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Author Archives: 河村 拓

『サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける』

箭内道彦さんの著書、「サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける」を読んだ。
本書はタワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE」や資生堂の「uno」で著名なクリエイティブディレクターである著者が仕事術を語ったものです。
特に印象深かったのは、著者の「自分に合うように環境をアレンジする技術」が抜群に優れているところです。
自分を主張するために真っ向から抗うのではなく、上手に自分に合うように周りの環境を調整してしまうその姿は、副題にある、
「流される」から遠くに行ける
というよりも、
流れに乗りながらも、自ら舵を取る
に近いのではないかと思いました。
例えば「制約」というと不自由さの象徴のように思われ、特にクリエイティブな仕事をする人にとっては好ましくないものかもしれません。
が、著者はあえてそれを
誰も見たことのないものを見ることができるサイン
と捉え、制約を前にブレーキを踏むのではなくアクセルを踏むことで、自分では予想できないものに出会う機会にしてしまいます。
また、これは著者が博報堂に勤めていた頃の話ですが、社外に出る時間を多くしてしまうと、社内で面白い企画の公募があったときにチャンスを逃してしまうと思い、また、社外にいるより社内にいたほうが自分をアピールできるのではと思い、出来るだけ社内に居ようとした時期があったそうです。
しかし、そうすることによる弊害ももちろんあるわけで、例えばつまらない会議に呼ばれたり、社外のほうが面白いアイディアが浮かびやすかったりします。
そこで著者は、「社外にいつつも自分をアピールし、面白そうな仕事はしっかり自分に回ってくるような方法」を思いつきます。
具体的には、デスクの上に出先表をものすごく細かく書いておいておくことで、「今日もあいつは忙しく仕事しているんだ」といい方向に過大評価してもらい、誤解してもらったのだそうです。
まさに相手の力を上手く利用する「合気道」のように、流れを利用して遠くに飛ぶ本書の仕事術は、ある意味で処世訓であるとも言える、なかなかおもしろい内容です。
常識と自分らしさの間でもがくのではなく、自分に合う形に常識をアレンジしてしまう。
そして、自分自身も積極的に変化していく。
読みながら線を引きっぱなしの一冊でした。
お勧めです。
以下、私用メモ
アイデアは書き留めない
●アイデアは変化していくもの
●一度書き込んで型を作ってしまうと、変化の可能性を失うことになる
「企画倒れ」を愛する
●あまりにもばかばかしいことを考えられた証拠
まずは恐れず、企画倒れするぐらいのばかばかしいことを考えてみる
大いに抜け駆けする
●仕事は抜け駆けしないとできない
●抜け駆けする機会=チャンス
チャンスに照れず、抜け駆けする
失敗を具体的に怖がる
●自分ができる範囲の中で安全にやろうとするから、無難なものしか出てこない
●なんとなく失敗を恐れずに、自分にとって何が失敗なのかを明確にして、それだけを恐れる
キッパリ命令する
●混沌とした時代だからこそ、自分のやるべきことを明確にしてくれる、命令の出来る上司、先輩が求められる
人類みな同い年
●年上への敬意は逆に言えば遠慮
●クリエイティブな仕事をするのに上下関係は不要
ライバルや先生はなるべく遠くで探す
●身近に設定すると視野が狭い競争に陥り、自滅する
●勝ち負けにこだわらないよう、ある意味で絶対に勝てないような人をライバルにする
●異業界の先生を持つことで、他ジャンルの発想やアイデアをもらう
「営業のイチロー」を目指す
ルールと制約を歓迎する
●型にはまらないと型は破れない
●学校教育は、後で壊したり利用したりするための基礎固め
オンとオフのスイッチを壊す
仕事が楽しくないと人生も楽しくないという状況を作り、仕事で楽しまないとまずいという気持ちを引き出す
体はやがて名になる
名前と人生はリンクする

サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける
サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける 箭内 道彦

幻冬舎 2008-09
売り上げランキング : 7941

おすすめ平均 star
star大事なのは実現力だと思う。
star面白かった!
starサラリーマンではない人にもお奨め

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『超! 自分マネジメント整理術 行動科学で3倍の成果を上げる方法』

