ザグを探せ! 最強のブランドをつくるために | |
マーティ・ニューマイヤー Marty Neumeier 千葉 敏生
実務教育出版 2009-09-17 おすすめ平均 |
市場における5つの氾濫
①商品の氾濫———-商品やサービスが多すぎる
②機能の氾濫———-商品の機能が多すぎる
③広告の氾濫———-メディア・メッセージが多すぎる
④メッセージの氾濫—-メッセージに要素を詰め込みすぎる
⑤メディアの氾濫——競合チャネルが多すぎる
選択肢が多すぎるのが、現代消費者の特徴です。市場が氾濫する中で消費者は大半の情報を頭から閉め出し、便利そうなものや面白そうなものだけを取り込み、ラベル付けするようになりました。このラベルの奪い合いが、企業のマーケティングでありブランディングなのです。ラベルを奪うために企業は様々な差別化戦略を考えますが、しかし商品やサービスが極度に氾濫する現代では競争を一歩リードするための「差別化」だけでは不十分です。
機能の付け足しや値引きなどは労力の割りに見返りが少なく、今までなかったもの、誰もやらなかったことへ挑戦しなければ市場の注目は集められません。つまり、みんなが「ジグ」なら自分は「ザグ」を行くような、「過激な差別化」が必要なのです。今日は「過激な差別化」をする上で私が重要だと感じた5つのポイントを、マーティ・ニューマイヤー氏の『ザグを探せ! 最強のブランドをつくるために』から紹介します。
1.唯一性を見つける
私たちのブランドは、( )、唯一の( )である」。
あなたの提供する製品やサービスは、上記の文章で説明できるでしょうか?簡潔に表現できなかったり、唯一という言葉が使えなかったりするようであれば、それはザグがないということです。唯一性は、ザグをデザインするための枠組みになります。自分たちのカテゴリーは「何(What)」か? ほかと「どのように(How)」違うか? 顧客は「誰(Who)」か? 顧客は「どこ(Where)」に存在しているか? 顧客が自分たちを必要とするのは「いつ(When)」か? 必要とされるのは「なぜ(Why)」か?突き詰めて考えて見ましょう。
2.整合性確保を強化する
ブランドを構築する上でもっとも重要な原則のひとつは、「整合性確保」の強化です。せっかく唯一性を突き詰めても、それに合わない機能やサービスを付加してしまうと途端にそのフォーカスがぼやけ、ザグが失われてしまいます。何をやるべきかを考えるのと同じくらい、何をやらないべきかを考えることが重要です。明確に定められたザグと企業のあらゆる行動が整合性を保てるよう、常に足し引きを怠らないようにしましょう。
3.強い名前をつける
強い名前とは、①競合他社と異なり、②簡潔で、③適切だが説明調でも一般的でもなく、④スペルが簡単で、⑤発音しやすく、⑥言葉遊びのできる名前で、⑦法的に保護しやすいものです。強い名前をつけることに成功すれば、クチコミ効果によって強力なマーケティング効果を生み出すことが出来ます。しかし弱い名前をつけてしまうと、注目を集めるために多額のマーケティング予算を用意せねばなりません。ネーミングは慎重になりすぎることはないのです。
4.アイデンティティを示す
似たような商品が溢れる市場において、消費者が求めるものは機能やメリットから、集団としてのアイデンティティへと移りつつあります。”Think different”というアップルがうったキャンペーンのフレーズは、「考える人はアップルの製品を選ぶ」というアイデンティティを生み出しました。「この商品を買ったら、どんな自分になれるのか?」という質問に答えられるようにしましょう。
5.空白を探す
ニーズを明らかにする場合に考えなければならないのは、まだ存在しない商品は何かということではなく、まだサービスを受けていない集団は誰かということだ。
ファミリーという新たな層をユーザーに引き込み、Wiiは大成功しました。部屋の中だけでなく、移動中の人にも音楽を届けたことで、Walkmanは新たな市場を生み出しました。このように、ニッチ化戦略を考える上で我々が考えるべきなのは、「まだない商品は何か?」ではなく、「まだサービスを受けていない集団は誰か?」なのです。まだサービスを受けていない人たちは誰なのか、市場を探してみましょう。
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マーティ・ニューマイヤー Marty Neumeier 千葉 敏生
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