情報の氾濫で、広告に対して人々は心の壁を作っている。それを乗り越えるには、ロジックではなく感情を揺さぶる強烈なメッセージを伝えることである。メッセージは限りなくシンプルでなければならない。同じ内容を100文字で理解するのと、1000文字で理解するのでは、どちらが好ましいか?顧客が理解するのに要する労力を900文字減らすことは、そのままわかりやすさに変わる。たくさん詰め込みたいという自分たちの都合を、顧客に押し付けてはならない。
しかし、分かっていてもそれがなかなか出来ない。理由は、組織内に複雑な利害関係があり、それらをそぎ落とすことは並大抵のことではないからだ。「部長からの指示で、どうしてもこの一文を外すわけにはいかない。」「親会社との兼ね合いで、この一文は必ず入れろと言われている。」こういう顧客視点ではなく内部都合の発想が、メッセージを複雑にし、顧客を混乱させる。
こうしたくだらない仕事を無くすためには、誰かがシンプルさのために徹底的に戦わなければならない。本質だけが残るメッセージは、シンプルで美しい。しかしそれを実現するのは、まったくシンプルではない。
以下、参考資料。
市場における5つの氾濫
①商品の氾濫 商品やサービスが多すぎる
②機能の氾濫 商品の機能が多すぎる
③広告の氾濫 メディア・メッセージが多すぎる
④メッセージの氾濫 メッセージに要素を詰め込みすぎる
⑤メディアの氾濫 競合チャネルが多すぎる
Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学 | |
ケン・シーガル 林 信行
NHK出版 2012-05-23 |