20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義 | |
Tina Seelig
阪急コミュニケーションズ 2010-03-10 おすすめ平均 |
ティナ・シーリグの『20歳のときに知っておきたかったこと』を読みました。本書を読んで私は、これを是非両親や兄妹、身近な人、そして会社の人にも読んでもらいたいなと感じました。常識を疑ってもいいのだということ、実験してもいいのだということ、その結果失敗してもいいのだということ、自分自身で進路を描いてもいいのだということを教えてくれる一冊です。
学校のルールと外の世界の違い
じつは、学校で適用されるルールは、往々にして外の世界のそれとはかけ離れています。このギャップがあるために、いざ社会に出て自分の道を見つけようとすると、とてつもない重圧にさらされることになります。
(中略)
教師はたいてい、学生に知識を詰め込むことが自分の仕事だと思っています。教室のドアは閉められ、机と椅子は教師に向かって固定されています。学生は、後で試験に出ることがわかっているので、熱心にノートを取ります。(中略)大学を出てからの生活は、これとはまったく違います。社会に出れば、自分が自分の先生であり、何を知るべきか、情報はどこにあるのか、どうやって吸収するかは、自分で考えるしかありません。
上記のことを私はよく職場で感じます。学校では席について口をあけて待っていれば先生が答えを教えてくれます。しかし例えば営業手法一つをとってみても、仕事には正解がない場合が多いのです。加えて職場の人はいちいち自分のわからないことや知るべきことを一から教えてくれたりはしません。文書化できない暗黙知に関してはなおさら自分で盗まなくてはなりません。
そういう中でも成長できる人は、自分が何を勉強するべきなのか、どこがわからないからそれが理解できないのか、それは誰に聞けばわかるのか、もっとうまくやるためにはどうすればいいのかなど、自分の頭で考えて工夫できるのです。逆に先生が教えてくれる正解だけを覚えてきた人は、こういうときに非常に苦しみます(塾はその最たるものでしょう)。どこに答えがあるか分からない状況に陥った時(そもそも答えがない場合も多いのですが)、自分なりに答えを導き出そうという動きがどうも鈍いのです。これは学校教育の弊害だと感じます。
自分の頭で考え、決まりきった次のステップとは違う一歩を踏み出す
ひとりが、「飛行の際のルールを一〇〇〇個習った」というのに対して、もうひとりは、「わたしがおしえられたのは三つだけだ」と答えました。一〇〇〇個のパイロットは、自分のほうが選択肢が多いのだと内心喜んだのですが、三個の方はこう言いました。「してはいけないことを三つ教えられたんだ。あとは自分次第だそうだ」。
私はこれを読んでなるほどと感心しました。すべきことを1000個習うよりも、最低限守るべきルールを3つ教えられた方が、ずっと可能性は広がるのではないでしょうか。
「『決まり切った次のステップ』とは違う一歩を踏み出しとき、すばらしいことが起きるんですね」。踏みならされた道は、誰でも通ることができます。でも、予想もしなかった角を曲がり、何か違うことをしようとしたとき、そして、周りがお膳立てしてくれたルールに疑問を持とうとしたとき、面白いことが起こります。
何をするにもいちいち周囲や正解を気にして、これはやってもいいのかやってはいけないのかいちいち許可を求めるよりも、最低限守るべき点を抑えたらあとは自分で考え、判断してみる。そういう気概があってはじめて、新しいやり方や今までになかったモノは生まれるのかなと思いました。下手に就活ノウハウ本を読まずに、まずは自分の頭でどうすればいいのか考えてみる。勉強の仕方から何を覚えればいいかまで先生に頼るのではなく、そもそも自分は何を勉強すべきなのか、それはどう勉強すればいいのか、まず自分で考えてみる。そういう習慣はなぜか昔からあったのですが、これからも大事にしたいと思いました。
途中で辞めてもいい
失敗したときの悪い面が多すぎて、個人がリスクに対して過敏になり、どんなリスクも取ろうとしない文化があります。こうした文化では、失敗が「恥」と結びついていて、若い頃から、成功の確率が高い決まった道を歩くよう教育されます。
この一説を読んで、これはまさに日本で起きていることじゃないかと思いました。これに加えて、現状のままでいることがリスクだと頭ではわかっていても、現状維持を選んでしまうところも問題でしょう。また、失敗を受け入れて挑戦することも難しいのですが、失敗を受け入れて何かを止めることもとても難しいなと感じます。例えば既に動いているプロジェクトを半ばで中止するとか、今の仕事を辞めるとか。私も2年前に内定を辞退し、就職を見送ったときは随分悩みました。
わたしたちは、途中でやめるのは、自分が弱い証拠だと教えられています。現実は、その逆である場合が多いのですが。やめることが、もっとも勇気ある選択の場合もあります。自分の失敗に向き合い、それを公にしなくてはならないのですから。
この一説には強く共感しました。途中で投げ出したり、あきらめたりすると、意志の弱いやつ、負け犬のように世間からは見られる場合もあります。しかしこれ以上続けることが賢明な判断ではない場合もたくさんあるのです。そういうときに潔く自分の判断が間違っていたことを認め、辞めることができるかどうかは非常に重要です。ただ、難しいのはいかに上手に辞めるかです。これ以上続けるべきではないという判断を、私達はどういうタイミングで下せばいいのでしょうか。
自分がエネルギーを注いでいるものが、それに見合った成果が出そうかどうかを見極めることが大事なのです。
「心の声に耳を傾け、選択肢を検討しなさい」。まずは、自分自身と正直に話し合わなければなりません。成功するまでトコトンやる覚悟はあるのか、それとも別の道を選んだほうがいいのか、自分に聞いてみることです。
最後は自分のハートで決断を下すしかないんですね。
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