お金の流れが変わった! (PHP新書) | |
大前 研一
PHP研究所 2010-12-16 |
本書のメインテーマは「ホームレスマネー」であって、この決まった居場所のない大量の資金をどう日本に呼び込むのか、が落とし所となっています。とはいえ一国民にとっては、そういった政策を応援することはできても、例えば自分たちで都市をデザインして資金を呼び込むというのは考えにくいでしょう。なので、内容に賛同はできても、すぐには行動につながりにくい一冊という印象です。とはいえ、以下の理由で日本人のマネーに対する意識変革が必要なのは確実です。
1.日本人はマネー感覚がなさすぎる
いまの日本の危機的な財政を見れば、郵貯を国債の買い取り期間にするしかない。それが生命維持装置になっているからである。
しかしながら、それはすなわち、日本国債がデフォルトしたら、国民の金融資産はたちまち消えてなくなることを意味する。
日本の銀行に貯金しておくことがいかに危険かは、こちらの記事にて書きました。定年後に備えて少しずつ蓄えてきた貯金が、突然紙くずになる可能性があるのです。例えるならば、年収が400万円なのに対して毎年920万円を使っており、不足分の520万円を借金でまかなっている。そして積もり積もった借金の総額は1億円で、その利子だけで200万円支払っている。
そんな人にせっせと自分のお金を預けようと思いますか?よくよく考えれば、日本の金融機関にせっせとお金を預け続ける日本人の姿は異常であることがわかるのですが、残念ながらそういった話は学校では教えてくれません。自分たちの資金をせっせと外貨に逃がしている政治家も、国民は見殺しです。
ほかの通貨に対して円高が進んでいるというのに、個人資産が海外に出て行かず、ほとんどの人がいまだに〇・二パーセント程度しか利息のつかない円預金を続けている状態は、覇気のなさを通り越して、異常としかいいようがない。
仮にも表面的には円がここまで”高評価”されているのは、世界が日本に「来てください」といっているに等しい。
盲目的に信用していないで、今一度お金について自分の頭できちんと理解することが、ほんとうに必要なのではないかと思います。
お金の流れが変わった! (PHP新書) | |
大前 研一
PHP研究所 2010-12-16 |