考えない練習 | |
小池 龍之介
小学館 2010-02-09 |
今まで散々自分の頭で考える事の大切さを説いてきたのに、なぜ本書を読んだのかと思われてしまいそうです。ですが、本書で言わんとしていることは、頭を使って考えるのを辞めましょうということではなく、無意識のうちに暴走してしまう思考をきちんとコントロールしましょうということです。実際にどうやるかはおいておいて、思考が暴走するとどんな危険性があるのかを2つ本書からご紹介します。
1.実感がスカスカになる
人の悩み相談を受けているとき、相手の話を聞いているはずが、実は心のなかで「聞いてあげることで信頼を得たい」とか、「理解してあげることで素敵な人と思われたい」とか、心のなかで余計なことを考えてしまっていませんか?人というのは一つのことに集中しているようで、実は心のなかでいろいろなことを無意識のうちに考えてしまいがちです。
何かをやろうとする際に、「失敗したらどうしよう」「緊張したらどうしよう」という思考が無意識のうちに連鎖し、本当に緊張してしまうのも同じです。
こういう思考の暴走をそのままにしておくとどうなるでしょうか?まず、心のメインメモリが無駄な雑念に奪われてしまいます。何かを見ている時も、何かを聞いている時も、実際には頭の中のノイズにメインメモリを奪われてしまい、そうするとフレッシュな情報が入ってこなくなります。
1秒のうち、0.1秒は話を聞いていても、残りの0.9秒は他のことを考えてしまっている。そうすると1秒間のうち0.9秒間の実感が消え、60分間のうち54分間は実感が消え、後から振り返ると何をしていたのか思い出せない、なんだかあっという間に時間が過ぎたなぁという事になってしまいます。なんだか怖いと思いませんか?
2.嘘によって思考はガタガタになる
嘘をつくと、つまり本来の情報とは違うことを口にしていると、自分の心のなかで「正しい情報」に「正しくない情報」を上書きしてしまうことになります。すると、次第に情報処理能力が混乱し、長期的には記憶の連結がおかしくなってしまうのだそうです。思考の流れがまっすぐにならなくなり、ガタガタになってしまうため、思考のノイズが走りやすくなり、暴走をまねいてしまいます。記憶力や明晰さが衰え、結果的には自分が本当に何をどう思っているのかが分からなくなってしまいます。
これってかなり恐ろしいことだと思いませんか?本当はいいとは思っていないのに、「賛成です」と周りに意見を合わせてしまったり、可愛いとも思っていないのに「その服可愛いね」と言ってしまったり、よくありがちですが、こういう事が積み重なると本当に上記のような状態になってしまうそうです。
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小池 龍之介
小学館 2010-02-09 |