渡邉美樹さんの著書、「社長が贈り続けた社員への手紙―渡邉美樹の夢をかなえる手紙」を読んだ。
渡邉さんといえば、外食産業のほかにも介護、農業、環境、教育など現在幅広い事業展開をしているワタミ株式会社の創業者だ。
そのワタミの大きな根幹となっているのは、渡邉さんの使命感だと個人的に思っている。
外食産業を通して一人でも多くの人の触れ合いの時間に貢献したい、この国の食料自給率の問題を何とかしたい、この国の教育を救いたい。
そんな渡邉さんの絶えない熱い思いが、ワタミという会社の価値観、倫理観を支えている。
本書はそんな渡邉さんが創業以来全社員に対して毎月2通ずつ送ってきたメッセージの中から、社外の人が読んでも共感できると思われるものを抜粋したものだ。
読んでいて感じたのは、ワタミの経営目的に対する渡邉さんの執着心である。
全社員に向けられた手紙で、渡邉さんは何度も何度もその大切さを伝えようとしている。
経営目的は言い換えればワタミの存在意義であり、渡邉さんの夢でもあるのだが、それを実現するには社員一人一人が同じ信念を共有できなければならないことを知っているのだろう。
しかし、繰り返し相手を説得するのは非常に疲れるものである。
「一度言ったことを二度言わせるな」とはよく聞く台詞だ。
しかし世の中、一度言えば次からは同じことを言う必要のない人ばかりではない。
中には繰り返し言っても理解できない人もいる。
それを「一度言っても理解できないそいつが悪い」と投げてしまえば、目的を果たすことができない。
本気で相手を説得しようと思ったら、理解するまで言い続けるしかないのだ。
そこまでできるかどうかが結局のところ、夢をかなえられる人とそうでない人の差なのかもしれない。
社長が贈り続けた社員への手紙―渡邉美樹の夢をかなえる手紙 (中経の文庫) | |
渡邉 美樹
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