エイドリアン・J・スライウォツキーの著書、「大逆転の経営」を読んだ。
本書は戦略リスクに対し、いかにリスクを察知し、緩和し、逆に成長への機会へと転換するかを説いたものです。
企業が直面する戦略的リスクを
1.大プロジェクトの失敗
2.顧客離れ
3.業界の分岐点
4.とても適いそうにない強豪企業の出現
5.ブランド力の喪失
6.業界全体の低迷
7.成長の停滞
の7つにわけ、これらをいかに事前に察知し、対策を立てることで不必要な打撃を回避し、避けられない打撃を緩和するかを分析しています。
●オッズを過大評価すると、成功に必要な投資を過小評価することになる
・人間は過剰に楽観視しがち
・真のオッズを注意深くはじきだし、プロジェクト成功に本当に必要なものを正確に把握する
●非リスク化の第一段階は真の成功確率を認識すること。第二段階はその確立を変えること。
●過去の事例を振り返るとき、十分に起こり得たほかの可能性についても考える必要がある
・プレッシャーのかかる意思決定を疑似体験する
・ダブル・ベッド
●新たな脅威を早期に察知するシステムがあれば、強豪出現リスクに対処するリードタイムが確保できる
といった基本的な考え方に加え、実際にトヨタ、アップル、TSUTAYA、Microsoft、IBMといった企業がどのようにリスクを捉え、対抗策を講じ、逆に成長への足がかりと変えてきたのかという、豊富な事例が紹介されています。
逆に失敗した事例も同様に多く紹介されています。
読み方としては、本書を元に自社が現在どのような戦略リスクを抱えているか、もしくは今後直面する可能性があるのかをリストアップし、それに対処するに当たって過去の事例から何か応用できそうなものはないか探してみる、というのが有効ではないかと思います。
大逆転の経営 | |
中川 治子 佐藤 徳之 伊藤 元重
日本経済新聞出版社 2008-04-18 おすすめ平均 |