君子を目指せ小人になるな―私の古典ノート | |
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北尾吉孝さんの『君子を目指せ小人になるな―私の古典ノート』を読みました。
少し前に知り合った友人が論語の勉強会に参加していて、一緒に行かないかと誘われたので、少し興味を持って古典的なものを読んでみました。
本書では著者の北尾さんが古典の言葉を引用しながら、孔子の説く君子とは何か、君子の生き方とは何かを解説する形式になっています。
私は正直、本書に出てくる「私利私欲を捨て」のような考え方は好きではないのですが、そこを除けばうなずく箇所が多かったです。
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● 既存のものを壊して新しい物を創る
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「子貢、君子を問う。子曰く、先ず其の言を行い、而して後にこれに従う」
「まず実行することで、言葉はその次でいい。そして最後までやり遂げることである」
読書をしていると頭が良くなったような気がして、弁が立つようになります。
しかし借り物の知識で評論家気取りしてみたところで、そこに価値はありません。
読書して知識が増えてくると、働いている会社の問題もいろいろとわかるようになります。
成果にフォーカスせずにタスクばかり追っているのではないかとか、マネジメントが存在せず若手が放置され育っていないのではないかとか、組織がタコツボ化しているのではないかとか、まあいろいろ見えてきます。
そうなれば評論家気取りで会社の問題を分析して愚痴るようになることもできますし、もしくはこうした問題のない理想の会社を探して転職することもできます。
しかし果たしてこれは価値を生み出していると言えるのでしょうか。
愚痴ったところで、転職したところで、その会社が抱えている問題は残ったままです。
こうした問題を解決することにこそ面白みがあり、やりがいがあり、そして価値があるのではないでしょうか。
うちの会社の営業成績ははっきり言って悪いです。
しかしそれでも昔の遺産からの収入で会社が安定してしまっているため、営業部にはあまり危機感が感じられません。
売れていなくてもお金はもらえるし食っていけるからいいじゃないかと、多くの人は思っているかもしれません。
しかしそれは余りにも寂しい考え方です。
良い成果を上げて、お客様にも喜んでいただき、周りからも称賛され、その結果として稼いだお金のほうがやはりうれしいし、楽しいはずです。
今の営業部はちっとも楽しそうには見えません。
もし現在会社が抱えている問題を解決して、皆がもっと成果を出しながら生き生きと働けるような職場が創れたら、私は胸を張ってよい仕事が出来たといえるような気がします。
世の中に評論家はたくさんいます。しかし大切なのは、実際に事を行う勇気があるのかどうか。見識を持つところまでは比較的容易に行けるけれど、勇気を持って実際の行動に移せるかどうかが大きな関門なのです。
何故実際に事を行うのには勇気がいるのか。
それは失敗するリスクを背負わなければならないのと、既存のものを壊して新しい物を生み出そうとするときには必ず反対勢力、つまり敵が生まれるからです。
敵を作ってでも自分の正しいと思った考えを信じられる信念と気概がなければ、組織を変革することなどできません。
そこに新人だとか若手だとかいうことは関係ないと思います。
志は野心とは違って、世のため人のために何かを行うものです。それは別に大きなことではなくてもいいのです。世のため人のために行うものであれば、人の肉体が亡びても、その志を受け継ぐ次の世代が必ず出てきます。
私は5年後に会社を辞めるつもりですが、受け継いでもらえるような良い文化を残すことが出来ればと思っています。
その上で、「敵対したこともあったけど、あいつはいい仕事をしてくれた」と言ってもらえれば最高ですね。
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