山田登世子さんの著書、「シャネル 最強ブランドの秘密」を読んだ。
本書はシャネルブランドの生みの親、ココ・シャネルの人物像に迫った内容になっている。
「最強ブランドの秘密」というくらいなので、シャネルがなぜあれだけ人々に受け入れられ、今も愛されているかについて何か本質的な追求がなされているのかと思いきや、そうでもなかったのが少し残念だった。
ココ・シャネル本人に興味がある人にはいいと思うが、ブランド論を求めるなら読む必要はないと思う。
それにしても面白いのは、日本の女性たちである。
もともとシャネルと言うブランドは、ココ・シャネルが「自分のため」に作り出したモードだった。
それは当事の派手な装飾品や富を誇示するためだけの服装への嫌悪から始まり、女性が金持ちの贅沢のための「口実」にされることを拒み、「金」の力によって外に出て自由を得ようとした彼女が、自分のために生み出したものだった。
それは高級な素材を利用したわけでもなく、貴金属を用いたわけでもなかった。
実用性を重視したそれは、大衆向けのものであり、服装そのものが豪華かどうかではなく、切る人のセンスが問われるモードを生み出した。
しかし日本では女性がブランド物のバッグを買い与えられ、まるでそれを一種のステータスかのように振りかざす。
これはどういうわけだろう。
まぁ、そもそもブランド品というものは金持ちが使うものであって、一般人が無理してブランド品を一個手に入れて身に着けたところで金持ちになるわけでもなく、不釣合いなだけで滑稽なわけだが。
シャネル 最強ブランドの秘密 (朝日新書) | |
山田 登世子
朝日新聞社 2008-03-13 おすすめ平均 |