ソーシャルメディアマーケター美咲 新人担当者 美咲の仕事帳 | |
池田 紀行 akikata shiho
翔泳社 2011-03-16 |
流行りの『もしドラ』を連想させる表紙だからと侮ってはいけません。かなり中身は濃いです。「Facebookでお金をかけず、クチコミで商品の認知度を高めたい!」「Twitterをマーケティングに活用したい!」と始めたものの、実際に使ってみると効果が実感できず、放ったらかしになってしまっている人に特に効く一冊です。
1.ソーシャルメディアの限界を知る
アメリカではFacebookの普及率が60%を突破しており、もはや社会のインフラとなっています。広告をうてばかなりのユーザーにリーチすることができます。
しかし日本では最大手のMixi、グリー、モバゲーもそれぞれ利用者が2千万人ほどです。Twitterも1千万人を超えていますが、1ユーザーの平均フォロワー数は170人です。これではまだまだ社会のインフラとは言えませんし、クチコミを広げると言っても世の中の関心にまで発展させるのは難しいと言えます。
2.マスメディアの力も必要
上記のとおり、日本でのソーシャルメディアはリアルな人間関係や、共通の興味や関心でつながるパーソナルな領域を出ていません。これを世の中の関心にまで広げようと思ったならば、マスメディアの力を借りないといけないのが現実です。とはいえそんな資金はない、という人は、プレスリリースをうってニュースで取り上げてもらうという方法があります。しかし、記者やディレクターの人たちは毎日膨大な数のプレスリリースに目を通すわけですから、取り上げてもらおうと思ったならばそれなりの仕掛けは必要ですね。
3.仕掛けと仕組みをつくる
いくらソーシャルメディアが話題性を持っているとはいえ、よく考えずに始めてしまうと、ちっとも盛り上がらずに終わってしまいます。これから始める人は、きちんと「仕掛け」と「仕組み」を用意しましょう。「仕掛け」とは、いいかえればネタそのものです。何が面白いのか?何が興味深いのか?話題性や話したくなる要素は何か?具体的なバズコンテンツは何か?などなどの装置のことです。これがなければそもそも消費者は話題にしたいとは思わないでしょう。
一方、「仕組み」とはその仕掛けがクチコミで広がっていく構造を設計することです。せっかく話題にしたくなるようなネタがあっても、それが共有されやすい場所になければ、クチコミは広まりません。ソーシャルメディアにもきちんとした戦略が必要なのです。
4.目的を明確にする
ソーシャルメディアを効果的に活用するには、定期的に効果測定をしながら軌道修正していくことが欠かせません。しかし、多くの企業ではこの効果測定で失敗しています。その大きな原因の一つが、目的をあらかじめ明確にしていないことです。一体どんな課題を解決したいのかを十分検討せずに、見切り発車で始めてしまうと、投資対効果がわからなくなってしまいます。
5.KPIだけでなく、KGIを測定する
効果測定というと、ブログのPV数や、Twitterのフォロワー数、RT数などを思い浮かべがちです。しかし、ソーシャルメディアを活用する本来の目的はこれらの数字を増やすことではないはずです。たとえば潜在顧客の育成だったり、継続購入意向の向上だったり、実現したい姿があるはずです。こういった本来の目的を忘れ、数字ばかりを追ってしまうと、ソーシャルメディアマーケティングは迷走を始めてしまいます。
ソーシャルメディアマーケター美咲 新人担当者 美咲の仕事帳 | |
池田 紀行 akikata shiho
翔泳社 2011-03-16 |