いちばんやさしいネットワークの本 (技評SE選書) | |
五十嵐 順子
技術評論社 2009-12-23 |
前回の記事で、IT企業に入社した人向けにサーバの本を紹介しました。サーバについて分かってきたら、今度はネットワークを勉強してみましょう。最低限、インフラの基礎であるこれらの知識をおさえておかないと、お客様の言っていることが半分以上分からなくなってしまいます。
1.LANとは何か?
LANとは、同じ建物や敷地内にある比較的狭い範囲のネットワークのことです。
(中略)
LAN内では、ネットワーク全体を管理することが可能です。LANに接続されているコンピュータや機器、使用状況などを全て把握することができます。また、外部から許可なくLANには接続できないため、LAN内であれば企業の機密情報も安心してやりとりできます。
2.WANとは何か?
「はなれた場所にあるLAN同士を結んだネットワーク」であるWAN(Wide Area Network)。例えば、本社と支社がある会社のネットワークは、各拠点のLAN間をWANで接続しています。
(中略)
LANとWANの大きな違いは2つあります。ひとつは、設備の所有者が違うこと。LANでは自前でケーブルを敷設しますが、WANでは通信事業者と契約して回線を借りることになります。
WANは、各拠点を結ぶ唯一の通り道となるためデータが集中しやすく、帯域が十分でない場合にはボトルネックになる可能性があります。そのため、最もデータが流れそうなピーク時のデータ量を見積もった上で、必要な帯域を計算してニーズに合った適切なサービスを選ぶことが重要です。
3.ネットワークプロトコルとは何か?
コンピュータ同士が、ネットワークを通じてデータをやりとりするには、約束事が必要です。そのため、どんな手段、手順、言葉を使って通信するかをあらかじめ決めています。この約束事をネットワークプロトコルと言います。
(中略)
インターネットに接続して、世界中の様々なコンピュータとやりとりできるのも、「TCP/IP」という共通のプロトコル群を使っているからです。
4.TCP/IPネットワークとは?
TCPとは、Transmission Control Protocolの略で、「両端」で担うデータ制御部分の決まり事の名前です。IPとは、Internet Protocolの略で、「中間」で担う、パケット配送の決まり事の名前です。TCP/IPとは、これら代表的な2つの決まり事と、それ以外のいくつかのルールを合わせた、ネットワークにおける約束事を定めたものです。このルールのもとで動作するネットワークと、TCP/IPネットワークと呼びます。
TCPの仕組みは、コネクションの確立・切断といった、相手をまず確認してからデータの送受信を始める、という手続きを踏みます。また、実際に送られたデータの中身が壊れていないかを確認するなど、データの信頼性に重きが置かれています。
(中略)
TCPは、データの信頼性を高めるために多数のチェック処理があり、その分、時間がかかり、通信速度が遅くなってしまいます。オーバーヘッドコストがかかる分、TCPの仕組みを使っていちいちチェックするよりも、パケットそのものを再送したほうが手っ取り早い、という場合もあります。
5.IPとは何か?
IPの役割とは、ずばり「運び屋の司令塔」。ネットワークの「中間」において、経路を指揮する頭脳をつかさどります。
(中略)
ネットワーク上で、通信するすべての機器に、「IPアドレス」が割り振られています。宛先に書かれたIPアドレスと一致するコンピュータを、ネットワーク上から見つけだし、パケットを運んでいきます。
【まとめ】
サーバは物理的にみえるのでまだいいですが、ネットワークは抽象的なので最初はかなり苦労すると思います。いきなり難しい本を読んでも頭が痛くなるだけなので、まずは簡単な本書で概要を掴んでみるといいでしょう。
いちばんやさしいネットワークの本 (技評SE選書) | |
五十嵐 順子
技術評論社 2009-12-23 |