ケネス・ブランチャードさんの著書、「1分間リーダーシップ―能力とヤル気に即した4つの実践指導法」を読んだ。
著者はリーダーシップについて、マネジャーと部下の関係を以下のように表している。
「責任を持つのはあなたの部下であり、あなたの仕事は部下の要求に応じてやることだと考えれば、あなたが同意を与えた目標を達成するために部下が必要とする資源を準備したり、作業条件を整備してやることに、あなたは本当に一生懸命になります。
(中略)
袖をたくし上げ、部下が勝者になるのを助けることになります。」
では、優れたマネジャーと言うのはどのように部下の要求にこたえるものなのか。
良くあるのが、専制的なマネジャーか民主的なマネジャーのどちらかだと自分の立場を決め込んでしまう場合だが、それは著者に言わせれば半人前だ。
そもそもリーダーシップスタイルには「指示型」「コーチ型」「援助型」「委任型」の4種類がある。
そしてそれらを、部下のやる気や適応力に応じて「柔軟に」使い分けられなければならないのだ。
著者はこれを「状況対応型リーダー」と呼ぶが、それを定義すると以下のようになる。
まず、第一にいろいろなリーダーシップ・スタイルを柔軟に使い分けることができなければならない。第二に監督している部下たちの要求を診断する方法を知らなければならない。そして、第三に部下たちと何らかの合意をとりつける方法、つまり、部下があなたから必要とするリーダーシップ・スタイルについて取決めをかわす方法を知らなければならない。
本書では4つのリーダーシップ・スタイルについて、また、それぞれどのような部下に適しているかについて、そして、「状況対応型リーダー」をどう実践していけばいいかについてを物語形式で非常にわかりやすく解説してくれる。
私はつい最近までは、「自分がリーダーになるときは、民主的なリーダーが理想だろうか、でもやっぱりある程度専制的な要素も必要なのだろうか・・・」などと悩んでいたが、本書を読んではっきりと、民主的な対応も専制的な対応もどちらもできなければならないし、それらを部下一人一人のやる気や適応力に応じて柔軟に使い分けなければならないのだと納得した。
リーダーシップに悩む人にお勧めの一冊だ。
以下、自分用のメモ
●指示的行動 「構造化する」「コントロールする」「監督する」
●援助的行動 「賞賛する」「傾聴する」「促進する」
●平等でないものを平等に扱うことほど不平等なことはない。
●同じ相手でも仕事の内容次第で対応音仕方を変える
●部下を訓練する場合、褒めること以上に、自分がミスしたことを進んで認めるようでなければならない
●状況対応的リーダーシップとは、部下に対して何をするかではない。部下といっしょに何をするかである。
1分間リーダーシップ―能力とヤル気に即した4つの実践指導法 | |
小林 薫
ダイヤモンド社 1985-09 おすすめ平均 |