安部義彦さん、池上重輔さんの共著、「日本のブルー・オーシャン戦略 10年続く優位性を築く」を読んだ。
本書はW・チャン・キムさんとレネ・モボルニュさんの共著、「ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する(前作についてはこちら)」を、日本人向けのより分かりやすい内容にしたものです。
W・チャン・キムさん公認なので、戦略の中身自体は全く同じです。
なので、前作で既にブルー・オーシャン戦略理論を理解している方には不要ですが、イマイチ理解できていなかった、と言う人にはお勧めです。
本書の特徴は、ブルー・オーシャン戦略の本質を「バリュー・イノベーション」「ティッピング・ポイント・リーダーシップ」「フェア・プロセス」の三本柱で戦略策定し、実行し、新規需要を創造することであるとし、「実行までを前提とした、再現性のある方法論である」ことを強調しているところです。
つまり、ブルー・オーシャン戦略は単にバリュー・イノベーションせよという戦略の方向性を示したものではなく、実行する方法までを提示したものなのです。
前作の内容がバリュー・イノベーションや価格曲線しか思い出せない、という人は本書でもう一度学習してみるのもいいでしょう。
また、前作にはあまりなかったレッド・オーシャン戦略の解説に一つの章を割いているのも良いところです。
これにより、コスト・リーダーシップ戦略と差別化がトレードオフにあるレッド・オーシャン戦略と、コストを押し下げながら買い手にとってのバリューも高めるブルー・オーシャン戦略の比較が可能になり、両者の違いがグッと明確になりました。
レッド・オーシャン、ブルー・オーシャン両戦略の実例として登場する企業も多くが日本のものであるのも、私たちにはよりなじみがあり、理解を促しています。
戦略自体はそのままに、中身をより分かりやすくしたものなので、前作を読んだことのない人も、読むのであれば本書を読んだほうがいいと思います。
両方を読むことでより理解を深めると言うのも当然ありです。
分かりやすい図表など、非常に丁寧なつくりになっており、読みやすいです。
お勧めです。
日本のブルー・オーシャン戦略 10年続く優位性を築く | |
安部 義彦
ファーストプレス 2008-09-20 おすすめ平均 |