梅田望夫さんの著書、「ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!」を読んだ。
次々とイノベーションが起こるシリコンバレーの本質を現地から伝えてくれる梅田さんの著書は、いつも私に興奮を与えてくれる。
起業することや、スタートアップに関与することは、エキサイティングなスポーツに参加するようなもの。リスクは大きいが、その分、報酬もでかい。
上記は本書で紹介されているゴードン・ベルの言葉だが、私自身もこのエキサイティングなスポーツに参加したい、常にアントレプレナーシップを持ち続けたいという思いを本書を読んで再確認した。
今回面白かったのはまず、「チームワーク」というテーマである。
アップルなどを見ているとシリコンバレーの創造性は一人のカリスマ的な天才によって生み出されていると思われるかもしれないが、実は徹底したチームワークこそが力の源泉のようだ。
実態は、非常に優秀なメンバーの集合体が会社を爆発的な成長へと導いていると梅田さんは言う。
そしてここに出てくる「個」は優秀であると共に、共通の価値観を持って共に仕事ができる人でなければならない。
興味深いのはその最新で最高の例として紹介されているGoogleである。Googleという会社は「誰でもすべての情報にアクセスできる環境を作ることが個をエンパワーし、世界をよりよくする」という信念の元にトリプルAクラスの超優秀な個が集まっている。
そこで行われているのは「全員のコンセンサスに基づく意思決定」である。
人から言われて何かをするのに慣れると創造性が奪われてしまう。
だからこそ誰よりも創造的であろうとするGoogleは、社員が何事も納得した上で仕事をさせたいのだろう。
そして、社員の誰もが納得した上で意思決定をする秘訣は、徹底した情報共有と、データと言う平等なファクトに基づく議論である。
また、意思決定をよりイノベーティブに行うため、「次の大きなブレークスルーはなんだろう」といった具合に質問することで社員に常に考えさせるのもポイントだろう。
私は、今後の組織はこのGoogleのような「社員全員で納得して仕事に取り組む」環境を目指す必要があると思う。
物質的に満たされている現代社会において、もはや金銭的報酬のみでは私たちは満足して働けない。
だからこそ、自分たちの仕事は何のためにあるのか、これがとても重要になってくる。
使命感を強く感じられる職場でなければ社員のやる気を引き出すことはできなくなる。
また、価格競争や技術力競争には限度がある。
今組織に必要なのは新しい価値を生み出す創造性、イノベーションである。
常に社員が頭を働かせて新しい価値について考えている会社ほど強くなる。
このような姿勢は、主体性によって生み出される。
社員全員が当事者意識を持てるような環境、つまりは全員で納得して意思決定する環境こそが必要なのだ。
データを徹底的に集めファクトをしっかり把握したうえで行う合理的な思考、情報共有を徹底したうえでみんなの合意によって行う意思決定、質問によって運営することでつくるイノベーションを生む風土―この三つは新しい時代のマネジメントの黄金則だと私は考えています。
梅田さんのこの言葉には真実があると思う。
本書の最後にスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学でのスピーチが紹介されており、それを何度も読んで聴けば、そこから必ず何か得ることがあると梅田さんは信じているという。
すでに原文を手帳に書き写し、iPodに実際の映像を入れて繰り返し見ている私も、まったく同感だ。
以下、自分用のメモ
●ベンチャーには大企業のようなモノやカネはない、だからこそ「人」とその「チームワーク」でやるしかない
●ベンチャーの出発点には、信念と情熱を持ったリーダー、タフで優秀な技術者、マネジメントに長けた人材の三位一体が必要
●信頼し、尊敬できる人とともに力いっぱい働くこと、よいチームで走ることが重要
●Aクラスだけで行動重視の会社を作る
●アントレプレナーはマイクロマネジャー
ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く! | |
梅田望夫
文藝春秋 2008-02-28 おすすめ平均 |