小さな会社のブランド戦略 | |
村尾 隆介
PHP研究所 2008-12-10 おすすめ平均 |
村尾隆介さんの『小さな会社のブランド戦略』を読みました。
本書はスモールビジネスの経営者向けに書かれたブランド戦略の一冊です。
読後に私は、スモールビジネスのブランド戦略の肝は、
●ミッション(使命感)
●共感を呼ぶストーリー
を柱としたファン作りにあるなと感じました。
中小企業の経営者はもちろん、将来の起業を考えている人にも強くオススメしたい一冊です。
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● ファンと引力
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『あなたのビジネスに関わるすべての人がファンになるような、研ぎ澄まされた経営をしている会社』
本書では小さなブランド会社をこのように定義しています。
このような会社にはブランドによる「引力」が備わり、
●ファン(お客様)
●スタッフ
●お金
●情報
●チャンス
など、経営に必要な資源を引き寄せるのだそうです。
これは、ブランドの引力がない、つまり必要な資源を外部に求めに行かなくてはいけない経営に比べると、効率やコストの面で格段の違いがあります。
そしてこの差を生む「引力」は何処から発生するのかというと、
●ミッション
●共感を呼ぶストーリ
の2つがどうやら大きいようです。
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● ミッション
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まず重要なのは、会社自体にファンを作るという発想です。
現代社会では商品ライフサイクルが非常に早く、売り手は次から次へと新商品・新サービスを市場に投入しなくてはなりません。
つまり、ある特定の商品にファン作りを依存してしまうと、その商品のライフサイクルが終焉を迎えたと同時に顧客を手放すことになるというリスクを抱えるわけです。
小さい会社の場合、大企業のように体力があるわけではないので、これはかなり危険な状態です。
なので、商品やサービスを通じてのファン作りではなく、会社自体にファンを作るようなブランド戦略の発想が欠かせなくなります。
だからこそ、会社の「ミッション」が非常に重要なのです。
会社にとって「ミッション(使命)」とは、建物でいえば土台のようなものです。
土台がしっかりしていなければ、その上に何を建てても、結局は不安定なままです。
そんな家には、危なくて、誰も住みたいとは思いませんね。
ミッションとは土台、言い換えれば、ファンやスタッフ、お金、情報、チャンスなどが引き寄せられる「理由」「意義」だと私は捉えました。
「あの会社のミッションに強く共感するから、この会社で働きたい」
「あの会社のミッションが素晴らしいから、この会社の製品を買いたい」
このとき引き寄せられた人たちは、「自分もこのミッションの参加者になりたい」「チームの一部になりたい」というニーズを満たしているのではないでしょうか。
このように思わせる「理由」「意義」、これこそがブランドの「引力」なのです。
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● ストーリー
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小さなブランド会社にも、人を魅了するようなストーリーが必要です。ストーリーがあれば、会社は、より”口コミ”されやすくなります。
会社にストーリーを付けるためには、偶然に任せるのではなく、普段から会社のイメージや価値を上げるような「伝説をつくる」という意識を持って企業活動を行っていくことです。
例えばiPodやiPhoneで最近は注目されているAppleは、このストーリー戦略が非常にたくみですよね。
その時々でIBMやMicrosoftなどといった巨大企業を敵として掲げ、本物のものづくりのために巨大な悪と戦う小さくも勇敢なApple社というストーリーで、カルト集団とも評される熱烈なファンを生み出しています。
人を魅了するような、共感を呼ぶようなストーリーを作るうえでは、「強者」のイメージがある大企業よりも、むしろ小さい会社のほうが有利かもしれません。
ストーリーブランディングについては、川上徹也さんの『仕事はストーリーで動かそう』が非常に参考になるので、こちらを是非読んでみてください。
仕事はストーリーで動かそう
作者: 川上徹也
出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日: 2008/11/12
メディア: 単行本(ソフトカバー)
http://d.hatena.ne.jp/lemoned-icecream/20081114/1226660639
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● 小さい会社のブランディング
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新しいカテゴリーをつくれば、会社は、より早く覚えてもらえます。「まずは、小さな世界で一番になる」は、ブランドを作る上で、とても大切な発想です。