石田淳さんの著書、「超! 自分マネジメント整理術 行動科学で3倍の成果を上げる方法」を読んだ。
整理術の本ですが、本書の特徴は
成果に直結する整理術
●行動分析学に基づいた、「いつ・誰が・どこで」やっても同様の結果が得られる、再現性のある方法
であることです。
「自分マネジメント整理術」のポイントは
対象を必要なものと不必要なものに分解し、不必要なものは捨て、必要なものに資源を集中する
ことにあります。
この必要な要素のことを「ピンポイント行動」と呼ぶのですが、これこそがまさに成果に直結する行動(モノ)にあたります。
しかし、多くの人がこの「ピンポイント行動」がどれなのかを見極めることができず、それが原因で整理法がわかっていても実際には整理が出来ずに終わるのです。
であるならば、
「ピンポイント行動」を見極める仕組み・ルール
を作ってしまえばいいのです。
次に多くの人が躓くのは、ピンポイント行動がわかったが、それを継続することが出来ないという「習慣化」の問題です。
その原因は、「結果がすぐにあらわれない」というところにあります。
人間は結果がすぐにあらわれるものは続けることができるのですが、そうでないものは続けることが出来ないそうです。
例えば、英語を毎日勉強すれば着実に英語力はアップすると頭では分かっていても、一日やったくらいでは目に見えた成果はわかりにくいため、成果が実感できず、続けられなくなってしまうのです。
であるならば、
ピンポイント行動を言語化・数値化・ビジュアル化
ピンポイント行動を計測
継続のためのプログラム作成(ごほうび等)
をしてしまえばいいのです。
ピンポイント行動を計測可能な状態にし、毎日計測することで評価できるようにし、自分が続けやすい環境を創ってしまうのです。
まとめると、「自分マネジメント整理術」は
1.「ピンポイント行動」を見極める
2.「ピンポイント行動」を明文化する
3.「ピンポイント行動」を計測する
4.「ピンポイント行動」を継続するためのプログラムを作る
の4つの要素から成り立っているのです。
本書では「自分マネジメント整理術」を
●仕事
●環境
●頭の中
●自己実現
に分けてそれぞれ解説しています。
興味のある方は是非読んで確認してみてください。
特に「ピンポイント行動の見極め」の部分は重要だと思います。
以前私は、何度か「よし資格を取るぞ!」とそのときはやる気でいっぱいになりながら勉強を始めたものの、結局は続かずにすぐに断念してばかりいました。
時間的な余裕のある学生ですので、「時間がない」はいいわけにはなりません。
要するに勉強する仕組みがなかったのです。
勉強法を工夫した最近では苦もなく習慣化できるようになったのですが、自分の仕組みを見直してみると驚くほど本書の手法と合致していました。
例えば最近受けたTOEICの場合はまずは目標を900点に定めた上で、
1.900点取るために必要な勉強は何かを見極める(ピンポイント行動の見極め)
2.毎日やるべき分量を決める(ピンポイント行動の明文化)
3.エクセルに試験日までの勉強スケジュールを書き込み、毎日こなせたかどうかチェック(ピンポイント行動を計測)
4.こなせたらセルにチェックを入れ、達成感を味わう(継続するためのプログラム作成)
ということを3ヶ月間休まず続けることが出来ました。
行動分析学と言うとなんだかすごそうな響きですが、実は意外と出来ていることかもしれませんね。
意志の力や根性ではなく、ピンポイント行動を見極める判断力と、ピンポイント行動を継続する仕組み化で勝負だと思いました。
以下、私用メモ
●仕事の出来る人を観察して、何がピンポイント行動なのかを見極める
●ピンポイント行動を増やした結果が成果に現れるかどうかをすぐにチェックする
●時間割を作って自分をマネジメント

超! 自分マネジメント整理術 行動科学で3倍の成果を上げる方法
超! 自分マネジメント整理術 行動科学で3倍の成果を上げる方法 石田 淳

インデックス・コミュニケーションズ 2008-08-25
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おすすめ平均 star
star一事が万事になるには、整理が大事
starセルフマネジメントの基礎
star実践しようという気にさせてくれる

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『はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術』

