石田修大さんの著書、「急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め―ソニー元副社長・大曽根幸三の成功金言53 」を読んだ。
著者は石田修大さんであるが、中身はほぼソニーの元副社長、大曽根幸三さんがソニーで発した語録をまとめたものである。
「井深大はソニーの行くべき方向を示し、大曽根幸三は現場でその方法を示した」と言われるように、また、その語録が「金言」と比喩されているように、興味深いテーマが多い。
が、しかし残念なのだが本書は深みがあまりない。
160ページで58ものテーマを扱った結果、一つにつき2~4ページしか割けなかったのが一つの原因だろう。
もう一つは著者がまえがきにおいて自ら以下のように語っているのだが、本書も同じ罠にはまっている。
だが、語録の類は淵源をたどれば同趣旨の表現がいくつでも見つかる。大事なのは表現だけでなく、語録を残した人の体験であり、実感である。それが伝わるからこそ、語録は読む人の共感を呼び、働き方、生き方にまで影響を及ぼすのではないか。
本書では大曽根さん自身に関してあまり突っ込んだ分析がされていない、よって話のバックグラウンドに乏しい。
扱っているテーマに関しても、テーマ自体は面白いのだが、本質に迫るような突っ込んだ分析はなく、表面的だ。
だから、「正しいけどよく聴く話で、特に目新しさはない」というのが正直な感想だった。
繰り返すが、扱っているテーマ、そして少し垣間見えた大曾根さんという一人の人間像も非常に面白かっただけに、残念だ。
以下、自分用のメモ
●市場は調査するものではなく、創造するもの
初めて世に出す製品が、故障が多い、こりゃだめだと思われてはおしまい
●後発メーカーは出遅れている上に、値段を安くしたり、よけいな機能を付加せねばならず、ハンデを負う
●上司がファジーだと部下はビジーになる
●会議で物事を決めるのは良し悪しで、10人が出席していれば責任も10分の1になり、実行の保証がない
●ゼロから1を生み出す人材を育てるのは組織ではなく風土
●資料なしでも説明はできる
急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め―ソニー元副社長・大曽根幸三の成功金言53 (角川SSC新書) | |
石田 修大
角川SSコミュニケーションズ 2008-03 おすすめ平均 |