酒井穣さんの著書、「あたらしい戦略の教科書」を読んだ。
新鮮だったのは、よく戦略書で見かけるフレームワークを用いた分析そのものは「戦略」ではないという部分が強調されていたことだ。
戦略とは、いわば現在地と目的地を結ぶルートである。
そして重要なのは、目的地と戦略はともに単独では存在せず、現在地に依存しているということだ。
ここから分かるのは二つであり、それは
●時間がたち、現在地が目的地に近づくほど、それに応じて戦略も成長する
●現在地をどれだけ正しく把握できるかで、戦略の優劣が決まる
である。
つまり、戦略の中身や実行以前に、その前の段階である情報収集・分析で格差が生まれるのだ。
そして収集・分析すべき情報とは、「自社にできること」「顧客が求めること」「競合にできること」「業界のマクロ動向」の4つである。
このとき、優先順位は
顧客情報 > 自社情報 > 業界のマクロ動向 > 競合情報
である。
「敵を知り己を知れば百選危うからず」という孫子の格言は、戦争では役に立つが、「顧客の獲得」をめぐって競争が行われるビジネスでは完全に間違いなのだ。
競合と競うべきなのは、どちらがより顧客を理解しているかである。
そして、顧客の求めていることと自社ができることが重なり、かつ競合にはできない部分が、自社の強み(スイート・スポット)であり、そこが「現在地」なのだ。
ここまでは「情報収集・分析」であって、戦略ではない。
この現在地から目的地を設定し、いかにそこにたどり着くのかというルートが戦略であり、実際に戦略を実行する場面には価値観の異なる様々な人たちを巻き込まなければいけない、泥臭い面もある。
本書では目標設定の方法、正しいルートの選定、人の巻き込み方も扱われている。
まさに「戦略」のはじめから終わりまでを体系的にまとめた内容になっているので、これから戦略について学びたいという人にお勧めだ。
以下、私用メモ
●戦略プロジェクトの中心メンバーに必要なのは、優秀かどうか以上に、現状維持を嫌い、大きな危機感を感じながらも、希望を失わない態度である
●戦略という旗のない組織では、フィードバックやアイデアは、ウェット情報としてどこかで大切に誰かに保管されてしまい、大規模にシェアされない
●戦略はコミュニケーションを活性化させるための道具
●ブレークスルーは、トレードオフを解消することであり、矛盾に向き合うことがアイディアを生む
●人を巻き込むには情熱が必要であり、それは正義によってではなく、自らの態度や行動で示すもの
あたらしい戦略の教科書 | |
酒井 穣
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-07-15 おすすめ平均 |
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4 Comments
ま、負けたかも…。
なんかしょっぱなからかっこいいな~。
hideさん使うのは反則だな(^_^)
でもそれぞれが読書に持っているイメージが
メッセージになるので面白いね(^_-)
BJさん
ふふ、ちょっとがんばっちゃいました(笑)
>でもそれぞれが読書に持っているイメージが
>メッセージになるので面白いね(^_-)
自分を表現できるって、楽しいですよね^^
いいアイディアが湧いたらまたやってみよっと!
この本は各所で評判良いですよね。
難しいことを簡単に腹に落ちるように説明する
それこそが本当に賢い人のなせるワザですね。
読まねば!
BJさん
>難しいことを簡単に腹に落ちるように説明する
これって、本質を理解しているからこそできる事ですよね。
私も見習わねば!
いつもコメント、ありがとうございます!