徹底的に議論

●MC(経営幹部)を集めて二度目の合宿を行い、ビジョンを文章化

●『我々の挑戦 Our Challenge~ヤンセンファーマ・ビジョンステートメント~』完成、発表
という流れで作成されました。
ポイントは、上層部主導で進めつつも、しっかりと社員一人ひとりの意見や思いを吸い上げていることです。
これにより、社員は自分たちも関わったのだと言う参加意識を持つことが出来ました。
更にその後、
●「ビジョンセッション」を人事研修で行い、理解を深める
●毎月一度、MCメンバーでビジョンについて話し合う
●ビジョン意識調査アンケートを実施
などを通じビジョンの浸透をはかるとともに、「現状」と「ありたい姿」のギャップを見つけ、課題として認識し、それに対する改革プログラムを実行していくという流れを作っています。
社員全員の目指す方向が会社の目指す方向と一致し、全員の力で「良い会社」の実現に向けて努力していく条件を整えたわけです。
しかしこの「全員参加によるビジョン作成」の問題点は、作成当事のメンバーでは共有できても、作成後に入社した人には理解されない可能性があるということです。
そこで関口さんは、数年に一度見直しをすべき状況が来た際には、再び全員参加でビジョンの見直しを行うことを決意します。
これはビジョンの共同制作者になり、オーナーシップを持ってもらうための工夫であると共に、ビジョンを改善し、より良いものへ変えていくための仕組みでもあります。
このように、「ビジョン経営」に必要な要素をしっかり押さえつつ、かつ7年間で売り上げ3.5倍と成果も上げているヤンセンファーマのモデルは、組織にとって必要なビジョンとは何かについて考えるにあたり、非常に有用な実例だと思います。
ただ、若干読みづらいので、
「ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか」
(http://www.amazon.co.jp/ザ・ビジョン-進むべき道は見えているか-ケン・ブランチャード/dp/4478732701/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1222517987&sr=1-1)
とあわせて読むと、理解が深まると思います。
お勧めです。

ヤンセンファーマ 驚異のビジョン経営
ヤンセンファーマ 驚異のビジョン経営 関口 康

東洋経済新報社 2008-08-22
売り上げランキング : 29554

おすすめ平均 star
star 就活中の娘に
star成長企業の根本
star思春期の(ピュアな)成長企業

Amazonで詳しく見る by G-Tools

『考えすぎて動けない人のための 「すぐやる!」技術』

久米信行さんの著書、「考えすぎて動けない人のための 「すぐやる!」技術」を読んだ。
著者自身が冒頭で語っていますが、「技術」というよりも「心構え」ですね。
本書は、
●自分から知らない人に声をかけられない
●上司や同僚とケンカできない
●真っ先に手を挙げられない
●パーティや懇親会で浮いてしまう
といった悩みを抱える人に向けられた一冊です。
自分から声をかけられない人
毎日知らない人10人に挨拶してみる
パーティや懇親会で浮いてしまう
名刺を熟視して、特徴的な人に話しかけてみる(名刺がこっている=話すのが好きな人)
等、使えそうなものもいくつかあるのですが、全体的に広く浅い印象が否めず、私は満足できませんでした。

考えすぎて動けない人のための 「すぐやる!」技術
考えすぎて動けない人のための 「すぐやる!」技術 久米 信行

日本実業出版社 2008-08-22
売り上げランキング : 8669

おすすめ平均 star
star内容が薄いです。
star情熱は権力よりも実力よりも強い
star今週中に大物にコンタクト!

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ブログを書籍化してもらえるサービスが「はてな」にあるのですが、
申し込んでいたものが先日届きました。



※携帯で撮ったので画質が…
4月6日から8月27日までの期間の記事で申し込んだのですが、ページ数は450ページ、お値段約5000円となりました。
届いてから気づいたのですが、これ一冊持っておけば人と会うときに「ブログ書いてます」と見せたり、いろいろ使い道がありそうですね。
確か、はてなにブログインポート機能があったと思うので、現在はてな以外の日記を利用されている方でも申し込めるのではないかと思います。
興味のある方はご自身のブログを書籍化してみてはいかがでしょうか?
結構愛着がわきますよ。

