こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる | |
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魚谷雅彦さんの『こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる』を読みました。
一日に約五千万人が製品を購入しているという日本コカ・コーラの会長である魚谷さんが、いかにコカ・コーラのブランド価値を生み出してきたのかについて書かれています。
対外的なマーケティングももちろん参考になるのですが、私はどちらかというと魚谷さんが自身の標榜するマーケティングを組織に根付かせていく部分により興味を持ちました。
それはもう戦いの連続で、なんだか読んでいて自分の心まで動かされるような一冊でした。
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● intrinsic valueとextrinsic value
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ブランドの価値を分解すると、「intrinsic value」と「extrinsic value」に分けられます。
「intrinsic value」とは基本的な価値、すなわち「機能やスペックの価値」であり、「extrinsic value」とは、そこから付帯的に加わる価値、すなわち「エモーション、情緒や感性の価値」と表現できます。マーケティングには、実はこの両方が必要になります。理屈だけではなかなか共感は生まれない。それだけではなく、心に届くコミュニケーションをしなければ
ブランド価値を生み出すには、製品自体のもののよさに加えて、それを購入する、もしくは使うことによって感性に訴えるようなものがなければならないということですね。
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● ポジショニングとセグメンテーション
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マーケティングには飛び抜けた差別化が必要だ
人と同じことをしていたのでは、大きな成果は得られません。
常に、自らの商品のポジショニング、さらにはセグメンテーションを追求していくこと
うちは小さい会社なのでマーケティング部隊も小さく、広報的な活動がほとんどです。
開発部隊も話を聞いている限りでは、あまり市場でのポジショニングやセグメンテーションを考えてはいなそう・・・。
なので製品の見せ方やポジショニングを考えるのも営業が自らやらなければなりません。
ある意味、「これ作ったから売ってくれ」と製品を丸投げされている状態なので、果たしてどうすれば顧客の悩みやニーズと製品を結び付けられるか、どう演出すればその魅力が伝わるか、自分の頭で考えなければいけません。
私は差別化については少し思うところが合って、やらないと製品が売れないというのもその通りなのですが、そもそも他社と違いのない製品を売っているのなら、うちの会社が存在する意義ってあんまりないんじゃないかなと、私は考えてしまいます。
「価格が同じだとしたら、うちの製品Aが、競合他社の製品Bに比べて優位な点は何ですか?」と質問して、「ない」と返ってきたときはがっかりしました。
製品Bのリプレースでうちの製品Aが売れたとしても、うちは潤うかもしれませんが、お客様にとっては結局出来ることは今までと一緒なので、提供するベンダーが変わっただけなんですよね。
世の中的には新たな価値を生み出しているとは言いがたい。
しかも差別化できない製品で勝負していれば、行き着く先は価格競争になるのがオチです。
そういうつまらないビジネスをやってはいけませんね。
営業は、自社の製品だから出来ることは何なのか、お客様を出発点に、常に頭を使って考えなければいけません。
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● 泥臭く戦う
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キャンセルする、と僕はスタッフに伝えました。そのときのスタッフの表情を今も覚えています。この人は本気だ、と思ってくれたのかもしれません。表情が、さっと変わりました。しかし、それはネガティブなものではなく、ポジティブなものに僕には映りました。もしかしたら、スタッフの心を動かすことができたかもしれない。そのときそう思いました。
本書を読んで私が最もすごいと感じたのは、魚谷さんの決して妥協しない姿勢です。
期限が迫っているとか、アメリカ本社の意向で決まってしまうとか、ボトラー社との関係に溝を生みかねないとか、妥協するには十分な理由が存在する状況でも、魚谷さんは理想や目標を決して下げない。
自分の思っていることを実現するために本気で戦う姿勢を見せられると、やっぱり一緒に働いている人にもそれが伝わるんですよね。
だからこそ、プロジェクトの成功をスタッフが皆で泣いて喜ぶような組織が生まれたんじゃないかと思います。
私もここは見習いたいと思いました。
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