サッカー日本代表、中村俊輔選手の著書、「察知力」を読んだ。
私は前からずっとお気に入りの選手が二人いて、その一人が「中村俊輔」だった(もう一人はイタリアのDelPiero)。
日韓ワールドカップ直前にやっとスタメン・トップ下でプレーできたにも関わらず、最終的にメンバーに選ばれなかったときは私も非常に悔しがったのを今も覚えている。
「中村俊輔が本を書いた」と聞いていったいどんな本を書いたのかと気になった。
「これを俊輔ファンが読む本で終わらせるのはもったいない」という評判を聞いて読んでみたが、本当に面白かった。
中村選手のプレーには華がある。
代名詞のフリーキックもそうだが、深い切り返し、正確なパスワーク、やわらかいボールコントロールなど、見ているだけで楽しませてくれる。
「天才」と称されることも多いが、実はその華やかなプレーの裏には多大な努力の積み重ねがあることは結構広く知られていることだと思う。
しかし、本書で語られる、中村選手のサッカーに対する「妥協なき姿勢」は想像を超えて泥臭かった。
彼は達成感を持つことなんて怖くて出来ないという。
満足感を得ることさえも怖いという。
「満足したら置いていかれちゃう」という危機感がいつもあるのだ。
その背景には中学生のとき自分のやりたいプレーばかりをして試合からはずされ、その原因を考えずにふてくされた結果、無駄な時間を過ごし、ユースにあがれずおいていかれた「トラウマ」がある。
だからこそ彼は高校入学後、目の前の状況に対して「自分の求められていること」「自分の目標」「今取り組むべき課題」といったことを常に必死で考えながらサッカーに取り組んだ。
毎日サッカーノートを書いた。
満足することを恐れ、常に壁を求めてイタリア、スコットランドと環境を変えて、自分の引き出しを増やし続けた。
だからこそ昨年のチャンピオンズリーグ決勝トーナメント抽選前に、「バルセロナと対戦したい」という発言が出たのだろう。
彼の姿勢から学ぶべきことは、サッカー選手でなくても大いにある。
「上司が自分を理解してくれない」
こんなときどうするか。
ふてくされて、そのままチームから外されるのか。
上司に媚をうるのか。
上司に求められていることを理解し、それに答えた上で「自分」を出す方法を探すのか。
非常に参考になる内容だった。
以下、自分用のメモ
●たくさんの引き出しがあれば、自分を信じることが出来るから、相手が誰であろうとプレッシャーをうけることはない
●新しい環境になじむ努力をしないのなら、環境を変えた意味がない
●自分を周囲に理解してもらう状況を作る
●周囲の批判や期待を、うまく自分の中でコントロールして受け止める
●「絶好調だ」「調子がいい」という浮ついた気持ちを持つことで満足し、「もっとやらなくてはいけない」という欲が薄れてしまってはダメ。
察知力 (幻冬舎新書) | |
中村 俊輔
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