『努力はいらない! 「夢」実現脳の作り方』

苫米地英人さんの著書、「努力はいらない! 「夢」実現脳の作り方」を読んだ。
ここ最近で最も興奮した、一冊です。
是非読んで欲しいと思います。
本書は夢の実現の仕方を説いたものですが、タイトルにある「努力はいらない」とは、夢を実現するのには何もしなくていいということではありません。
そもそも努力しているようでは、夢など実現できるわけがないということなのです(ちなみに私は努力という言葉自体もう、大嫌いです)。
結局、やりたくないことを、やらなければいけないからやる(have to do)、というやり方では続くわけがないのです。
本書の手法は、やりたいことを無意識にやっていたら(want to do)いつの間にか夢を実現していた、という流れの中に自分自身を置いてしまうというものです。
この手法を学ぶのにまず理解しなければならないのは、人はそもそも変化を避けるよう働く機能があるということです。
人には誰にも、自分にとって居心地のいい「コンフォート・ゾーン」というものがあります。
例えば偏差値が65~70の間であれば満足だとか、テストの点数が80点から100点の間であれば御の字だとかいうもので、その範囲から外れてしまうと途端に違和感を覚えます。
そしてこの違和感が、何とかコンフォート・ゾーンにまた戻ろうとする無意識的な働きを起こします。
これが、夢を実現するのに必要な変化を妨げる原因なのだそうです。
であるならば、夢を実現するのに適した位置に、自分のコンフォート・ゾーンを移動してしまえばいいのです。

あなたの夢がかなえられるかどうかは、コンフォート・ゾーンをどのように設定するかにかかっているのです。コンフォート・ゾーンをあるべきところにちゃんと設定し、その中にゴールを向かう道すじを作ることができれば、あとは、みなさんの無意識が勝手にその達成に必要なことをしてくれる。だから、努力はいらない。

これは、自分の夢ややりたいことが何なのかわからない、という人にも応用できます。
無意識にとっては、コンフォート・ゾーンに合致して現状を保つことがプラスで、そうでないものはマイナスなので、プラスのものは目に付くように働き、マイナスのものは見えにくくなるよう働きます。
つまり、「夢ややりたいことが何なのかわからない」というコンフォート・ゾーンに居る限り、ずっとそのままなのです。
ここから脱却するには、まずは暫定でもいいから何かゴールを決めて、それにあわせてコンフォート・ゾーンをずらしてみる。
そうすると今まで盲点になっていたものがとたんに見えるようになり、文字通り視野が広がり、自分の目指すべきものが浮かび上がってきます。
思えば半年前までの私にとって、本を読むということは努力以外のなにものでもありませんでした。
やりたくないことだったわけです。
なので、1年に1冊読むか読まないかくらいでした。
しかし、半年前に突然自分が何をやるべきなのかわからなくなる出来事があり、強い自己否定を起こしました。
自分の中の何かを作り変えなければいけないが、どうすればいいのかが分からない状況。
そこでふと考えたのが、「毎日本を読んでみよう」ということだったのです。
今思うと、あれはまさに自分のコンフォート・ゾーンを大幅に移動したのだと思います。
やらなければいけないから本を読むのではなく、読みたいから読む。
無意識的に本を読むうちに一日一冊読むことが全く苦でなくなり、むしろ読まないほうが気持ち悪いようになりました。
そうして視界が開けてきた今、どんどん自分のやりたいこと、目指すものが見えてきています。
話を戻しましょう。
問題は、どうやってコンフォート・ゾーンを移動するのか、ということです。
これは特に「高い自己イメージ」が大きな働きをするのですが、具体的な中身は本書を読んで確認してみてください。
完成度の高いワークも盛り込まれており、きっと役に立ちます。
そして、おそらくコンフォート・ゾーンを動かしているうちに、何の疑いや迷いもなく「これこそが自分のやりたいことだ!」というものが見つかると思います。

みなさんが「これだ!」という夢を見つけたときには、なんの疑いや迷いもなく、そうだとわかります。そのように、いっさいの疑いの余地なく「これだ!」と思ったのなら、その夢は、あなたのコンフォート・ゾーンのど真ん中に来ているということです。ならば、夢は必ずかないます。

