ロジカル・セリング ―最強の法人営業 (BEST SOLUTION) | |
近藤敬 斎藤岳
東洋経済新報社 2010-11-26 |
現代の法人営業職の方に超オススメな一冊が出ました。今、法人営業を取り巻く環境に、パラダイムシフトが起こっているのではないかと思います。話を聞いていると、どうも昔は営業がなんどもお客様に通い、飲みやゴルフを通して相手と仲良くなり、リレーションを築けばそれで製品が売れていたようです。しかしグローバル化、競争の激化、コモディティ化といった環境の変化に直面した企業はもはやこのような商談を受け入れません。
企業はコストにますます敏感になっていますし、投資に対しても慎重になっています。セキュリティが厳しくなり、業務も多忙になっている中、目的もないアポに顧客はつきあってくれません。一つ一つの案件について経営層がほんとうに効果が出るのかを細かくチェックするようになり、実際にどこに発注するかを決める際にも複数企業を比較することがルール化しているところがほとんどです。
こういった状況ではもはやリレーションだけでは不十分で、自社の提案によってどのような効果が得られるのか、何故自社の提案が一番良いのか、それが顧客のニーズとどう合致しているのかを複数の関係者に論理的に説明できなければ顧客は納得しません。今求められているのは、顧客の抱える潜在的・顕在的課題を解決するソリューション型営業です。当然悩みや課題、情報を聞き出す上で顧客とリレーションを築くことは重要なのですが、それに加えて
・提案構想を練るために、顧客が直面している状況から何が問題となっているかを、限られた顧客接点の中で構築する仮説力
・提案内容が響くように提案書に落とし込むまでのドキュメンテーション力
・提案時、顧客キーパーソンとディスカッションをする上でのファシリテーション力
・提案内容を訴えるためのプレゼンテーション力
・顧客を「うん」と言わせるための論理力
といったスキルが不可欠になっているのを私も感じてます。「とにかく外に出て回ってこい!」「目的がなくてもアポを取ってこい!」といった直感・努力・根性に頼った場当たり的なものではなく、今はロジカルな営業プロセスが求められているのです。2200円と平均よりは高めの価格設定ですが、上記のような課題を感じている方にとってはむしろゼロがひとつ足りないくらいであるとオススメできます。法人営業職の方は是非読んでみてください。
以下、私用メモ
優秀な営業は高い「仮説力」と「検証力」をもつ。
企業の心からの悩みをとらえるには、窓口の担当の悩みを押さえるだけでは不十分なのである。(中略)組織を整理しながら、アプローチする必要がある人を炙り出し、その人と会話を重ねられるように段取りをする。
「刺さる」提案に必要な要素
1.根本課題
2.判断基準
3.付加価値
4.課題解決実行力
相手を知るキーポイント
(中略)
・目の前の人はキーパーソンか
・意思決定者は誰か
・キーパーソンや意思決定者が重視していることは何か
・予算はいつ決まるか、いくら程度なのか
・どの会議体でいつ意思決定がされるのか
・反対勢力はいるのか
営業プロセスとして情報提供キーパーソンから協力キーパーソン、そして意思決定キーパーソンへと順を追ってアプローチし、提案の仮説を練り上げていくことが成功の鍵となる。
仮説・検証サイクルを効果的に行うためには、討議資料やパンフレット、デモンストレーション等、営業ツールの活用方法も重要なポイントとなる。
売上目標の達成には、
・提案対象(対戦相手を選ぶ)
・提案機会(打席を増やす)
・成約率(打率を上げる)
の3つの要素での工夫が必要である
ロジカル・セリング ―最強の法人営業 (BEST SOLUTION) | |
近藤敬 斎藤岳
東洋経済新報社 2010-11-26 |