ならず者の経済学 世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰か | |
田村源二
徳間書店 2008-11-19 おすすめ平均 |
ロレッタ・ナポレオーニの『ならず者の経済学 世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰か 』を読みました。
ショッキングにも現代という時代に、民主主義と奴隷制が、強力な”正の相関”と経済学者たちが呼ぶかたちで共存しているのだ。つまりこれらふたつは、互いに支え合って盛衰をともにする関係にあるということである。
今日の奴隷は、豊富に存在する使い捨て商品であり、”国際ビジネスの必要経費”のひとつでしかない。
私は本書を読んで改めて私を含めた日本人がとても恵まれた立場にいることを実感すると共に、「自分たちは恵まれた立場で良かった」で終わらせてはいけないのだということを感じました。
確かに私たちは恵まれているのかもしれませんが、その私たちの豊かな生活を生み出すために、奴隷が「必要経費」として使い捨てされているということが、現実に起こっているのです。
しかし私たちの多くはそういう世界を知らず、まるで映画マトリックスのように幻想にとらわれたまま生きています。
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● イスラエル人が女を買えば、アラブが儲かる
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イスラエルはスラブ系売春婦の最大の輸入国のひとつだ。
(中略)
彼女たちは週七日、一日最高一八時間働かされ、客が支払う一二〇シュケル(二七ドル)のうち、たったの二〇シュケル(四ドル五〇セント)しかもらえない。現在そうした女性が一万人、全国の三〇〇から四〇〇の売春宿で暮らしている。彼女たちの売買価格はひとり八〇〇〇ドルから一万ドルだ」
売春婦のハッピーエンド物語はハリウッド映画の脚本の中にしかないが、そうしたストーリーの本や映画を売るやからは後を絶たない。なぜかというと、それが中流階級に”セックス売ります”という風潮を心地よく受け入れさせるのに役立つからである。
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● あなたの結婚指輪は血で汚れていないか?
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奴隷制はわたしたちの冷蔵庫のなかにある。果物からビールまで、砂糖からコーヒーまで、奴隷労働によって食卓にとどく食品はたくさんある。
わたしたちが新聞を読みながら、あるいは朝のワイドショーを観ながら飲むココアは、世界への供給量の半分を生産するコートジボワールから来たものかもしれない。そこのカカオ・プランテーションで働いているのは、マリなどといったさらに貧しい隣国からやってくる子供や青年だ。彼らは生きるのに必要なわずかな金を得るために、長い道のりをてくてく歩いてやってくる。そして、そうした子供たちの多くが、結局は遠隔地の農場で奴隷労働を強いられることになる。
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私たちはこういう現実にもっと目を向ける必要がありそうです。
百聞は一見にしかずで、一度直接現地に行って、私自身の暮らしを生み出すために、何処で何が起こっているのか、自分の目で見てみたいと思いました。
「夢がない、やりたいことがない」という人たちも、こういう現実を知ることで何か使命感のようなものが生まれるかもしれません。
私は自分の仕事を通して、自分だけでなく、こういう人たちの幸福も視野に入れながら活動していきたいと思います。
そのためにはまず勉強して、自分を磨くしかありませんね。
「こういう人たちを救おう」というには遠く及ばないほど今は力不足ですが、よりいっそうの意欲と責任感を持って、毎日を生きていこうと思います。
ならず者の経済学 世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰か | |
田村源二
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余談ですが、ほんの1年くらい前までの私にとって、「ボランティア活動」「社会貢献」というのは大嫌いな言葉の一つでした。
「自分のことにも責任をもてないヤツが、軽々しく社会貢献なんて言うなよ」
「ボランティア活動なんて、親切を押し売りして自己満足に浸りたい人がやるものでしょ」
くらいに考えてました。
今は少し考え方が変わりましたけどね。