徹底抗戦 | |
堀江 貴文
集英社 2009-03-05 おすすめ平均 |
堀江貴文(通称ホリエモン)さんの『徹底抗戦』を読みました。
※堀江さんのブログはこちら(http://ameblo.jp/takapon-jp/)
私は事件が起こった当時から、彼が何故罪を問われているのかが理解できず、どうもきな臭いと思っていました。
当事の出来事やライブドアについて詳しく調べて知っているわけではないのですが、本書を読む限り、やはり彼の受けた扱いは全く正当性を欠いたものだとしか思えません。
彼の置かれた理不尽な立場を想像し、自分だったらどう感じるのだろうかと考えてみるのですが、怒りと無常な思いしかわいてきません。
1人の人間としての彼に対する世間のイメージは、恐らく多くの誤解が含まれていると思います。
「自分には時間がない」と焦るほどの夢があり、そしてそれをかなえるだけの能力と機会がありながら、理不尽な権力にすべてを奪われようとしている彼の、「信念」が感じられる一冊でした。
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● 宇宙開発という夢
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私には時間がなかった。ライブドアを短期間で成長させ、世界を代表する会社にしたかった。ライブドアが世界企業になったらさっさと会社を辞めて、宇宙開発などのもっと新しいビジネスをどんどん立ち上げていきたいと思っていた。
彼を拝金主義者の象徴のように言う人もいますが(当時の写真を見るとあまり人相は良くないですね)、それは間違いです。
彼は当事、役員としては最低限の給与しか受け取っていませんし、自分が大量の株式を保持しているがゆえに、株主配当金はあえて配っていませんでした。
彼はライブドアを世界を代表する会社にしたかったと語っていますが、その理由はひとつ、自らが保持する株式を売却して手にした資金を用いて、夢である「宇宙開発」の分野へ乗り出したかったのです。
宇宙開発ときいてどれだけのリアリティを感じられますか?
普通の人なら、「資金力」「技術力」その他もろもろの障壁の前に、恐らく実現しようと考えもしないでしょう。
でも、彼にはそれができるという根拠がありました。
フジテレビの買収も、テレビ放送にライブドアのURLを貼り付けるのが唯一の目的だったそうです。
グーグルやヤフーに対抗できるポータルサイトを作るために、放送の圧倒的なリーチを使ってページビューを増やしたかったのです。
しかし世間の理解は、こんな簡単なことも理解できない、実に馬鹿げたものでしたね。
ソニーとライブドアを合併させることでライブドアブランドを捨て、新生ソニーはiPhone的端末で世界を席巻、世界で一番利益を上げる企業体になる。これが私の考えたゴールであり、そのゴールが見えたところで宇宙ビジネスに完全にコミットする予定であった。
しかし、このヴィジョンは私の逮捕で、全て夢に消えてしまうのであった。
こんなことがあっていいんですか…。
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● 事件の本質は?
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結局、初公判になって、落ち着いて立憲容疑の内容を見てみたら(検察の言い分を仮に認めるなら)、単に財務諸表のBS(バランスシート・貸借対照表)に載せるべき数値がPL(損益計算書)に載っていただけのことである。つまり、投資ファンドが私から借りた株を市場で売却、その利益が売り上げに計上されていたことが”粉飾”だというのだ(ただしこのこと自体、違法だと断言できるようなものではない。理由は後で述べる)。
このような状態の企業を証券取引所が上場廃止にしてしまうことは、到底許されることではない。
私は本書を読んでも、結局彼のやったことの何がまずかったのか、よく分かりませんでした。
しかしもっと分からないのは、そんな良くわからないような容疑で「生きた企業」に強制捜査をいれようと考える権力の存在です。
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● 敵が多すぎたのではないか
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あとから供述調書をみてわかったのだが、彼らはすでに強制捜査後の任意捜査の段階で、私があたかも犯罪を主導していたかのような長所にサインをしていた。
特に宮内氏は、サインを積極的にしていたようだ。
おそらく彼は、後に露見する横領疑惑のことが心配だったのだろう。
宮内調書に出てくる私の考えや行動に対する罵詈雑言の数々は、怒りを増幅させるものであったが、私の弁護を担当する高井康行弁護士が発見した彼の横領疑惑では、怒りを通して呆れるというか、かわいそうだなとさえ思った。
落ち度といっていいのか分かりませんが、彼はことごとくろくな人間が周りにいませんでした。
世間的なイメージも決して良いものではなく、かなり憎んだり嫌っている人も多かったですよね。
あまりにも敵を作りすぎたのは、やはりまずかったのではないかと思いました。
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● 徹底抗戦
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本当に、何を話せばいいのかわからないのだ。なんで逮捕されているのかもわからない。検事も、どういう嫌疑なのかを具体的に教えてくれない。イライラだけが募った。もう、どうでもいいと思うこともよくあった。
≪もう、そろそろいいだろ≫
私は検事と話し合い、「事実はわからないが、保釈を勝ち取るため、経営トップとして罪を認めてもかまわない」と妥協できる範囲で調書をまとめてもらった。(省略)だが私は、すんでのところでふみとどまったのである。
≪やっぱ、だめだ。そんなの、だめだ。≫
事実と違うことも、ある程度まるめて飲み込む。それも大人の対応なのかもしれない。
(中略)
むしろ執行猶予という、まるで無罪と等しい判決がもらえる可能性大のディールであるのに、あえて実刑覚悟で無罪を取りにいくという人間が、犯罪を犯していると思うだろうか?
結局私は戦う道を選んでしまった。
本当は丸めて飲み込んで罪を認めてしまったほうが楽なのでしょうが、彼は戦う道を選んだのだそうです。
自分は間違ったことをしていない、屈するわけにはいかないという信念の強さなのでしょう。
そして、誰もいなくなった部屋に一人でいると、寂しさがあふれてきた。
≪私には仕事もないし、これから厳しい裁判が待っているのだ……≫
彼が一日も早くやりたい仕事と夢を取り戻せるといいですね。
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堀江 貴文
集英社 2009-03-05 おすすめ平均 |
昨日の記事で書いた”TRICKYY”拡大の件ですが、ありがたいことに早速何人かの方から参加したいとのメールをいただきました。
中には希望する肩書きと、アピールポイントまで書いて「審査依頼書」を出してくれた方まで(笑)
まさにfoolish!ということでただいまメンバーと審査中ですので、しばしお待ちください。