まさに、どうすれば夢を見つけることが出来るのか、そして、どうすればそれをかなえられるのかを示した一冊です。
●自分のやりたいことが見つからない、夢がない
●夢はあるが、どうやってかなえればいいのかわからない
●夢はあるが、自分にそれが出来るのか、自信がもてない
そんな方は是非、本書を読んでみてください。
お勧めです。
以下、私用メモ
時間は未来から現在、過去へ流れる
●未来に夢をかなえるのに、今までのことは一切関係がない
●大事なのは、未来に働きかけること
●「今こうあるべき自分」に対して、どれだけ臨場感を持てるかが重要
「ゴールそのもの」ではなく、「ゴールに向かっていく自分の姿」のイメージに強い臨場感を持つ
●常に高い自己評価を持ち、それに強い臨場感を維持できる人だけが、高いレベルでのゴールを達成することが出来る

努力はいらない! 「夢」実現脳の作り方
努力はいらない! 「夢」実現脳の作り方 苫米地英人

マキノ出版 2008-09-16
売り上げランキング : 1813

おすすめ平均 star
star盲点を知り、目標設定をシフトする。
star私は、サクラではありません。
star大変おもしろいです!!

Amazonで詳しく見る by G-Tools

『日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方』

リチャード・クーさんの著書、「日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方」を読んだ。
本書はサブプライム危機とは何なのか、それが世界に及ぼす影響とは何なのか、日本はそれに対しどう動かなければならないのかを説いたものです。
最近ではリーマン・ブラザーズの破綻が報道されましたが、そもそもサブプライム危機とは何なのか、現在米国、そして世界で何が起こっているのかを理解するには、本書はうってつけの内容だと思います。
現状についての分析は明快かつ分かりやすく、金融や時事にうとい私でもすらすらと読めてしまいました。
ただ、著者の語る、ITバブルや不動産バブルに対する政府の施策についての「あれは間違いだった、あの時こうすればもっとよくなっていた」というのはあくまで結果論に過ぎないと思いますし、それを受けて政府を無能の集団と考えるのはまずいでしょう。
あくまで世の中で今何が起きているのかを一人のエコノミストの視点から理解する、という姿勢で読めば、難しい表現もなく分かりやすい本書はかなりお勧めだと思います。
●なぜサブプライム危機は戦後最悪の金融危機なのか?
●何故銀行は「死に金」を抱えているのか?
●なぜ日本の企業は新卒採用に積極的になったのか?
●当事、橋本首相が増税対策などせずに首相公邸でプラモデルでも作っていれば、本当に日本は何百兆円もの政府債務の発生を防げたのか?
●何故格差が今後も拡大するのか?
かなり面白いので、是非読んでみてください。

日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方
日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方 リチャード・クー