マイケル・E・ガーバーの著書、「はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術」を読んだ。
本書は独立・起業を目指す人にとってのバイブルといっていいと思います。
多くの事業が失敗する本質的な理由と成功する企業に必要な要素が主に「会話形式」で解説されており、起業に必要なエッセンスがまるで染み渡ってくるように伝わってきます。
多くのスモールビジネスの起業が失敗してしまう原因は、「自分と事業とを切り離すことが出来ない」ことと「準備不足」ということに集約されるようです。
起業家には「起業家」「マネジャー」「職人」の3つの顔が潜んでいるのですが、多くの人は「職人」から抜け出すことが出来ずに失敗します。
多くの起業家は、その分野に関する専門的な能力を持っていれば事業を経営する能力は充分備わっているのだと致命的な勘違いをし、事業に関する計画を十分に練らないうちに起業に踏み切ってしまいます。
起業したばかりの「幼年期」においては、オーナー=事業です。
まさに事業のすべてをオーナー自らが取り仕切ることになります。
しかしだんだんと仕事量がオーナーの限界を超えるようになり、このままでは事業が続けられないことに気づきます。
人手が必要だと感じたとき、事業は「青年期」に入ります。
オーナーは専門的な能力を持つ人を雇い、自分がやりたくない仕事を変わりにやってもらうことにします。
ここで、今までの「職人」から「マネジャー」に変わることが求められるのです。
これに気づかずに、多くの人が仕事を「委任」するのではなく、「放棄」してしまい、自分の好きな仕事に没頭する「職人」のままでいようとします。
ろくに管理もしないのですから、当然従業員がオーナーの思い通りに働いてくれることはなく、業務のいたるところで問題が出てくるようになります。
オーナーは放棄した仕事をまた自分でやるしかなくなります。
つまり、事業と自分とを切り離すことが出来ず、すべてを一人で抱え込んでしまうのです。
この状態になってしまうと、事業はもう以前の幼年期に縮小するか、倒産するか、このままサバイバルするかの三択になるのですが、結局はどれも失敗ということに終わります。
では、どうすれば起業は青年期から成熟期に移行できるのか。
あらかじめ事業計画を入念に練り、幼年期の頃からまるで成熟企業のように経営するのです。
「事業のパッケージモデル」をあらかじめ作ってしまうのです。
1.事業の究極の目標を設定
2.戦略的目標を設定
3.組織戦略を考え
4.マネジメント戦略を考える
5.人材戦略を考える
6.マーケティング戦略を考える
7.システム戦略を考える
あらかじめ構想を練った上で起業したら、今度は
1.イノベーション
2.数値化
3.マニュアル化
のサイクルをまわすことで事業モデルを更に洗練させていくのです。
このサイクルを終わることなくまわし続けることが、企業の成長・発展そのものだといえます。
起業が成功するかどうかは、どれだけ精度の高い事業のパッケージモデルを準備段階で構想できるか、そして起業後も目の前の仕事に忙殺される「職人視点」ではなく、未来のビジョンを見据える「起業家視点」でイノベーション・数値化・マニュアル化のサイクルをまわせるかどうかに大きく左右されるのではないかと本書を読んで思いました。
「米国・成長企業500社のCEOがNo.1に選んだ本」というのも納得の一冊です。
お勧めです。
以下、私用メモ
起業に成功する4つの条件
1.大半の起業家が失敗に終わる理由を知る
2.成功率の高いフランチャイズビジネスから学ぶ
3.一流企業のように経営する
4.毎日の仕事で実践する

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術
はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 Michael E. Gerber 原田 喜浩

世界文化社 2003-05
売り上げランキング : 5980

おすすめ平均 star
starコンパクトでわかりやすく続編をよみたくなる
star誰もが犯す、はじめの一歩を踏み出す前に致命的な間違いとは何か
star神田昌典さんの「成功者の告白」と一緒に読まれることをオススメ致します。

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『嘘つきは社長の始まり』

「千円札は拾うな」の著者、安田佳生さんの著書、「嘘つきは社長の始まり」を読んだ。
あまり注目されていないようですが、この小さな文庫本は読んでいて実に味わい深い、なかなかの一冊です。
著者はいきなり、「人の幸せは相対評価で決まる」と断言します。

百点という「絶対値」では幸不幸は決まらない。
幸不幸を決めているのは、「相対評価」なのだ。
人間社会はすべて比較論で成り立っている。

確かに「人は人、自分は自分」といいつつも、人は自分を他人と比べてしまいがちな生き物です。
であるならば、自分より下の人だけを見ている限り、人は幸せでいられるのではないか。

どこを見るか、どこと自分を比べるかで「幸せ」は決まってくる。
(中略)
幸せな人は、自分より上は見ない。
彼らは常に自分を下と比べて「ああ、自分は幸せだなぁ」と思っているのだ。