「日本で一番大きな山は?」と聞かれれば誰でも「富士山」と答えられますが、「じゃあ二番目は?」と聞かれると途端にわからなくなる人がほとんどではないでしょうか。
人々に覚えてもらい、ブランドを築くためには、どんな小さな世界でもいいから一番になることが重要なようです。
小さな会社が目指すべきは、マップ上の「空きポジション」です。
メッセージを発信するときは、想定する「世界でたった一人のお客さま」に向けてつくれば、それで十分です。おのずと、そのメッセージは、市場に存在する同じような他の大勢のお客さまの心を揺さぶる、力強いメッセージになります。
「より多くの人に」と考えてメッセージを作ると、ありきたりで尖りのない、弱弱しいメッセージとなってしまい、結局誰もひきつけないということになりかねません。
小さい会社だからこそ、まずは特定の一人のお客さまを熱烈なファンにするつもりで動くくらいがちょうどいいのでしょう。
脱線しますが、ブログでも同じことが言えますね。
あまりにも読者のことを意識しすぎると、書けないことが多くなり、無難で面白みのない文章になってしまいます。
それよりは、特定の一人に訴えるような文章を書いたほうが、響く人には響きます。
私は常にただ一人、「自分自身」に向けて文章を書いています。
小さなブランド会社は、「1回の売り上げ」ではなく、「一生を通じての売り上げ」をイメージしながら、お客さまとの長期的な関係を築いていきます。
小さなブランド会社は、「少しくらい価格が高くても、喜んで支払ってもらえる」という会社であるべきです。合言葉は「価格を下げるのではなく、価値を上げる」です。
この「価値を上げる」要素が、ストーリーとミッションになるわけですね。
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● ミッションを描く
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今後、日本では転職だけではなく、キャリアの中で「起業する」「起業する友人の会社にジョインする」というのも、なんら特別なことではなく、ライフスタイルの一環のように自然なものになるかもしれないと思っています。
私はこの部分を読んで、運営している読書会”TRICKYY”がまさにこのような場になれば面白いなと思いました。
「自分らしさ」を見つけるための最良の方法は、人から質問を浴びることです。
「なんで、これをやるの?」
「なんで、君じゃなきゃダメなの?」
(中略)
「Because…」からはじまる答えを、あなたが口にすればするほど、あなたのビジネスや、生き方・働き方は研ぎ澄まされ、誰が聞いても納得するものに仕上がっていくはずです。
読書会が、本を紹介するだけでなく、皆と語り合いながら自分のミッション・ビジョン・目的・目標を発見し、研ぎ澄ませて行く場になれば、わざわざ皆で集まる「理由」「意義」はあるはずです。
そのときは皆がミッションとストーリーを持った、ブランド人になっているんでしょうね。
とても楽しみになってきました。
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小さな会社のブランド戦略 | |
村尾 隆介
PHP研究所 2008-12-10 おすすめ平均 |
http://d.hatena.ne.jp/lemoned-icecream/20090303/1236006743
こちらの記事で「TRICKYYを拡大します」と告知してから何名かの方が応募してくださったのですが、とりあえず新たに3名の参加が決定しました!
ビジネス太郎さん
北陸支部長
http://bijinesusho.seesaa.net/
green-fishさん
curiosity担当
けんろーさん
ポジティ部長
http://kenroooo.exblog.jp/
ちなみにその他のメンバーは、
TAKU
代表取締役ビジョン担当
TO-RAINBOWS
人事担当
Leapさん
広報担当
サイクルマン
ビジョン担当補佐兼、舞台監督
うっわ、変な役職ばっかり。
ほとんどの人が何をやっているのか不明。
ちなみにその他の役職候補もいろいろ挙がっていたのですが、
●「スーパー・クリエイティブ・ディレクター」(ダサい笑)
●「ノリ担当」
●「勢い担当」
●「妄想担当」(これ誰かやりませんか?)
●「ホール担当」
●「行動力担当」
●「採用担当」(これも誰かやりませんか?)
●「うんちくん担当」(!?)
●「パッション担当」
●「カツアゲ担当」
●「落ち武者のように走る人担当」
皆さん、読書会”TRICKYY”の理念を尊重して、“Stay, foolish”の精神を忠実に守ってくれる素晴らしい方ばかりですね。
とりあえず次回は3月18日の水曜日に、私の部屋(蒲田)にて行いますので、参加できる人はよろしくお願いします!
2 Comments
ハハ!受けるっ!!(笑)
「妄想担当」、「落ち武者のように走る人担当」辺り、兼務したいですね。(笑)
それでは、北陸支部長(これも意味不明。)として、日本海側から、日本foolish化計画を推進してまいります!
よろしくお願いします!
ビジネス太郎さん
落ち武者のように走る人って、要するに使い走りですよね(笑)
よほどのMじゃないとできないっす!
日本海側はよろしくお願いします(笑)