田北百樹子さんの「「シュガー社員」から会社を守れ!」を読んだ。
以前読んだ「転職は一億円損をする」で始めてシュガー社員という存在を知ったのですが、これはなかなか強力ですね。
「シュガー社員」とは、自立心に乏しい若手社員を、”砂糖の甘さ”にたとえた私の造語です。
シュガー社員には現在までに5つのタイプが発見されているようで、
1.ヘリ親依存型
・ヘリ親(=ヘリコプター・ペアレンツ:子供のピンチに急降下してかけつける過保護な親のこと)
2.俺リスペクト型
・自分が好きで他人に興味がない
3.プリズンブレイク型
・逃避癖の持ち主
4.ワンルームキャパシティ型
・マニュアル通りの仕事しかできない
5.私生活延長型
・私生活をそのまま仕事に持ち込む割に、仕事を私生活に持ち込むのは拒否する
と、それぞれがなかなか困りもののようです。
更にどのタイプにも共通する5つの要素として、
1.自己防衛本能が高く、権利意識が強い
2.世の中の出来事に疎く、仕事のヒントになるような本を読まない
3.人に迷惑をかけても何とも思わない(自分が大事)
4.幼稚で攻撃的
5.退職間際にゴタゴタと問題を起こす
があるようです。
そして一番厄介なのが、「向上心」がないことでしょう。
シュガー社員に向上心はありません。スキルが足りなくても、「入社のキャップさえもらってしまえば後は会社が全てお膳立てしてくれる」と思っているところが、甘い甘いシュガー社員なのです。
「今の自分を、ありのままの自分を、このままの状態で、新鮮な状態で料理してくれ」と言っているのです。加工したり、煮たり、焼いたり、手をかけることなく、そのまんまで―。
向上心がなく、仕事ができるわけでもない(むしろできない)にもかかわらず、権利意識だけはやたらと高いとなると、もうどうすればいいのかわかりませんね。
しかも、ありのままの自分を尊重して欲しいと望むあたり、「僕たちはすでに一人ひとり特別な存在なんだから、尊重されるべきなんだ」といった誤ったオンリーワン思想を持ってしまっていますね。
特に何かが秀でているわけでもないのに、「自分は特別だ」と思っているあたり、なるほど確かに甘いですね。
オンリーワンについては誤解も多いと思うのですが、私はあくまで何か自分の得意な分野・好きな分野で一生懸命自分を磨いて、その分野でナンバーワンになって始めてオンリーワンになれるのだと思います。
社会に出れば基本的に能力・成果に見合った報酬が払われる「競争」が基本なのに、「元々特別だから」わけ隔てなく扱われるべきだと教育段階で教えられているのも問題かもしれません。
同じ賃金で100の成果を出す人と50の成果を出す人がいたら、誰だって100の成果を出す人にお金を払いたいと思うはずです。
50のままで「自分は特別だ」なんていってたら生きていけません。
自由や権利は自分で勝ち取るもののはず。
にもかかわらずそれが「与えられて当然」のように教えられてきたことが、シュガー社員の最大の不幸だったのかもしれませんね。
想像するしかないので、本当のところはわかりませんが。
「シュガー社員を戦力に変えることはできない」と本書では断言されていますが、確かにそんな社員を抱えた企業も大変でしょうが、一番の不幸は「一生戦力になれない」レッテルを貼られた本人でしょう。
本人の責任がないわけはありませんが、周りの人の助けがないときっとこのままなんでしょうね。
なんとかしたいですよ。
最後に「新卒採用面接でのビックリ発言集」を紹介して、終わろうと思います。
面接官「どうしてわが社に入社したいと思ったのでしょうか?」
応募者「まずは入社しやすい中小企業で経験を積んで、その経験をもとに大企業に入社したいと思っています」
面接官「どうしてわが社に入社したいと思ったのでしょうか?」
応募者「ここなら入社できると思いました」
面接官「わが社に期待することを教えてください」
応募者「私の能力を活かせる企業であることを希望します」
これはひどい。
正直者とかそういうレベルじゃありません。
甘いよ甘すぎるよシュガー社員。
「シュガー社員」から会社を守れ! (PHPビジネス新書) | |
田北 百樹子
PHP研究所 2008-10-18 おすすめ平均 |