これは現代社会の本質をついていると思いますが、面白いのは「人より上であれば自分のほうが幸せだ」何の根拠もなく思い込んでいるところです。
「あいつに比べたら俺も幸せだな」というのは本人が勝手にそう思い込んでいるだけで、気休めに過ぎません
考え方を変えただけで、自分の現状が何一つ変わったわけではないのです。
そもそも何を持って幸せを比較しているのでしょう。
学生時代の著者は、全くと言っていいほど「出来ない」子供だったそうです。
水泳は背泳ぎしか出来ない、テストは0点、勉強は分からないので授業中は鉛筆で一生懸命トーテムポールを作っていた。
テストの成績が悪く、先生に「四十七人中四十五番だぞ、どう思っているんだ!」と聞かれても、「驚きました。僕より下がふたりもいるなんて本当に驚きです」と応えて怒られるような高校生だったそうです。
アメリカの大学に通ったのも、偏差値が低くて日本の大学に入れなかったからなのだそうで、最初は全く英語が話せなくて語学学校にかようはめになったとか。
そして帰国後はリクルートに入社するのですが、たまたま担当の面接官が休養で経験の浅い面接官が代わりを務め、経験不足ゆえに採用してしまったのだそうです。
しかし社長となり、実績を作った今では
●アメリカの大学に通っていた
●帰国後はリクルートに入社
●二十五歳で起業
というプロフィールを見せると「すごいですね!」と周りがちやほやするのですからお笑いです。
結果さえ良ければ、すべてのプロセスが肯定されてしまう。
まさに人生の意味はあとづけなのです。
しょせんあとづけでしかないのですから、世間の評価に目をくらませてまで、他人のルールで勝負する必要などないのだと、本書を読んで私はつくづく思いました。

自分にできないことがたくさんあっても、そしてできなければできないほど、自分には何か人とは違ったところに「向いているもの」があるのだと思っていたのだ。

自分の人生と人の人生、その幸せ度を比較することなど絶対にできない。
できないけれど、比べたいのが人間だから、無理やり「年収」や「学歴」、「家の大きさ」や「持っているもの」など、さまざまな基準を作って比べようとする。でも、本当のところは、やはり比べようがないのだ。
ならば、自分の人生や運命というものを肯定するしかない。

結局はやはり「人は人、自分は自分」であり、自分のルールで生きていけばいいのです。
以下、私用メモ
●投資が金品の見返りを求めるものなら、消費は「満足感」や「幸福感」という見返りを求める行為と言える。
●人生はアートに似ている。成功も失敗もなく、あるのは好きか嫌いかだけだ。
●強い意志を持つことは素晴らしい。だが、本質を見失うと、本末転倒な頑固になりかねない。
●喜びは結果ではなく、プロセスの中になる
●失敗を防ぐとは、成長を妨げるということ
●流れに乗って舵を取る生き方

嘘つきは社長の始まり (サンマーク文庫 B- 113)
嘘つきは社長の始まり (サンマーク文庫 B- 113) 安田 佳生

サンマーク出版 2008-09-17
売り上げランキング : 3702

おすすめ平均 star
star自分の中にまた新たな感覚が生まれた。
star前作「下を向いて生きよう」かどちらか読めば大丈夫です

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『僕たちに不可能はない』

リチャード・ブランソンの著書、「僕たちに不可能はない」を読んだ。
本書はヴァージン・グループの会長である著者の自伝的な内容ですが、いくつかのエピソードを通して彼が伝えようとしているのは、

とにかくやってみよう
否定ではなく、肯定を起点にしよう
自分に挑戦しよう
目標を持とう
楽しもう
変化を起こそう
自分の足で立とう
忠実でいよう
目一杯生きよう
冒険のないところに得るものはない

というメッセージです。
彼のこれまでの冒険の中にはスチューデントの創業、ヴァージンの設立、ヴァージン・アトランティックの設立といった企業物語と共に、気球に乗って世界一周に挑戦するような文字通りの冒険も随所に盛り込まれてます。
特に後者のほうは冒険に出るたびに何度も死にかけており、今生きているのがむしろ不思議なくらいです。
本業のヴァージン・グループはエイズ撲滅や地球温暖化防止運動に携わるためにあえて公開せず、社会活動に関わりながらも常に挑戦はやめず、宇宙旅行事業を計画していると言うから驚きです。
彼のようにまさに命を懸けた冒険に出ることはないでしょうが、何か夢や目標を持って、とにかくやってみると言うことは重要だなと、本書には改めて確信させられます。
挑戦せずに安全な道ばかりを歩いていても、本物の興奮は味わえないのです。

でも、そんなことができたのは、僕が自分を信じていたからだ。もし、あなたが何かをやりたいと思っているなら、迷わずやってみて欲しい。あなたのゴールが何であれ、恐怖心を手放して飛び出さなければ、一生成功することはないだろう。

