売れる「じぶん」を作る | |
平井 孝志
日本経済新聞出版社 2010-11-23 |
【お題】
仕事に焦燥感を覚え始めたら、どうすればいいか?
ポイント1.将来の自分のあるべき姿を明確にする
入社して何年か経つと、ビジネスパーソンの多くは漠然とした焦りにでくわします。「なんのために頑張っているのか?」「こんなことしてていいのだろうか?」という疑問が頭をもたげるのですが、その答えが見つからずに悶々としてしまうのです。この焦燥感は、「自分はこうありたい」という将来のあるべき姿が見えず、それゆえに着実に前に進んでいるという感覚が得られないことから来ています。
では、「あるべき姿」とは何でしょうか?年収◯千万になる、出世する、起業するなどいろいろでてくるかもしれませんが、実は人間はもっと根っこのところで、「自分はなんなんだろう?」という根源的な問を持っています。自分自身の価値が体現された「あるべき姿」を探し続けているのです。これを真剣に考え、自分の生き方に対して明確な方向性を持つことが、焦燥感から抜け出す一歩です。
ポイント2.毎年テーマを決めて学ぶ
当たり前ですが、人間は自分が知っていること、経験していることしか考えられません。自分のあるべき姿が描けないのは、もしかすると自分の知っている世界があまりにも狭すぎるからなのかもしれません。そういう人は学び続ける姿勢を持つことが大切です。
毎年ひとつテーマを決めて、その時々の悩みや課題の解決に役立ちそうな勉強をすることを心がけましょう。一つ一つ課題をつぶしながら学び続けていれば、自分の中にいろんな知恵のストックが生まれます。そうしているうちに自分の志向性が見えてくるでしょうし、それを5年も10年も続けていれば能力もかなり磨かれ、そこから生まれる差は歴然としたものとなるでしょう。
ポイント3.模倣困難な強みを作る
他の人と同じ基準で一番を目指してしまうと、どうしても苦しくなります。そうではなく、他の人と違う部分で一番を目指しましょう。他の人との違いを見つけるには、今までの自分の人生の積み重ねの中にある「意味のある違い」はどこか、見つけることが出発点です。その違いが会社や日常生活に置いてどう価値を持つか、それは希少なものかどうか、考えてみましょう。
この価値と稀少性が複雑に絡み合うと、これは他の人にはなかなか真似のできない「模倣困難な強み」となります。「模倣困難な強み」は自分の過去の積み重ねに立脚しているため、他の人にはなかなか真似することができません。「3日で成功する」「◯◯だけで成功する」という無理な考え方に惑わされず、自分の違いを強みへと着実に育てていきましょう。
ポイント4.シナジーを活かす
食器メーカーのノリタケは、シナジーをうまく活用しながら成長を果たしています。陶磁器を作る技術、つまりセラミックに関する技術をテコに工業機材事業や電子事業といった新しい事業を成功裡に立ち上げることができたのです。このように、なにか新しいことにチャレンジする際には、「慣れたこと(シナジーが効くところ)と「不慣れなこと(新しい領域)」を半分程度ずつ取り入れてみましょう。結果的により大きな目標を達成することにつながります。
【考察】
私も一時期自分が何をしたいのかよくわからず、悩んでいたことがありました。その時は毎日ひたすら本を読んでブログにアウトプットしてということを繰り返していたのですが、これが良い結果をうみました。私は本を読むことで世の中をより広く深く知ろうとしていたのですが、面白いことに、それ以上に自分自身についての理解が深まったのです。
本を通じて他の人の生き方や考え方に触れていると、「これはいい」「これは嫌だ」という自分の考えが湧きでてきて、それが積もり積もると自分の考え方には特徴・方向性があることに気づきます。これが「意味のある違い」の第一歩だったのでしょう。この時、読書は自分との対話なのだなと気づきました。「自分がどう思っているのか、何をしたいのかがよくわからなくなっている・・・」という人は、是非本をたくさん読んで、自分と対話してみてください。
売れる「じぶん」を作る | |
平井 孝志
日本経済新聞出版社 2010-11-23 |