超!部下マネジメント術-1/3の時間と労力で人が育つ!インストラクショナルデザイン- | |
石田 淳
インデックス・コミュニケーションズ 2009-01-22 おすすめ平均 |
石田淳さんの『超!部下マネジメント術-1/3の時間と労力で人が育つ!インストラクショナルデザイン』を読みました。
本書は人の育成に焦点を当てたマネジメント術の一冊なのですが、私は2つの点で非常に良いと思いました。
それは、
●部下の育成を仕組み化できる
●汎用性のある指導手法が学べる
ことです。
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● 部下の育成を仕組み化できる
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私は、
1.測定可能な目標を決める
2.目標に対する現時点での自分の実力を知る
3.目標地点と現時点の間にあるギャップを分析する
4.ギャップを埋めるためには何をすればいいのかを分析する
5.分析結果を、一日単位の行動スケジュールに落とし込む
という手順を踏むと勉強が効率的・効果的になると考えていて、実践しています。
本書で紹介されている「部下育成マネジメント計画」は、以下のようにこれとかなり近いものがあります。
1.企業理念に結びつくインストラクション(指導)のゴールを設定
曖昧で抽象的な表現ではなく、具体的な「行動」を示す言葉を使う
2.できている人の行動・知識を分析し、チェックリスト化する
知識と技術に分けてピックアップする
3.チェックリストを基に「事前テスト」を行い、部下が「現在持っている知識」と「まだ習得していない知識」を明確に把握する
4.事前テストを基に部下のスタート地点を決め、スタート地点とゴール地点との間を指導で埋める
5.事後テストで本当に習得し、理解したのかを確認する
作るときは少々手間がかかりますが、
●部下を育成するための設計図が作れる
●設計図に沿って指導を行えば、育成の効果・効率が格段に高まる
●一度作っておけば、どの部下に対しても使える
という、まさに部下育成の「仕組み化」だと思います。
今までの1/3の時間と労力で人を育てられる
とありますが、従来のような上司の勘や経験に頼る指導と比較すると、「インストラクショナルデザイン」「ADDIEモデル」といった科学的に研究された方法論を基に設計された本書の手法のほうが、確かに効果的だと思います。
部下の立場からしても、「見て覚えろ!」などと言われながら学ぶよりも、ゴールとそこにいたるまでに必要な知識や技術が具体的かつ明確であったほうが学ぼうという意欲も発揮しやすいでしょう。
それぞれのステップの詳しい設計方法は、本書を読んで是非学んでみてください。
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● 汎用性のある指導法が学べる
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本書では上記の指導計画の設計方法に加えて、
●“この順番どおりに教えると、内容が相手の頭にバッチリ入る”という「理想的な指導手順」
●“これを知っておけば、さらに指導がうまくなる”という「指導のポイント」
がかなり詳しく解説されています。
これもまた「ガニェの9教授事象」という科学的に研究された方法論をベースに設計されているのですが、部下の育成はもちろん、講義やセミナーなどにも活用できる、非常に汎用性の高いものになっています。
正直、これはかなり使えると思います。
コンサルタントやセミナー講師など、将来教える立場になろうという方には必見の内容でしょう。
こちらも詳しい方法については、是非本書を読んで学んでみてください。
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本書はマネジメントの中でも特に部下の育成にフォーカスを当てていますが、
これからの時代、経営者が残しておきたい人材は、たった2種類に集約されると言っても過言ではないでしょう。
それはすなわち「特別な能力を持つスペシャリスト」と「部下を育成し、組織を率いていけるリーダー」です。
と本書の冒頭にあるように、今後はますますリーダーシップ・マネジメント能力が高く評価されるのではないかと思います。
しかし現状はというと、今まで日本の組織の多くは年功序列制をとってきたため、必ずしもリーダーシップ、マネジメント能力に優れた人が人を率いる立場にいるわけではなく、指導方法についてあまり学んでこなかった人が部下を育成している場面も多いのではないでしょうか。
これは大きな問題点だと思いますが、逆に言えばここを改善できればまだまだ日本の企業は活力を取り戻せる可能性があるわけです。
その意味で「部下指導のための教科書」と言える本書はかなり有用な一冊だと思います。
特にマネジャー職の方にオススメなので、是非読んで、実践してみてください。
最後に、本書は株式会社ウィルPMインターナショナルの山本さんより、献本いただきました。
山本さん、楽しく読ませていただきました、ありがとうございました。
以下、私用メモ
● 効果を最大限に高める指導の「手順」
1.指導に注目させる
2.指導の目標を伝える
3.必要な知識を思い出させる
4.新しいことを教える
5.いろんな表現で何度も教える
6.部下自身に練習させる
7.練習の結果をフィードバックする
8.指導の成果をチェックする
9.反復練習を繰り返す
● よりよい指導のための4つのポイント
・「意味のある行動」をさせる
・望ましい行動はすぐに強化する
・考える時間を与える
・理解を確認する声かけ
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石田 淳
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