やっていることが楽しくなくなってきたら、「次」に進むときだと思う。不幸せな状態に甘んじているほど、人生は長くない。朝、ストレスと惨めな思いで目が覚めるなんて、良い生き方とは言えない。

「僕が取るのは、計算可能なリスクだけだよ。僕はいつも、あらゆる可能性を比較対照してから挑戦するんだ」

何か自分の情熱を傾けられる対象を見つけて、とにかくやってみる、挑戦してみるということの大切さを今一度思い出させてくれる一冊です。
朝、目覚めと共に布団をけり破って起き上がるような人生にしたいですね。

僕たちに不可能はない
僕たちに不可能はない 中村 起子

インデックス・コミュニケーションズ 2008-07-22
売り上げランキング : 52275

おすすめ平均 star
star人生に疲れたらこの本

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『史上最強の人生戦略マニュアル』

フィリップ・マグローの「史上最強の人生戦略マニュアル」を読んだ。
本書の主張は、全ての責任を引き受けることで私たちは自分の人生のコントロールを得ることが出来る、と言うことではないかと思います。
自分は正しいはずなのに、不当な扱いを受けていると感じることは、私たちによくあることだと思います。
そして多くの人は「自分は正しいのだから問題はそのうち解決するだろう」と、 自分自身で対処しようとせず、責任を外部に求め、不当なことはいつか誰かが正すはずだと決め付けて、問題は勝手に解決すると自分をダマしています。
「正しい」という基準に縛られている限り、問題は解決しないと私は思います。
もちろん自分が正しいと信じることをすることは重要ですが、忘れてはならないのは他の大勢の人たちも自分と同様に、自分自身の言動を正しいと信じていると言うことです。
人それぞれ感じる「正しさ」は違うのですから、「正しさ」で対立や問題を片付けようとする限り、争いはなくならないと思います。
宗教戦争などはいい例ではないでしょうか。
本書では、「正しい」かどうかではなく、それでうまくいっているかどうかで判断することが重要であると述べられています。
正しい、正しくないに関わらず、今やっているやり方でうまく行っていないのであれば、別の方法を取らなければならないのです。
それはつまり、結果の原因を自分自身に求め、自分のやり方を変える=自分を変えることで、現実を自分の力でコントロールすることに他なりません。
ときには、自分の責任ではないのに不当な扱いを受けることもあります。
本書で紹介されているエピソードにも、幼い頃に性的虐待を受けたり、子供を早くに失ったりと、決して本人に落ち度があったわけではないにも関わらず、こうした不当な扱いを受けた事例が多くあります。
忘れてはならないのは、こうした扱いを受けたこと自体に責任はなくても、その扱いに対してどのような影響を受け、どう反応するかを決める権利は私たちが持っているということです。
本書は、このように自分自身の人生のコントロールを握り、望むものを手に入れ、豊かに生きるための「ルール」が示されています。
●ものがわかっているか、いないか
 ・世の中の仕組みを本当に理解すれば、知識と力を兼ね備えた人間になれる
 ・質の高い人生を作り出すのに必要な技能は、人生の因果関係を理解し、コントロールする技能
 ・何か新しいことを学ぶ上でもっとも難しいのが、一度覚えてしまった古いやり方を忘れること
 ・相手を動かしているものが何であるかを知らなければならない
  1.すべての人がいちばん恐れるのは、「拒絶」されることである
  2.すべての人がいちばん必要としているのは、「受け入れられる」ことである
  3.人を動かすには、相手の自尊心を傷つけない、もしくは、くすぐるようなやり方をとならければならない
  4.人は皆、-例外なしに-どんな状況にさしかかっても、「自分はどうなるのだろう?」という不安を、少なくともある程度は抱く
  5.人は、自分が理解できることだけに耳を傾け、自分の中に取り入れる
  6.人は、自分に好意を持っている人を好み、信じて頼る
  7.人はしばしば、はっきりとした理由もなく行動する
  8.上流階級の人の中にも、料簡の狭いつまらない人間がいる
  9.すべての人には-例外なしに-「外面」がある。あなたはその仮面の向こうにあるものを見なくてはならない。
 ・人々の行動と行動の理由に注意を払う
 ・あなたが影響力を及ぼし、コントロールする必要があるいちばんの相手は、あなただ
●人生の責任は自分にある
 ・あなたは常に自分の人生の結果を作り出している
 ・人生の何らかの時点で怒りを覚えたり、傷ついたり、どんなかたちであれ動揺し、そうした感情をいまだにひきずっているとすれば、それはあなたの責任だ
 ・あなたは犠牲者ではない
●人はうまくいくことをする
 ・望ましくない行為でも、何らかの見返りを得ている限りそれは続く
 ・見返りを断ち切らない限り、行動をやめることはできない
 ・なにもしないということは、変化に対する不安を封じ込めることで安心と言う見返りを得ていることであり、自分を騙しているに過ぎない
●自分が認めていないことは変えられない
 ・自分に事実をありのままに伝えないのは、事実をねじ曲げて伝えるのと同じくらい危険
 ・難しい質問を自分にぶつけ、現実的な答を出せるだけの勇気と力を持たなければならない
 ・問題をあなたが認めない限り、それは悪化していく
●事実なんてない。あるのは認識だけ
 ・人生に何が起きようと、その出来事をどう解釈するかは自分次第
●人生は管理するもの。癒すものではない
 ・問題を我慢するのではなく、解決する方向に力を注ぐ
 ・自分が持たないものは、与えることは出来ない
 ・感情にピリオドを打つ
 ・約束は守る
●許しには力がある
 ・憎しみはあなたの心を変えてしまう
 ・傷つけられることよりも悪いのは、傷を引きずること
本書を読んで私は、自分の望むものを手に入れるためには、現実を怖いくらいに真摯に見つめ、すべての問題に対して自分で取り組んでいかなければならないのだと痛感しました。
責任が増えるのは負担にもなりますが、逆に自分が影響を及ぼせる範囲が広がるということでもあります。
現実に対しては怖いくらいにリアリスティックになりつつも、未来はポジティブに描いていきたいと思います。
翻訳を担当した勝間和代さんが「間違いなく最も影響を受けた本の一つ」とおっしゃるのも納得です。
非常にお勧めなので、是非読んでみてください。