徳間書店 2008-07-03
売り上げランキング : 43994

おすすめ平均 star
starバーナンキがドル安論者というのが気になる
starチャレンジ精神こそが「学問」を活性化する
star持論のさらなる強化

Amazonで詳しく見る by G-Tools

『弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術』

谷原誠さんの著書、「弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術」を読んだ。
本書は、元々は気弱で口下手な少年だったにもかかわらず、現在は弁護士として交渉の場面で活躍する著者が、『気弱な人だからこそ出来る逆転の交渉術』を説いたものです。
本書の交渉術は相手の感情や理性の状態に自分を合わせ、上手にコントロールすることを目指します。
そもそも人間と言うのは感情の生き物であって、何かを決断するときにはまず感情が「決断したい」と動いて、それにあわせて理性が働き、決断の正当化を始めます。
理性が先ではないのです
それをうまく活用して、相手の感情に配慮し、理性で選択を迫るわけです。
相手に合わせてしまう「ソフト型交渉」や、相手を打ち負かす「ハード型交渉」に比べて、角を立てず、かつ自分の目的はしっかりと果たすことの出来る本書の手法は、まさに和を重んじる日本人向けの、実用的なものだと思います。
本書はノウハウやテクニックが論理的に解説されている上に、実用会話例がほどよいバランスで盛り込まれているので、非常に吸収しやすいです。
また、交渉を不利に導く4つのタイプとして
1.善人「うらなり」タイプ
 ●相手のことばかり気を使い、自分が不利になる
2.対立を避ける「平和主義者」タイプ
 ●対立関係が生じると譲歩を続け、負けパターンに入る
3.人の言うことをすぐ信じる「子供」タイプ
 ●嘘やハッタリを信じて、相手の言いようにされる
4.感情的になってしまう「坊ちゃん」タイプ
 ●冷静な判断ができなくなる
が上げられており、それぞれの弱点と留意すべきポイントが書かれているので、それを押さえつつ読む進められるのも特徴です。
●勝ち負けという概念を捨てる
 ・変なプライドを捨てて譲歩したほうが徳を取れることがある
 ・そもそもの目的を思い出す!勝つことではないはず。
●余計なことは話さない
 ・口下手なのに話すからぼろが出る
 ・自分の弱点を暴露したり、相手の自尊心を傷つけないように
●双方の力関係を的確に見極め、譲歩すべきところは譲歩し、そうでなければ譲歩しない
 ・相手の立場に敏感な気弱タイプだからこそできる
●まず相手に全てしゃべらせる
 ・相手が聞く耳を持った状態とは、自分の話を全て言い終えた状態
 ・まず相手の情報を聞き出してしまう(ニーズ、強み弱み、期限、限界値、代替手段など)
など、まさに気弱な人の「強み」を生かした交渉術です。
ビジネスの交渉場面のみならず、例えば上司からの飲みの誘いをどうしても断りたいときや、頼みごとを断りたいとき、しつこいセールスに断りを入れたいときなど、様々な場面で活用可能です。
かなりお勧めなので、是非読んでみてください。
以下、私用メモ
ハーバード流交渉術
1.人と問題とを分離せよ
2.立場でなく利害に焦点をあてよ
3.行動について決定する前に多くの可能性を考え出せ
4.結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ
5.※相手も理性的であることが大前提
鉄則
1.善人「うらなり」タイプ
 ●相手に有利なことを言わない
 ●自分の要求を表明する
2.対立を避ける「平和主義者」タイプ
 ●交渉の目的を忘れない(「そもそも~」)
3.人の言うことをすぐ信じる「子供」タイプ
 ●人は信じても、事実は検証せよ
4.感情的になってしまう「坊ちゃん」タイプ
 ●交渉では、常に冷静に
お互いの利害が異なっているからこそ、双方が満足のいく結果に達することができ、合意できる
限定法
●競合の存在をちらつかせる
●期間を限定する
●数を限定する
要求せず質問する
●「仮に~~だったら購入いただけますか?」
●情報を引き出しつつ、相手を縛る

弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術
弁護士が教える 気弱なあなたの交渉術 谷原 誠

日本実業出版社 2008-08-28
売り上げランキング : 5418

おすすめ平均 star
star弱気が強気を挫く分野
star気弱な人に限らず、わりと万人向けの内容
star苦手意識を克服してやろうぜ!

Amazonで詳しく見る by G-Tools

『大逆転の経営』

エイドリアン・J・スライウォツキーの著書、「大逆転の経営」を読んだ。
本書は戦略リスクに対し、いかにリスクを察知し、緩和し、逆に成長への機会へと転換するかを説いたものです。
企業が直面する戦略的リスクを
1.大プロジェクトの失敗
2.顧客離れ
3.業界の分岐点
4.とても適いそうにない強豪企業の出現
5.ブランド力の喪失
6.業界全体の低迷
7.成長の停滞
の7つにわけ、これらをいかに事前に察知し、対策を立てることで不必要な打撃を回避し、避けられない打撃を緩和するかを分析しています。
●オッズを過大評価すると、成功に必要な投資を過小評価することになる
 ・人間は過剰に楽観視しがち
 ・真のオッズを注意深くはじきだし、プロジェクト成功に本当に必要なものを正確に把握する
●非リスク化の第一段階は真の成功確率を認識すること。第二段階はその確立を変えること。
●過去の事例を振り返るとき、十分に起こり得たほかの可能性についても考える必要がある
 ・プレッシャーのかかる意思決定を疑似体験する
 ・ダブル・ベッド
●新たな脅威を早期に察知するシステムがあれば、強豪出現リスクに対処するリードタイムが確保できる
といった基本的な考え方に加え、実際にトヨタ、アップル、TSUTAYA、Microsoft、IBMといった企業がどのようにリスクを捉え、対抗策を講じ、逆に成長への足がかりと変えてきたのかという、豊富な事例が紹介されています。
逆に失敗した事例も同様に多く紹介されています。
読み方としては、本書を元に自社が現在どのような戦略リスクを抱えているか、もしくは今後直面する可能性があるのかをリストアップし、それに対処するに当たって過去の事例から何か応用できそうなものはないか探してみる、というのが有効ではないかと思います。

