ヘッテルとフエーテル 本当に残酷なマネー版グリム童話 | |
経済界 2009-11-25 売り上げランキング : 59 おすすめ平均 |
マネー・ヘッタ・チャンの『ヘッテルとフエーテル 本当に残酷なマネー版グリム童話』を読みました。本書はお金の仕組みをグリム童話になぞらえて語りつつ、世の風潮を痛烈に皮肉った一冊です。まずマネー・ヘッタ・チャンという著者名に注目してほしいのですが、本書に登場する人物や団体も、
・「断る力を持って、自分の人生を進めば、起きていることはすべて正しい」と主張するカネヘルン・ミセス・インディ
・みつびしならぬミツギシ(貢ぎし)GFJ銀行
・少子高齢化が解消し、国力も新興国並みに成長し、政府の無駄遣いもなくなり、支払った保険料が年4.1%で毎年安定運用するという夢物語に基づいて設計されている某国の年金
・メールアドレスやクレジットカード番号を有料で売買する¥天市場
などなど、なかなか手厳しく皮肉られています。例えば三毒追放で有名な方については、
・本当に優秀でチャンスをつかむ人は何回も転職しない
・史上最強の人生戦略マニュアルを持っている人は、何回も離婚しない
・投資で成功できるなら何冊も本を出さないし、やたら講師やらボランティアで世界中を回らない
また、すっかり有名になった彼女のファン団体については、「人生のメンターに選ぶのが、3回も離婚したオバはんとかありえへんやろ。アホすぎるんちゃうん?」と、もうボロクソです。これはリッチなパパで有名な某氏にも当てはまると思いますが、ここで著者が言いたいのは要するに、
・いくらこういった本を読んで、
・3毒追放を実践して、
・親指シフトを覚えて、
・お金を銀行に預けず投資して、
・嫌な仕事は断って、
・お金の仕組みをボードゲームで学んだところで、
ほとんどの人は成功などしないということ。そして最終的に笑うのは本や講演、ボードゲームの収益によって儲ける一部の人たちということです。
悪い言い方をすれば、できるはずもないのに「こうすれば成功できますよ」と幻想を売りつけ、信者を騙してお金を搾取しているわけです。確かにそう見ることもできるのですが、私としては、ほとんどの人は100%成功するなどと考えているわけではなく、そういうものだと割り切った上で消費・活用していると思いますので、これは言いすぎかなと思います。ただ、このような裏の仕組み・からくりを自分なりに考えてみる頭を持つことは大切です。単純に面白くもあるので、本書は結構オススメです。
ヘッテルとフエーテル 本当に残酷なマネー版グリム童話 | |
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