史上最強の人生戦略マニュアル
史上最強の人生戦略マニュアル 勝間和代

きこ書房 2008-09-27
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おすすめ平均 star
star勝間さんの翻訳では無いかも
star何を望みますか?
star勝間和代が「最も影響を受けた本の一つ」を新訳

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『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』

小宮一慶さんの著書、「ビジネスマンのための「読書力」養成講座」を読んだ。
本書は読書法の本ですが、特徴的なのは速さではなく目的にあわせた読書法を示していることです。
最近は速読ブームなのかもしれませんが、自身にバックボーンとなる土壌がないうちに速さに重きを置いて本を読んでも、表面的な知識の寄せ集めになるだけで、広がりや深みのない本質を見失った理解に留まると思います。
既に本を読んでいる人も、これから本を読む習慣をつけようという人も、自分の目的にあった読書法を理解し、真の成長につなげる上で本書は非常に参考になると思います。
本書では読書法を、速読、通読レベル1、通読レベル2、熟読、重読の5つに分けています。
1.速読
 ●頭が良くならない読書法=論理思考力が身につかない
 ●必要充分な知識、情報を素早く手に入れるための読み方
 ●見直すことが出来るよう、線を引いておく
 ●その分野に対する一定の知識のベースがあることが前提
2.通読レベル1
 ●全体をざっと通して読んで、読書を楽しんだり、一定の知識を得るための読書法
 ●仮説や信念を持って読むと、理解が深まる
 ●疑似体験が出来る
3.通読レベル2
 ●頭を良くする読書法
 ●内容の重い、論理レベルの深い本を読む
 ●線を引いたり、感じたり思ったことをメモしながら読む
 ●知識のベース、論理思考のベースができあがる
 ●速読や通読レベル1から読み取れるインプット量や得られるインスピレーション量も増える
 ●最初から本質に迫るべき
4.熟読
 ●頭を良くする読書法
 ●最初から最後まで読む必要はない
 ●必要なところだけ、多くのことと関連付けながら論理立てて読む
 ●納得し、深く理解することが重要
 ●その分野の第一人者が書いた入門書を読む
5.重読
 ●自分の考え方、意識を高める読書法
 ●いい本を繰り返し読む
 ●本当に人生を知った人が書いた本を読む
私はほとんど通読レベル2を使っています。
もちろん早く読めるようになりたいと思いますが、特別なスキルを身につけなくても、通読レベル2の読書量をこなしていくうちに、自然と読む早さもあがって来るように思います。
それはやはり、自分の中に理解のベースとなる土壌がどんどん積み重なっていくからだと思います。
だから当然理解も早くなる、読むスピードも速くなるのではないでしょうか。
繰り返しますが、読書は目的にあわせて行うべきです。
何冊読んだ、という量にばかりとらわれた読書は、非常に危険でもったいないと思います。
是非本書を通して、自分に合った読書法とは何かを考えてみてください。
お勧めです。

