「世逃げ」のすすめ (集英社新書 435C) | |
ひろ さちや
集英社 2008-03-14 おすすめ平均 |
ひろさちやさんの「「世逃げ」のすすめ」を読みました。
本書は、「勝ち組」「負け組み」思考にどっぷりつかってしまっている人、もしくはそれに違和感を感じてもがいている人に是非一度読んでみてほしい一冊です。
●勉強しろ
●塾に行け
●いい大学に入れ
●いい企業に入れ
●一生懸命努力しろ
こういったものを著者は「世間のものさし」であるとし、それにしたがっている限り私たちは「奴隷」であるとしています。
このような「世間のものさし」で人を商品価値で測るような生き方はやめて、「夜逃げの生き方」「仏のものさしで測る生き方」こそ、私たちには必要だというのが、著者の主張です。
●会社は首にならない程度に働いておいて、あまりそこに関与しない
●宗教に援軍を求める
●仏のものさし=ものを測らないものさしで生きる
●努力して成功した人間には品性下劣な人が多い
●出世なんてあきらめて、年収500万くらいでのんびり生きる
●未来のことを夢見てする努力は、無駄で意味のないこと
●人生を急いで生きる必要はない
なるほど、確かに世間のものさしからはかけ離れた生き方です。
私は、「世間のものさし」に縛られて奴隷のように生きる必要はない、というのには賛成です。
ただ、この「夜逃げの生き方」「仏のものさしで測る生き方」にも私たちが幸せになれるという保障は全くないと思いますし、私個人としては魅力を感じませんでした。
本書の考えについては、私は結構言いたいことがあります。
そこでは金持ちがのさばり、われわれから捲き上げた税金を自分たちの都合のいいように使って、ちゃっかり甘い汁を吸っています。そして貧乏人が苦しんでいる。企業は労働者を雇用せず、派遣社員で経費削減。働く人間はその日の雇用に頼るほかなし。不安に怯えた生活をせねばなりません。その結果、自殺も増えています。うつに悩む人が多くなりました。
さあ、さっさと、こんな汚い日本から逃げ出しましょうよ。
人々は「金・かね・カネ」と拝金主義に狂っており、競争に明け暮れ、その競争の結果、多くの負け組みが出来ても、政治家はその負け組みに手を差し伸べることなく、「自己責任」だなんてほざいています。
いつから企業は労働者を雇用「しなければならなく」なったのでしょうか。
いつから人の命や、自由や、豊かな暮らしは、何もしなくても当然のように、あたりまえのものとして誰かから保障されるものになったのでしょうか。
それらは自らの手で掴み取るものではないのでしょうか。
政治家が悪いと言うのならば、そういう人が変わりに良い政治と言うものを実践して見せればいいのではないでしょうか。
そうすれば彼らの言う「負け組み」「弱者」「貧乏人」も救われるはずですよね。
にもかかわらず自分は「年収500万で、のんびり、重荷を背負わず人生を生きていきます」と無責任な態度を取るんですか?
政治化にはまるで聖人君子のように「負け組み」「弱者」「貧乏人」のために働けというくせに。
日本は汚い国、本当にそうでしょうか。
私は幸運なことに、五体満足で、衣食住に困ることもなく、家族も皆健康で、友人にも恵まれて、教育もうけさせてもらえて、来年には仕事もさせてもらえてと、まさに至れりつくせりです。
これらは日本という豊かな国だからこそ享受できた幸せなのだと思うと、私は日本と言う国に感謝せずにはいられません。
私は今でこそ「夢」「志」「ミッション」というものを大切にしたいと考えていますが、もし日本に生まれていなければ、今頃生きることに必死でそんな余裕はなかったかもしれません。
これほど恵まれた身分にもかかわらず、「日本は汚い国」などと言ってしまうのは、それこそ日常にある本当の幸せを見失った「心の汚い人間」になってしまうのではないでしょうか。
金持ちがのさばっている、私たちの税金を都合のいいように使っている、それが何だと言うのでしょうか。
問題だと言うならばそう思った人が立ち上がって何かをすればいいのです。
自分は傷つかない場所で「年収500万でのんびり生きていきます」と批判しているだけの夜逃げ人がのさばる社会が魅力的だとは到底思えません。
私は、「自分のものさし」で生きていこうと思います。
人間というものは「理性」をもってしまったがために、自分の存在する意味や、人生の価値といったものをどうしても考えてしまう生き物です。
しかし、それには正解がないのです。
だったらとことん悩めばいい。
正解がないからこそ、自分が納得できる答だけを大切にすればいい。
そしていつしか「世間のものさしの奴隷にならなければいけない社会を、俺がぶっこわしてやる」という情熱をもってしまったら、それが夢になってしまったら、もうのんびりしている暇はないのです。
「世逃げ」のすすめ (集英社新書 435C) | |
ひろ さちや
集英社 2008-03-14 おすすめ平均 |
4 Comments
思い切ったことをされましたね!?
僕も世間の常識のようなものに縛られて生きていくのはイヤです。
というかかなり苦手です(汗)
ですので、自分の信念を貫けるようにいまは勉強中です。
批判だけするのは確かに卑怯ですよね。
変えたいものがあるなら、変えようと努力しないと。
ぶっこわしてやりましょう(笑)
ぼってぃーさん
>ですので、自分の信念を貫けるようにいまは勉強中です。
そうですよね、何もせずに自分の好きなように生きていけると思ったら大間違いで、
実際には必死でどうすればいいか考えたり、勉強したりしなければいけませんよね。
批判する人ではなく、ぶっこわす人、創造する人になりましょう!
mercといいます。
同じブックレビュのブログをしています。
http://blog.livedoor.jp/merc0923/
来年、社会人デビューされるんですね。
学生のうちからこれだけ勉強されているのは素晴しいです。
レビューにもその意気込みが伝わってきますね。
私も神田さんの本好きですよ、やはり一番面白い本は
90日で‥
かも知れませんね、まだ無名時代の神田さんの荒削りなパワーが
ありますから
良かったら、私のブログにも遊びにきてください!
mercさん
はじめまして、来年社会人デビューのlemonedです。
コメント、ありがとうございます!
神田さんの本は最近になって読みましたが、
内容もさることながら、神田さんご本人の魅力が
かなり印象に残っています。
mercさんのブログにも遊びにいかせてもらいますね!