大逆転の経営
大逆転の経営 中川 治子 佐藤 徳之 伊藤 元重

日本経済新聞出版社 2008-04-18
売り上げランキング : 136886

おすすめ平均 star
star 「リスクマ・ネジメントこそが戦略である」という切り口 [2008/1/13原書review]
star大逆転の経営を読んで

Amazonで詳しく見る by G-Tools

『分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学』

トーマス・H・ダベンポート、ジェーン・G・ハリスの著書、「分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学」を読んだ。
本書は「ブルー・オーシャン戦略」に次ぐ、ハーバード・ビジネススクール・プレスからの一冊です。
ブルー・オーシャン戦略が競争のない市場を開拓するのが目的だったのに対し、本書は製品や技術では差別化が難しくなった現代において、企業が他者との差別化を図るには事業の実行面や意思決定を最適化する必要があり、そのためには分析力を企業の柱に据えることが不可欠だと説いています。
こういうと、ちまちまとデータを分析するよりも、スピードが重要な現代では直感が重要だとか、それ以前に大胆なビジョンに基づいた意思決定が必要なのだと考えがちですが、そうとも限りません。
もちろん意思決定にはスピードが重要ですが、その意思決定のタイミングまでにどれだけ正確で質のいい情報を収集・加工して意思決定に生かせるかというのは、大きな差別化の要因になります。
最終的に不透明な部分については直感を頼りにするしかありませんが、それ以外の部分については事実に基づいた判断のほうが正確でしょう。
また、そもそもビジョンと分析は矛盾する概念ではありません。
ビジョンには現状と理想の未来を結ぶ戦略が不可欠ですが、戦略を立てる上で現状分析は欠かせないファクターのはずです。
P&G、Google、Amazonなど実際に分析力を武器に成功している多くの企業の事例に加え、分析力を組織力に生かすノウハウが組織戦略、人材、技術という視点から体系化されている本書は、今後自社にどのような形で分析力を取り入れ、生かしていくかを考える上で非常に参考になる内容です。
企業が組織的に分析力を身につけるには、闇雲にデータを収集するのではなく、どのデータにフォーカスするか、どこにリソースを配分するか、そもそもデータ分析でなにをしたいのかといった、明確な戦略があることが大前提になります。

他者との差別化の決め手になるのは何か。
●自社の強み、得意分野は何か。
●データ分析の力を借りたい部門やプロセスはどれか。
●自社事業にとって特に大事な情報は何か。
●情報や知識で業績が大幅アップしそうな部門やプロセスはどれか。

