人生と仕事の段取り術 (PHPビジネス新書) | |
小室 淑恵
PHP研究所 2010-01-19 |
フランス、イタリアの労働時間は日本の4分の3程度ですが、労働生産性はずっと日本より高いのだそうです。長時間労働しているはずの日本が何故生産性で劣ってしまうのかと考えがちですが、そもそも長時間労働なんかやってるから生産性が悪くなるのです。「仕事だからしょうがない」「社会人としてそれが当たり前」とかいいながらプライベートを犠牲にして仕事最優先でみんなが働いているのを尻目に、頭のいい人はより短い時間で生産性の高い仕事をし、プライベートも充実させていることに気づきましょう。
仕事は、片足を外にだしておくくらいでちょうどいいのです。ずっと社内にこもっていても頭には社内の情報しか入ってきません。職場で皆がこれをやっていたら、その会社には同じ発想しか存在しなくなります。それで環境や消費者の嗜好の変化についていけるのでしょうか?周りが新しい情報や取り組みをどんどん取り入れて効率をあげている中で、それで勝てるのでしょうか?
残業ばかりしていてインプットを怠っていると、量が増えるばかりで質があがりません。片足を社外に出しておき、読書や外部との交流を通して常に情報をアップデートさせている人のほうが、ずっと質の高いアウトプットを生み出せます。定時後はさっさと帰ればいいし、有給も好きなタイミングでどんどんとればいいと私は思います。そんな事言うけどそんなに残業は減らせないよ、という人向けに、今日は『人生と仕事の段取り術』から「残業が減らない人に共通する5のポイント」を紹介します。
1.1日のスケジュールを立てていない
今日やるべきことがなんなのかを確認しないまま仕事にとりかかっているひとは、残業が減りません。場当たり的な仕事をしていたら効率が上がらないのは当たり前です。そもそも時間というものは限られているのですから、今日自分がやるべき事はなんなのか、逆にやらないべきことはなんなのかをまずは棚卸しして、何をいつやるのか、そのために何を誰に依頼しなければならないのかなど、最初に計画を立てなければなりません。「何かあれば残業すればいいや」という甘えをまず捨てましょう。
2.スキマ時間を使っていない
例えば営業なら、アポとアポの合間の時間、移動中の時間など、どうしてもスキマ時間が発生しています。スキマ時間が発生してから「さて、何をやろうか?」と考え出す人は、残業が減りません。そもそもスキマ時間は短いのですから、いちいちそのたびに何をやるか考えていたのでは非効率です。あらかじめ一日の計画の中にスキマ時間を入れておき、そこで何をやるのかを事前に計画し、準備して置かなければなりません。例えば、10分あるからこの提案書を読んでおくとか、メールの返信をしておくとかですね。
3.仕事の後の予定を入れていない
仕事の後の予定を入れていない人は、残業が減りません。例えば「18:00から交流会がある」という人は、昼間だらだら仕事をしたりしません。18:00に間に合わせるために、事前に段取りを立てて仕事をするものです。仕事の後に何をするのかを決めておかなければ、頑張って早く帰ろうという気にならず、まあ残業すればいいかとなってしまいます。読書の予定を入れたり、人と会う約束をいれたり、フィットネスクラブを予約したり、何かしら仕事の後の時間にやるべき事を計画しておきましょう。
4.上司の予定を確認していない
「とは言っても、上司の承認をえないと進められない仕事などがあり、やっぱり早く帰るのは無理だよ!」という方、それは大きな間違いです。上司の予定を確認していない人は、残業が減りません。仕事が自分の都合だけで進められないのは当たり前なのです。
だからこそ、「この提案書は3日後までに出さなければいけないから、それまでにどこかのタイミングで上司の承認をもらわなければならない」といったように事前にスケジュールを先読みし、「明日のこの時間は上司の予定が空いているから、このタイミングで見てもらおう」「朝ミーティングをできるようお願いしよう」と予定を入れてしまうのです。「上司の会議が終わるのを待たなければいけないから残業が減らない」はいいわけです。そうならないよう、事前に段取りしましょう。
5.何故早く帰るのかを発信していない
周囲に何故自分は早く帰るのかを発信していない人は、残業が減りません。殆どの人は夜遅くまで残業しているのですから、そのなかで一人だけ早く帰っていたら目立つのは当たり前です。そのときに「あいつはろくに仕事もしないで帰りやがって!」「あいつは仕事に対してやる気がないんだ!」と思われないよう、事前に自分が何故早く帰るのかを発信して置かなければなりません。日本は面倒なことに「残業しないやつはやる気がない」と考える風潮があるので、「あいつは帰宅後も勉強しているからな」「仕事を効率化するためだからな」と周囲に理解してもらうにこしたことはありません。とはいえ、そもそも定時以降のプライベートの時間に何をしようが本人の勝手なんですがね。
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