ビジネスマンのための「読書力」養成講座 (ディスカヴァー携書) (ディスカヴァー携書)
ビジネスマンのための「読書力」養成講座 (ディスカヴァー携書) (ディスカヴァー携書) 小宮 一慶

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-09-15
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おすすめ平均 star
star自慢気な文章
star役に立つ一冊だと思います。
starおすすめ本の紹介書

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『「仕組み」整理術―仕事がサクサク進んで自由時間が増えるシンプルな方法』

昨日に続き、泉正人さんの著書、「「仕組み」整理術―仕事がサクサク進んで自由時間が増えるシンプルな方法」を読んだ。
本書は「仕組み仕事術」のうちの、特に重要な「整理術」にスポットを当てたものです。
●必要な書類が見つからない
●必要なファイルをどこに保存したのか忘れた
●モノを探すのに時間がかかる
こういった時間が仕事中に頻繁に発生してしまうと、それだけで集中力の妨げになり、仕事の効率が著しく低下します。
本書の「仕組み整理術」の目的は、これらの無駄な時間を削除することで、仕事をするのに最適な環境を手にいれ、より貴重なことに時間を使うことにあります。
整理をするにあたっては、いくつかのポイントがあるようです。
●目的はきれいに整理することではなく、仕事がしやすい状態にすること
●基本は「統一化」「一元化」「自動化」
●整理のルールを設け、徹底して実践する
これらを実践することで、
●頭の中がスッキリとする
●必要なものがすぐに見つかる
●アイデアが生まれやすくなる
●仕事の成果が上がる
●仕事以外に使える時間が増える
といった効果が得られます。
本書では整理する場面を
●書類と机まわり
●PCとメール
●頭の中
●時間
と分けて、それぞれについて具体的に何をすべきなのか、一つ一つ解説されています。
どれも実践的で、すぐに導入できるものばかりなので、最初の仕組みの導入段階の手間さえクリアすれば、すぐに効果が実感できる内容ではないかと思います。
私も取り入れようと思ったものがいくつもありました。
整理が上手く出来ないで困っている方、仕事を効率化したい方にお勧めです。
以下、私用メモ
書類・机まわり
●どこに何を保管するのか、ルールを決める
●不要なものはどんどん捨てる
●使い終わったらすぐ戻す
●そもそも紙を受け取らない
●よく使うものは机の上に、定位置を決めておく
PC・メール
●PCを一台に統一して情報を一元化
●情報は全てPCに放り込んで、頭を軽くする
●Googleデスクトップで検索
●ファイル名は日付、分類名、プロジェクト名、検索キーワードなどを●入れることをルール化する
●バックアップもスケジュールを決めて仕組み化

●細かい用事も全てTo Doリスト
●頭を軽くして、集中力アップ

「仕組み」整理術―仕事がサクサク進んで自由時間が増えるシンプルな方法
「仕組み」整理術―仕事がサクサク進んで自由時間が増えるシンプルな方法 泉 正人

ダイヤモンド社 2008-09-27
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おすすめ平均 star
starすぐに使えるツールが散りばめられている
starよい習慣
star規格化、googleデスクトップ活用、TO DOリストで頭整理‥

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『お金の教養ーみんなが知らないお金の「仕組み」』

「仕組み仕事術」の著者、泉正人さんの著書、「お金の教養ーみんなが知らないお金の「仕組み」 」を読んだ。
本書はお金の教養を教えてくれる一冊です。

●何を買ったのかよく覚えていないのに、月末になるとお金が足りなくなる
●収入が増えても、ちっともお金が貯まらない
●マイホームは買うべきか、借りるべきか、の答えが出ない
●老後の生活に漠然とした不安を抱いている
●資産運用に興味はあるが、リスクが怖くてできない

