不況にも負けない 技あり! これで採用内定繁盛術 就活導場 | |
宮内亮太
カナリア書房 2009-01-26 おすすめ平均 |
宮内亮太さんの『不況にも負けない 技あり! これで採用内定繁盛術 就活導場』を読みました。
採用内定繁盛とありますが、確かにこの本の内容を実践すれば、内定は取れると思います。
しかも、特別な能力や才能や資格などが必要なわけでもありません。
こう書くと何か裏技的な印象をもたれるかもしれません。
がしかし、内定を取るための小手先のテクニックを指南した就活マニュアル書や学生と企業が演じる茶番劇を風刺したネガティブな書籍とは一線を画す、本書は極めて真っ当な一冊です。
そもそも著者の宮内さんが本書で本当に伝えたいのは、内定を取るための方法ではないと思います。
数年前から、新卒で入社した新社会人がひとつの会社で長く勤められず、人材の低い定着率が問題となっています。
これは、「目的」と「目標」が理解できておらず、「希望する会社に入社すること」「志望する会社から内定をもらうこと」が「目的」になってしまっていたことが原因のひとつとしても考えられる気がします。
「内定をもらうことが目的」の就職活動では、断言しますが、失敗することになるでしょう。
失敗とは内定が取れないということではなく、その先に不幸が待ち受けている可能性が高いということです。
本書に「マズローの5段階欲求説」というものが登場するのですが、これは人間には
1.生理的・生存的欲求
2.安全の欲求
3.所属と愛の欲求
4.自分の地位を満たす欲求
5.自己実現の欲求
という5段階の欲求があり、一番低い欲求レベルである「生理的・生存的欲求」から順に、満たされるにつれて欲求のレベルが上昇していくことを表したものです。
「内定をもらうことが目的」の人は恐らく働くことに対して「生きていけるだけのお金が稼げればいいや」くらいに考えているのかも知れませんが、「生きるために働く」では一番低いレベルの欲求しか満たすことができません。
“Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work.”
というアップル創業者、スティーブ・ジョブズの言葉がありますが、仕事というものは私たちの人生の大部分を占めることになります。
その仕事で満たされるのが「生理的・生存的欲求」のみで、果たしてあなたは本当に幸せになれるのでしょうか?
さらに言えば、そのような環境であなたは高いモチベーションを発揮し、仕事で成果をあげることができるのでしょうか?
自分の思いというものはそう簡単に騙せるものではありませんよ。
今の世の中の動きを知っていれば、30歳、40歳になって仕事で成果を上げられていない、能力が身についていないという状態が、所属組織の規模に関係なくどれだけリスクの高いことか、想像に難くありませんね。
つまりどういうことかというと、とりあえず内定をもらって今の不安を解消することだけを考えている人は、将来に大きなリスクを先延ばしにしているに過ぎないのです。
目の前の「苦しい」という事柄につられて、そこで妥協をしてしまった人は、一生妥協した人生を送ってしまう可能性が高いでしょう。
志望する企業から内定をもらうことは、あくまでも「目標」としてとらえなければいけません。
就職するということは「自分のやりたいこと、なりたいもの」を満たすための一つのステップ、手段に過ぎないのです。
就職活動の大部分は「自分とは何者なんだ?」ということを考え、見つめ、問う行為
「自分とは何者なんだ?」「自分は何がしたいんだ?」「自分は何になりたいんだ?」
ここが明確になってくれば、必然的にそのためにどういう企業で働かなければならないのかが見えてきます。
そして、
「自分は将来こういうことがやりたい。だからこの会社でこんなことにチャレンジしたいと思っている。」
「自分は将来こんな人物になりたい。そうしたらこの会社で、こんな活動をしたい。」
という将来の企画が語れるようになれば、実はこれが採用企業側への強力なアピールになってしまうのです。
企業は「成長して、自社に利益をもたらしてくれるような人材」を求めているわけですから、このような人が魅力的に映るのはある意味当然なのです。
ここでは抽象的な内容を紹介しましたが、本書は具体的なノウハウも充実しています。
例えば、
「自分に向いている仕事を見つける方法」
とか、
「良い志望動機の例」
とか、
「自己分析の仕方」
とか、
「会社、業界の調べ方」
とか…とにかく実践的で、かつ真っ当です。
後悔しないためにも是非、現在就職活動中、もしくは何年後かに就職予定の学生の方に読んでもらいたい一冊です。
オススメです。
私の周りにもなかなか内定がもらえずに困っている人がいましたが、そのときにこの本があれば、間違いなく紹介していました。
なお、本書は著者の宮内さんより直接、献本いただきました。
宮内さん、ありがとうございました。
不況にも負けない 技あり! これで採用内定繁盛術 就活導場 | |
宮内亮太
カナリア書房 2009-01-26 おすすめ平均 |