先日書いた記事、『「頼りないSE」と周囲から思われないための20のチェックリスト』は、おかげさまで多くの反響をいただきました。
実は本書は、4月より営業職からITコンサルタントに変わるに当たり、とある尊敬する方に相談したところオススメな一冊として紹介いただいたものです。10年前に書かれたにもかかわらず違和感がなく、本当にいいことが書かれていると驚きました。
前回の記事に続いて、今回は本書から私が特に指針として取り入れたいと感じたポイントを、『「頼りになるSE」を目指す若手SEがチェックすべき8つのポイント』と題してお送りします!
「頼りになるSE」を目指す若手SEがチェックすべき8つのポイント
1.任務はビジネス目標の達成と顧客満足度の向上と心得る
ビジネス目標とは、自分が所属している部門やプロジェクトチームに与えられた売上高や利益額などを指します。一方、顧客満足度の向上とは、顧客が期待している質の高いシステムを作り上げたり、顧客の問題解決に役立つ提案をするなどして、顧客に貢献することです。
この2つの重要度は、「5対5」の関係にあります。どちらか一方でも達成できなければ、SEとしては「50点」であることを心得ましょう。そして、この2つを両立するためには技術の勉強ばかりしていてはダメで、対人関係やビジネスの力も伸ばす必要があることを知りましょう。
2.勝手に守備範囲を決めない
SEの専門化・分業化が進む中で問題になっているのが、SEのチームワークです。「自分の仕事はここまで、ここから先は相手の仕事」などと自分の守備範囲を勝手に決めないようにしましょう。
そもそもチームで行う仕事とは、ここまでは自分の担当でここから先は別の人と、きれいに線が引けないものです。当ブログ管理人の営業経験からも、すぐに線を引いてしまうSEより、一歩踏み込んで協力してくれるSEのほうが、最終的に良い提案ができることが多いです。自分の守備範囲を勝手に決めず、相手の仕事内容を知り、困った時やピンチの時はバックアップしあえるようにしましょう。
3.しっかりした価値観を持つ
顧客から「しっかりしている」と頼りにされるSEは、若い時から「本物の考え方・価値観」を常に追求し、「会社や顧客にとってSEの価値は何か」、「SEの任務は何か」、「正しいシステム開発とは」といった仕事上の基本的な事項について、自分の考え方を持っているものです。
日頃のSE活動の中で常に問題意識を持って考え、時には悩んだり試行錯誤したりしながら、価値観を築きましょう。
4.「顧客が51、自分の会社が49」で考える
SEとして働いていると、顧客と自分の会社の意見が食い違う場面に出くわすことがあります。「システム開発が遅れているにもかかわらず、会社からSEを増強できないと言われた」。「売上達成が厳しいため、無理なシステム開発でもいいから売り込みたいと営業が言ってきた」。どうすればいいのか悩んでしまいます。
そんなときは、顧客あるいは会社のどちらか一方だけを考えて判断するのではなく、顧客と会社の両方のことをギリギリまで考え抜きましょう。そして、最後は顧客の立場で判断します。
中には「顧客が90、会社が10」の人もいますが、これでは会社の生産性を下げてしまい、社内や周りのSEに迷惑をかけることになります。結果的に社内を軽視するSEというレッテルを貼られ、信頼度や発言力がなくなり、肝心なときに社内を動かせないSEとなってしまいます。
また、「顧客49、会社51」ではないことにも注意が必要です。なぜ顧客が51なのかというと、SEは専門的なノウハウを持つがゆえに、相手を騙そうと思えば騙せてしまうからです。例えば、病気でもないのに医者から病気だと言われ手術をされたのでは、たまったものではありませんよね?よって、SEには技術屋としての「倫理観」が必要なのです。
5.SEも販売活動に協力する
販売活動は営業の仕事、開発・導入・保守がSEなど技術者の仕事と考えていたら、それは間違いです。営業がシステム開発の仕事を助け、SEが販売活動に協力して、初めてうまくいくのです。
販売活動を営業だけで進めてしまうと、営業担当者に技術力が不足していた場合、「技術保証のないシステム」を顧客に売ってしまうことになります。顧客のシステムに責任をもつ以上、SEはシステム開発や導入だけでなく、ITスキルを生かして顧客の問題解決に役立つ提案活動もするべきなのです。
6.SEの5年サイクルに陥らない
28歳、33歳、38歳、43歳と、どうもSEは5年おきに成長が止まってしまう節目があるようです。理由は、日頃の努力を怠って世の中から取り残されたり、担当製品のアーキテクチャが変わってついていけなくなったりと、様々です。
5年サイクルに陥らないよう、若いうちから注意しましょう。製品中心の仕事やプログラミングの仕事ばかりするのではなく、アプリケーションの開発やシステム基盤全体の構築なども担当するのが望ましいのです。しかも、提案書づくり、業務分析、要件定義、システム設計、プロジェクト管理といった付加価値の高い仕事を、先輩に頼らず独力で責任をもって行う努力も必要です。自分の幅を拡げることを心がけましょう。
7.テクニカル系に強くなる
システムや製品などのテクニカル系スキルは、第一線のSEにとっては必須です。若手であれ、IT業界に籍を置く以上、自分の仕事に必要な技術力を持つことはプロとして最低限の義務といえます。
テクニカル系に強くなるために、若手SEのうちから「マニュアルを毎日読む」「マシンを使う」「設計思想や基本的な仕組みを知る」「研修には予習をして出席する」といったことを心がけましょう。
8.アプリケーションに強くなる
システムや製品だけでなく、アプリケーションの知識もSEには重要です。アプリケーション開発を請け負うSEやERPパッケージを担当するSEであれば顧客と同等か、それ以上のアプリケーション・スキルを持つべきです。
また、テクニカル系のSEといえども、顧客と会話ができるレベルは必要です。顧客とアプリケーションの開発やインフラの構築をする際に、きちんと意思疎通をするには、テクニカル系の言葉だけでは足りないのです。
SEを極める50の鉄則 | |
馬場 史郎
日経BP社 2000-04 |
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