「しきる」技術 誰にでもできる超実践リーダーシップ | |
克元 亮
日本実業出版社 2011-04-28 |
リーダーシップというと、チームの先頭に立ってメンバーに細かく指示・命令を与えることのように思いがちです。しかし私が現場の肌感覚から感じるのは、リーダーが全てに対して一人で正しい選択をすることなど不可能だということです。リーダーのポジションにいる人の多くは過去の実績が認められた人たちですが、社会の状況がめまぐるしく変わる中で、必要なノウハウも変化しています。そこへ過去の経験や成功事例を持ってきても通用せず、体験したことのない問題に対して的確な指示が出せずにいるのが、多くのリーダーの実態だと思います。
ではどうすればいいのか?ということで本日は克元さんの新刊、『「しきる」技術 誰にでもできる超実践リーダーシップ』から、支援型リーダーシップの5つのポイントを紹介します。
1.リーダーの目的を理解する
リーダーにとって最も大切な事は何でしょうか?指示・命令を与えることでしょうか?
いいえ、違いますね。リーダーにとって最も大切なこと、それはチームをゴールに導くことです。ゴールに辿りつけるのであれば、そのためのしきり方のスタイルは別に何でも良いのです。もしあなたがチームの先頭に立って指示・命令をくだし引っ張っていくのが苦手であれば、自分は後ろにいてメンバーをゴールに向かって押し上げる”支援型”のリーダーシップを目指してみましょう。
2.指示型と支援型の違いを理解する
リーダーシップは大きくわけると、指示型と支援型の2つがあります。指示型のリーダーシップはリーダーがチームの主体であり、リーダーの卓越した能力を必要とする一方、リーダーの役割が多いためメンバーの成長は遅れがちです。
それに対して支援型のリーダーシップは、メンバーがチームの主体であり、リーダーは情報共有をしながら彼らのサポートをする位置づけです。メンバーの情報や知恵、経験を活かし、彼らを巻き込みながら仕事をすすめるため、メンバーが育ちやすくなります。現場の状況がめまぐるしく変化している中、メンバーの長所を知ったうえで話し合いながら彼らのモチベーションを高め、チーム全体としての高いパフォーマンスを発揮させられるリーダーシップを、現在はより求められているのです。
3.表と裏のゴールを明確にする
リーダーとしてチームを仕切るときになにより大切なのは、ゴールを明確に設定し、チームで共有することです。ゴールに納得感があるほど、チームの原動力が生まれます。この時に設定するゴールは、オフィシャルなものだけでなく、「裏の目的」も共有するようにしましょう。なぜならば、例えば売上目標といったオフィシャルなゴールは、必ずしも達成することでチームのメンバー全員が「うれしい」と感じるものではないからです。ゴールに到達したときにチームや個人がどうなっているか、たとえばスキルアップしているのか、仕事がふえているのか、収入があがっているのかなど、想像をふくらませてみましょう。
4.多様な意見を歓迎する
新しいアイデアは、多様な視点から生まれます。リーダーは多様な意見を積極的に歓迎しましょう。しかし、経験豊富なベテラン社員ほど、新しい視点に対してできない理由ばかりが見えてしまい、若手のアイデアを否定してしまいがちです。「こうすればできるかもしれない」という若手のアイデアの芽を摘み取ってしまわないよう、リーダーはフェアな気持ちで多様な意見に耳をかたむけるよう意識しましょう。
5.時には感情的になる
リーダーというと、チームメンバーに対して感情的には叱らず、冷静でいなければならないものだと考えられがちです。しかし、やはり血の通った人間なのですから、自分の本当の気持を出すことは重要です。人は論理的なようで、実は感情で動くものです。そのため、冷静に叱られても本気度が伝わらないため、動いてくれないのです。人を動かそうと思ったならば、淡々としたコミュニケーションではなく、相手の心を揺さぶるような感情的なコミュニケーションが必要な場合もあります。ゴールへの意識や、難局を切り抜けたい思いなどは、素直に感情に訴え、熱く語ってみましょう。
【まとめ】
冒頭でも書きましたが、もはや一人のリーダーがすべての課題に対して一人で正しい判断をくだすのはほぼ不可能です。そんな中で現場の意見に耳を傾けようとしないリーダーは、おごりだと思われても仕方がないと思います。まだまだリーダーの立場ではありませんが、私も気をつけたいと思います。
「しきる」技術 誰にでもできる超実践リーダーシップ | |
克元 亮
日本実業出版社 2011-04-28 |