アル・ライズ、ジャック・トラウトさんの著書、「ポジショニング戦略[新版]」を読んだ。
ポジショニングとは、「情報があふれかえる現代社会で、人々にメッセージを届ける」という難題を解決する、最も有効な考え方である。
ポジショニングは、商品そのものに手を加えるわけではない。消費者の頭に、商品を位置づけるのだ。
情報社会になった今、消費者は常に膨大な情報にさらされており、とてもすべてを処理することなどできない。
そんな中で頭角を現そうと思ったならば、消費者の頭に新奇なイメージを作るのではなく、消費者の頭の中に既にあるイメージを操作し、それを商品に結びつけるのが有効なのだ。
そして、独自ポジションを見つけるには、自分の内面や商品をとことん見つめるのではなく、消費者の頭の中を見つめるのだ。
いきなり市場リーダーを狙わずに、独自ポジションを見つけることで発展したエイビスやセブンアップなど様々な題材を元に、本書はどうすれば優れたポジショニングができるのかを解説する。
近年の事例では、例えばiPodを追随しようと様々なメーカーが競合製品を出したが、真正面から戦いを挑んだ結果、明確なポジションを消費者の頭に築くことができなかったため、大失敗に終わっている。
それに対して、ソニーのプレイステーションとは別の顧客層にフォーカスし、独自のポジションを築くのに成功したWiiは、確固たる地位を築くどころか、プレイステーションを食ってしまった。
消費者の「頭の中」を制するものが、ビジネスを制する。
マーケティングに興味があるなら、読んでおくべき一冊だと思う。
以下、自分用のメモ
●長期にわたって何かを印象付けるなら、あいまいさを捨て、シンプルでエッジの効いたメッセージを発信すること
●負けるポジションにはまりこんだ企業は、どんなに努力しても無駄だ
●リーダーのポジションを得るには、「一番乗り」を果たせ
●確固たるリーダーのいない、不安定な市場はチャンス
●企業の実力を生み出したのは商品の持つ力であり、商品の力は商品が消費者の頭の中に確立したポジションから生まれる
●マルチ・ブランド戦略とは、シングル・ポジション戦略である
●リーダーは、ライバルの動きに保険をかけることで、現在のポジションを維持できる
●「穴」を探せ―サイズ、価格、年齢、性別など
●穴は消費者の頭の中から探す
●穴がなければ、ライバルのポジションを崩す
●ネーミングを消費者がどうとらえるかを意識すること
●ライン拡大ではなく、基盤拡大をすること
●多角化はポジショニングの対極
ポジショニング戦略[新版] | |
川上純子
海と月社 2008-04-14 おすすめ平均 |