といったことを、理解していなければなりません。
また、実際に分析力を武器にするまでには、非常に長い道のりが待っています。
ソフトウェア・アプリケーションやシステムの整備からデータ収集・測定・分析スキルの開発、業務プロセス・企業文化の変更と、やるべきことは山済みです。
本書によると、調査の結果早くても1年半から3年はかかるようです。
分析力を武器にするまでのロードマップは、5つのステージに分かれます。
第一ステージ
●まずは精度の高いデータを一貫して収集できる環境を整える
●経営陣が勘ではなく事実に基づいて決定を下す姿勢を持っていなければ意味がない
第二ステージ
●限られた範囲で戦術的なデータ分析を始める
●それが大きな変化のきっかけとなり、全社に波及効果をもたらす
●小規模にはじめ、数値で測定できる成果を上げる
●経営陣のコミットメントを得れば次のステージへ
第三ステージ
●まずCEOが分析力を武器にして競争で優位に立つ明確なビジョンを全社に示す
●業務プロセスの見直し、役割分担や責任範囲の変更も必要
●システム面の整備も欠かせない
●全社的なデータの統合化と標準化も推進する
第四ステージ
●全社を挙げて分析力を開発・強化する
●データ分析を戦略的に活用し、他者との差別化を図っていく
●スペシャリストを一つのグループにまとめて戦略的な問題に専念させる
第五ステージ
●分析力は戦略や競争優位を支える柱となっている
本書を通して、自分の会社は今どのステージにいるのか、当面の課題は何なのか等を考えてみてはいかがでしょうか。
以下、私用メモ
分析スペシャリストの集団を生かすポイント
●息長く続ける
 ・データ分析が企業に根付くには時間がかかる
●IT部門と連携する
●組織上の位置づけに配慮する
 ・CEOなど経営チームの直属にする
 ・せっかくの分析力が有効活用されないといけない
●確執を避ける
●使い手の身になる
 ・シンプルなシステムを構築し、一般社員のトレーニングも丁寧に行う
ビジネス・インテリジェンス(BI)
●データを組織的かつ系統的に蓄積・分類・検索・分析・加工し、予測や最適化、さらには意思決定に役立てる
ビジネス・インテリジェンス・アーキテクチャ
●BIを可能にする組織横断型のシステムやアプリケーション
●高度な情報処理を実行し、必要なとき必要とする人に必要な情報を提供する仕組み
1.収集
 ●分析力で勝負するために重要なのはどのデータか
 ●そのデータをどこで入手するか
 ●必要なデータ量はどの程度か
  ・大量に必要
  ・「とりあえず」とか「念のために」集めるデータは不要
  ・重要度の低いデータは不要
 ●どうすればデータの質を高められるか
  ・正確である
  ・完全である
  ・現在のデータである
  ・整合性がある
  ・コンテキストから切り離されていない
  ・監視できる
 ●データの入手から廃棄までのプロセスをどう管理するか
  ・収集
  ・洗浄―不要なものを排除
  ・変換・保存―標準化、統一化、フォーマット化
  ・保守
2.変換
3.保存
4.分析
5.表示
6.運用

分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学
分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学 村井 章子

日経BP社 2008-07-24
売り上げランキング : 11726

おすすめ平均 star
star見える化を発展
starこれはBI本の中では入門書レベル
star結局トップの意識だ

Amazonで詳しく見る by G-Tools

『ジョブズはなぜ天才集団を作れたか』

ジェフリー・L・クルークシャンクの著書、「ジョブズはなぜ天才集団を作れたか」を読んだ。
本書を読むなら、
「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」を読んだほうがいいと思います。
本書はアップル社のこれまでの成功と失敗の歴史に目を向け、それらを12のエピソードに分解し、それぞれから学び取れる経営の教訓を導き出そうとしたものです。
本書で扱われている情報量そのものは多いのですが(300ページ以上)、どれも表に出ているような内容ばかりで、裏側まで鋭く迫ったものではありません。
また、章末で行われる分析も「アップル社は○○をして成功した、よってこういった場面では○○をすることが教訓である」という結果論に過ぎず、なんら深く掘り下げた形跡のないものです。
教訓を学び取ってアウトプットに生かせるような内容ではないでしょう。
であるならばもはやアップルの成功と失敗の歴史を楽しむ読み物として読むしかありません。
しかしそれであれば、膨大なインタビューから得られた情報を元に、ジョブズの破天荒な性格やアップルの企業としての文化までを目に浮かんでくるかのようにありありと描いた「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」のほうが断然面白いです。
よって、本書はあまりお勧めしません。
ただ、一つ面白かったのは、ジョブズが技術革新にとって風土が大切なのだと語っている場面です。

集積回路も、マイクロプロセッサも、半導体メモリも、今使われているみたいなハード・ドライブも、(中略)全部の発明がこの湾岸地区で起こったことなんだ。信じられないだろう?

