最近ビジョンを扱うことが多かったので、今日は優れたビジョンとは何かを扱った良著、「ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか」を紹介しようと思う。
ビジョンがあるから集中できる。
ビジョンがあるから進む方向がわかる。
ビジョンがあるから全力でがんばれる。
ビジョンがあるから「全速前進!」で進めるのだ。
「全速前進!(Full steam ahead!)とは蒸気船が走っていた時代の言葉で、大型船がエンジン全開で航行することを意味する。
現代では、その言葉は少し違ってきている。
すなわち目的がはっきりしていて、そのことに確信があって迷いがなく、しかもそれを実現できる自信にあふれていて、どんな障害があっても断固として進んでいける状態のことだ。
本書でいう「全速前進!」とは、明確なビジョンを持ったとき―つまり自分自身を知り、何を基準にして、どの方向に進めばいいかを知ったとき―何が起こるか、そしていかに全力で突き進むことができるかを示すキーワードである。
これが冒頭で掲げられている一文なのだが、これを読むだけで私は「ビジョン」が持つ可能性、パワーに思わずワクワクしてしまった。
そんなビジョンの持つ力を、本書はある会社を舞台にした物語形式で解き明かしてくれる。
簡潔にまとめると、説得力のあるビジョンには以下の3要素が必要となる。
1.有意義な目的
2.明確な価値観
3.未来のイメージ
つまるところビジョンとは、自分は何者で(有意義な目的)、何を目指し(未来のイメージ)、何を基準にして進んでいくのか(明確な価値観)をあらわしているのだ。
ここで「自分」とは何を指すのだろうか。
そう、ここには企業それ自体とともに、そこで働く社員一人一人も含まれている。
いくらビジョンに力があっても、それを掲げただけでは価値がないのである。
そこで働く社員一人一人にその価値が理解でき、心を動かせて初めて真価を発揮するのだ。
しかし、例えば社長が一人でビジョンを作成し、それを部下に渡すだけではその価値は伝わらない。
そう、ビジョンはその内容と共に、伝達のプロセスも大事なのだ。
そして、伝達のプロセスのひとつのキーワードになるのが、ビジョンを作成するに当たってどれだけの社員を巻き込めたか、である。
簡潔にまとめたが、こんなものではまだまだ足りない。
本書はもっともっと奥が深いのだ。
また、ビジョンとは企業だけに必要なものではなく、むしろ一人一人が持つべきものだ。
私は大変なエネルギーを本書から与えられた。
是非、読んでみてほしい。
ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか | |
田辺 希久子
ダイヤモンド社 2004-01-08 おすすめ平均 |