林信行さんの著書、「iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり 」を読んだ。
本書を読むと、iPhoneのすごさと、なぜiPhoneのような製品が日本のメーカーから生まれなかったのかがよくわかる。
日本のケータイビジネスには、致命的な欠陥がある。
iPodに続き、ついにアップルは携帯電話まで作ってしまった。
その衝撃は大きい。
圧倒的に魅力的な端末を作り上げることで、アップルは直接iPhone端末を販売し、更に月額サービス料の一部をキャリア側から上納させる新しいケータイのビジネスモデルを作ってしまった。
従来はメーカー側が端末をキャリア側に売り、キャリア側が月額サービス料で利益を得るという仕組みだった。
そのためメーカー側はどうしてもエンドユーザーよりも端末を購入してくれるキャリア側がお客様になってしまい、キャリア側>メーカー側の力関係が生まれてしまった。
iPhoneはこの力関係を逆転させてしまったのだ。
アップルがiPhoneの開発に成功した背景には徹底した「顧客志向」がある。
「ユーザーがどうすればより喜んでくれるか」「どうしたらユーザーが買いやすいか」といったことを彼らは熟考し、できる限りの心づくしをする。
そして、ここに日本のケータイメーカーとの大きな差がある。
日本のケータイビジネスには、キャリア側>メーカー側の力関係がある。
端末を直接買ってくれるのはエンドユーザーではなくキャリア側なので、キャリア側がお客様になってしまい、メーカー側はキャリア側が指定する仕様を満たす端末しか作らなくなってしまう。
エンドユーザーの好みや動向よりも、キャリアの意向を優先する開発環境が、本当に魅力的な製品を作れなくしてしまっているのだ。
iPhoneは近々日本にも進出してくるだろう。
日本のケータイメーカーが生き残るには、まずは原点に戻って「顧客志向」を徹底したモノづくりをはじめなければならないだろう。
iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり | |
林 信行
日経BP社 2007-12-13 おすすめ平均 |