レバレッジ・マネジメント―少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略』 | |
本田 直之
東洋経済新報社 2009-01-16 おすすめ平均 |
本田直之さんの『レバレッジ・マネジメント―少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略』』を読みました。
『レバレッジ・シンキング』は個人を対象とした、ビジネス・パーソンのキャリアにレバレッジを働かせる思考法を説いた一冊でした。
本書はそれの「経営者版」で、経営者を対象に、いかに経営にレバレッジを働かせるのかを
1.経営者のレバレッジ
2.戦略のレバレッジ
3.営業のレバレッジ
4.ブランドのレバレッジ
5.仕組み化のレバレッジ
6.組織のレバレッジ
の6つの視点から説いています。
レバレッジ・マネジメントは他のレバレッジ・シリーズと同様、短期的に成果や効果を発揮する手法(マーケティング、ファイナンス、○○ストラテジーなどといったテクニックやツールなど)については扱っていません。
中心となっているのは、長期的視点に立って成果や効果を生み出すのに必要な、経営者としての「思考法」「考え方」です。
結局、短期的な戦略だけをいくつ実行しても、瞬間的には効果があっても次第に効果が薄れ、いずれなくなります。
これでは常に目の前の仕事に終われるような自転車操業状態となってしまい、非常に非効率です。
だからこそ、経営者には長期的視点に立ってビジョンを考え、問題を先読みし、必要なものとそうでないものを見分ける意思決定力が必要になるわけですが、本書はそのような「経営者の思考法」を学ぶのにうってつけだと思います。
本書は「経営者」の対象を経営者および経営幹部(役員、マネジャークラス)としています。
が、最近では個人のビジネス・パーソンとしても「経営者視点」を持つことの大切さが説かれていますし、実際にそのような人財は組織からも重宝されるでしょう。
経営者の本質を学ぶ一冊として、多くの人に価値のある一冊だと思います。
以下、まとめです。
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● 経営者のレバレッジ
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●経営者は経営者のやるべきことをし、社員のやるべきことをしてはならない
●経営者にしかできない、経営者がやるべき仕事とは、本質的に考え、意思決定すること
●「とにかく忙しい」と経営者が言うのは、「私は経営者として無能です」と公言しているのと同じ
●「忙しい」といっている経営者は時間を消費している。経営者は投資を考えなければならない。
●「会社を成長させるための人脈」を作るのも経営者の仕事
●短期的な視点で目の前の案件をこなそうとすると、ひっきりなしに起こってくる事象を解決することだけに追われる
簡潔にまとめると、他の社員にやらせても対して差のない仕事や、作業系の仕事ばかりしながら「忙しい」といっているようでは、経営者失格というところでしょうか。
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● 戦略のレバレッジ
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●会社の事業やビジネスモデルを決める際は、「積み上げ継続型」で売り上げていけるものを柱とする
●粗利率は最低50%
●「粗利が高いビジネスは顧客を軽んじた自社優先のビジネスだ」という考え方は全くの誤解
●粗利が少ないと、使える販売管理費も少なくなるので、より良いサービスが難しくなる。余裕もないので、時間的にも資金的にも終われる経営につながり、新しいサービスや製品を考える余裕がなくなる
日本人はどうも「儲けること=悪いこと」のように考えてしまうクセがあります。
しかしそういう思考は経営者として、もっと言えばビジネス・パーソンとして良い物とは言えなそうですね。
ちなみにこのブログでもアマゾン・アフィリエイトをやっていますが、今月は現時点で50点以上の商品が売れていて、結構購入してもらえているようです。
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● 営業のレバレッジ
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●売り込まなくても売れる仕組みを作る、これが営業における経営者の仕事
●営業の道を拓くような優良顧客を獲得する。自社の取引先にどんな起業が名を連ねているかは、わかりやすい自己紹介となる
●サービスを極力分かりやすく、誰が説明しても売れるようなものに単純化しておく
●心理学の達人になる
●今の時代、しゃべる営業担当者というのは絶対にマイナス。自分から話してしまうと、顧客のニーズが分からないままずれた話をまくし立てて時間の無駄になる。
●レバレッジ営業はインプットが8割、アウトプットが2割
●仕事をしながら勉強できてしまう
●値引きは、営業の手抜き
インプット8割、アウトプット2割というのは分かりやすくていいですね。
8割は相手の話を聞いて、2割で価値のある情報を提供したり、聞き出した問題やニーズに対応するような提案をまとめるというイメージでしょうか。
これだと相手の話を聞きながら業界や職種についての知識をインプットできるので、まさに営業しながら勉強できてしまいます。
自分が話してばかりでインプットのない営業スタイルと比較すると、数をこなせばこなすほどインプット量とそこから生まれるアウトプットの質の高さに差が出てしまう、まさにレバレッジを大きく働かせた営業スタイルですね。
しかも相手のニーズを引き出して、問題解決をするという、営業の本質とも合致しています。
個人的には、ここを読むだけでも本書を買う価値がありました。
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レバレッジ・マネジメント―少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略』 | |
本田 直之
東洋経済新報社 2009-01-16 おすすめ平均 |