世界中から優秀な人材が集まるシリコンバレー周辺では、天才たちが一箇所に集まって衝突したり仲良くなったりしており、その風土が様々な技術革新を生み出すのに一役買っている、というジョブズの一説ですが、そういえば日本にはシリコンバレーのように天才たちが集まる地域がないのではないでしょうか。
GoogleやYahoo、Amazonのような企業がなかなか出てこない日本ですが、そういった企業が出てくる風土がそもそもないのが大きな原因の一つではないかと思います。
少子高齢化、年金問題などいろいろ問題を政府は抱えていますが、政府が出来ないならば、企業が主導でやってしまえばいいわけです。
Stay hungry, stay foolish.
また一つ、やりたいことが見つかった気分です。

ジョブズはなぜ天才集団を作れたか (講談社BIZ)
ジョブズはなぜ天才集団を作れたか (講談社BIZ) 徳川 家広

講談社 2008-08-28
売り上げランキング : 187198

おすすめ平均 star
star序文から事実誤認があるなんて論外
starアップルについて最近興味を持った人には良い入門
star広報戦略のプロによるアップル社批評

Amazonで詳しく見る by G-Tools

『「夢とビジョン」を語る技術―「いっしょに仕事がしたい!」と言われる』

野口吉昭さんの著書、「「夢とビジョン」を語る技術―「いっしょに仕事がしたい!」と言われる」を読んだ。
「夢とビジョンを語る技術」と題するに妥当な内容ではないと思います。
本書の主張は、『今組織では、現場を知らない「トップの夢」を、現場の状況を踏まえてより現実的な「ビジョン」にすることのできる、ミドルマネジメントが求められている』、にとどまっています。
確かによいビジョンを描き、メンバーを上手に巻き込むことが出来れば、組織の活力は何倍にもなると思います。
しかし、だからこれからはミドルが夢やビジョンを語りなさいと言われてすぐに効果が出るような、簡単な問題でもないでしょう。
そこの部分をより詳しく扱って欲しかったのですが、どうも本書はあっちにいったりこっちにいったりでまとまりがなく、結局何を言いたかったのかが分かりにくい内容で、そもそも本書にビジョンはあるのかと疑問に思ってしまいました。
しかし、部分的には面白い内容もあります。
小さい組織のほうがミッションやビジョンが明確になりやすいので、トップの描く「夢」を現場のビジョンに翻訳する「ビジョンの最大化」こそがミドルの一番の仕事であり、よってミドルが元気な組織ほど強い組織なのだと本書は述べています。
そこで、現場のリーダーであるミドルにはマネジメント能力と共に、ビジョンシップ(ビジョンの再構築能力)が求められる、と書かれているのですが、一人の人間がビジョンシップとマネジメント力の2軸で優秀であることは非常に難しいと思います。
私はそもそもリーダーとマネジャーはまったく別のものだと思います。
リーダーは未来を描く人であり、「未来」にある。
マネジャーはメンバーの特徴を把握し、それぞれが自分の力を最大限発揮しつつ高いモチベーションを維持しながら働ける環境を整備する人であり、「人」にある。
そもそも求められる役割も資質も異なる両者を、「現場のリーダー」として一変にミドルに求めること自体に実は無理があるのではないでしょうか。
私は、これらは分業したほうがうまく行くのではないかと思います。
それぞれの組織にビジョンを描くリーダーと、人をマネジメントするマネジャーがいて、各々が得意なポジションで役割分担させたほうが、それぞれの役割を最大限組織の中に活用することが出来るのではないでしょうか。
ミドルにパートタイマー的にビジョンを描かせても、そもそも資質がなければたいした成果は出ないと思います。
自分の強み(好きで得意なこと)を生かす時代ですしね。
もちろん、両方の資質を持っていればその限りではないでしょうが。

「夢とビジョン」を語る技術―「いっしょに仕事がしたい!」と言われる
「夢とビジョン」を語る技術―「いっしょに仕事がしたい!」と言われる 野口 吉昭

かんき出版 2003-09
売り上げランキング : 61966

おすすめ平均 star
star抽象論に終始
star熱い思いを現実にするためには
star面白いけどまとまりがない

Amazonで詳しく見る by G-Tools