多くの日本人がこうした悩みを持つのは、そもそも私たちがお金について学ぶ機会がこれまであまりなかったからなのだそうです。
上記のようなお金の生活習慣病から抜け出すための、正しいお金の知識を身につけることが、本書の目的です。
あくまで教養レベルで、タイトルのように「みんなが知らない」というにはあまりに簡単な内容ですが、しかし入門書としてはかなり有用だと思います。
本書の肝は、お金を稼ぐ能力と、お金をコントロールする能力は別物であるというところにあります。
例えば今月収が30万円で、毎月30万円使ってしまうような人は、月収が倍の60万円になったときに30万が貯金になることはなく、今度は毎月60万円使ってしまうようになります。
大事なのはお金をコントロールする能力を磨き、上手にお金を使う習慣を身につけることです。
例えば、
●収入を2:6:2にわけ、2割を貯金に、6割を生活費に、2割を自己投資に回す
家計簿をつけて、小さなお金の使い道を地道にコントロールする
●お金と時間の使い道を「投資」「消費」「浪費」にわけ、浪費をなくし、投資にまわす
●家賃、保険料などの固定費を減らしてみる
等がお金を管理する仕組みとして本書で紹介されています。
また、購入しようとしている商品が本当に出費に見合う価値があるのかを考えるのも、無駄な出費を減らすのに有効です。
保険がいい例ですが、例えば現在30歳の人が40歳までに死ぬ確立は1%に満たないにもかかわらず、月4万円、10年間で480万円の保険料を払うのは果たして妥当なのでしょうか。
知らないうちに不必要な出費を強いられる、ということが身の回りにないでしょうか。
お金をコントロールできるようになったら、今度はお金に働いてもらう「資産運用」の出番です。
私はこれまで資産運用に関する本は読んだことがなかったのですが、貯蓄の変わりに資産運用してみるのも面白そうだなと思いました。
経済感覚を養えますし、知識が追いついてくれば利益も見込めますしね。
1.まずは自分に投資をする
 ●無知の人間が資産運用するのはハイリスク
2.得意分野を見つける
 ●株、債券、不動産、商品、為替の中から自分に合いそうなものを見つける
3.得意なところに集中投資する
 ●知識のない分野に分散投資するより、得意分野を見つけ、誰にも負けない知識を身につけたほうがリスクは小さい
4.資産を分散する
 ●慣れてきたら別の得意分野を開拓し、リスクを分散する
とのことなので、まずは本を読んで勉強ですね。
何から読めばいいのやら状態ですが。

お金の教養ーみんなが知らないお金の「仕組み」
お金の教養ーみんなが知らないお金の「仕組み」 泉 正人

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『日本のブルー・オーシャン戦略 10年続く優位性を築く』

安部義彦さん、池上重輔さんの共著、「日本のブルー・オーシャン戦略 10年続く優位性を築く」を読んだ。
本書はW・チャン・キムさんとレネ・モボルニュさんの共著、「ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する(前作についてはこちら)」を、日本人向けのより分かりやすい内容にしたものです。
W・チャン・キムさん公認なので、戦略の中身自体は全く同じです。
なので、前作で既にブルー・オーシャン戦略理論を理解している方には不要ですが、イマイチ理解できていなかった、と言う人にはお勧めです。
本書の特徴は、ブルー・オーシャン戦略の本質を「バリュー・イノベーション」「ティッピング・ポイント・リーダーシップ」「フェア・プロセス」の三本柱で戦略策定し、実行し、新規需要を創造することであるとし、「実行までを前提とした、再現性のある方法論である」ことを強調しているところです。
つまり、ブルー・オーシャン戦略は単にバリュー・イノベーションせよという戦略の方向性を示したものではなく、実行する方法までを提示したものなのです。
前作の内容がバリュー・イノベーションや価格曲線しか思い出せない、という人は本書でもう一度学習してみるのもいいでしょう。
また、前作にはあまりなかったレッド・オーシャン戦略の解説に一つの章を割いているのも良いところです。
これにより、コスト・リーダーシップ戦略と差別化がトレードオフにあるレッド・オーシャン戦略と、コストを押し下げながら買い手にとってのバリューも高めるブルー・オーシャン戦略の比較が可能になり、両者の違いがグッと明確になりました。
レッド・オーシャン、ブルー・オーシャン両戦略の実例として登場する企業も多くが日本のものであるのも、私たちにはよりなじみがあり、理解を促しています。
戦略自体はそのままに、中身をより分かりやすくしたものなので、前作を読んだことのない人も、読むのであれば本書を読んだほうがいいと思います。
両方を読むことでより理解を深めると言うのも当然ありです。
分かりやすい図表など、非常に丁寧なつくりになっており、読みやすいです。
お勧めです。

日本のブルー・オーシャン戦略 10年続く優位性を築く
日本のブルー・オーシャン戦略 10年続く優位性を築く 安部 義彦

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